軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

222 クマさん、クマハウスを設置する場所を探す

サーニャさんの王都での話は長くなり、昼食まで頂いてしまった。

キノコのスープや山菜の料理がとても美味しかった。

クリモニアでもたまに売っているけど、これほど美味しくはなかった。

頼めば融通してくれるかな。

キノコのピザも作れるし、料理にも活用ができる。

でも、このエルフの村でお金は使えるかが問題だ。

商人も来るって話だから、使えると思うけど、そこも調べないとダメだね。

だめなら、物々交換でもいいけど、それにはクマの転移門が必要になる。

それにしても、エルフ語まで翻訳されるとは思いもしなかった。

そうなると、他の種族の言葉も理解できるってことになる。この世界にどれほどの言語があるかわからないけど、便利なスキルだ。

ただ言えることは魔物の言葉や動物の言葉までが理解はできなくて良かったぐらいだ。

もし、理解していたら、戦うことはできなかったはず。

相手が話しかけてきたら戦いにくいからね。

話を終えたわたしたちは長であるムムルートさんの家を出る。

サーニャさんはこれから知り合いのところに挨拶に行くと言う。

まあ、10年ぶりに帰ってきたのだから、必要だと思う。

「ユナちゃんを1人にさせると不安だけど、あまり騒ぎは起こさないでね」

先ほど、長の前でわたしのことを信じるって言わなかったっけ。

それにわたしは騒ぎを自分から起こさないようにしている。トラブルは相手の方からやってくるのだ。だから、防ぎようはない。わたしは悪くないと言いたい。

やってくる方をどうにかしてほしいものだ。

サーニャさんと別れたわたしは一人で村を適当にふらつくことにする。

お店みたいなものはないので、エルフの品物を購入することはできない。

まあ、自給自足で物々交換をして、生活をしているみたいだから、お店は無いのかな。

これは一度、サーニャさんの家に戻った方がいいかもしれない。

クマハウスの設置場所も考えないといけないし、どうしようかな。

本日の予定を考えながら、サーニャさんの家に向かっていると、ルイミンとルッカが家の前にいる。その二人の周りにはエルフの子供たちがいる。

嫌な予感しかしないのは気のせいだろうか。

子供たちがわたしに気付き、全員がわたしの方を見る。その目が輝いているように見えるのは、気のせいだよね。

「ユナさん……」

ルイミンが困ったようにわたしを見る。

「えっと、ルイミン、これは?」

「ユナさん、ごめんなさい」

ルイミンは深く頭を下げて、現状の説明をしてくれる。

その1、まず、ルイミンがルッカにくまゆるとくまきゅうのことを自慢するように話す。(肌触りがいいとか、毛並みが気持ちいいとか、優しいとか、可愛いとか話したらしい)

その2、次にルッカがルイミンから聞いた話を他の子供たちにする。(拡張された説明でさらにパワーアップ)

その3、他の子供たちが召喚獣のくまゆるとくまきゅうに会いたいために集まる。(いまココ)

なにやっているかな、この姉弟は。

まあ、危険とか、恐いとか、マイナス的なイメージを言われるよりは良いけど、褒めすぎも困りものだ。

子供たちがくまゆるたちに会いたいと訴えかけている。

こんな目をした子供たちを追い返すことはできない。今後のことを考えると子供でも良いイメージを与えておく方がいい。

クマハウスの設置は諦め、くまゆるたちを召喚して子供たちの相手をしてあげることにする。

できれば大人のエルフの好感度を上げたいけど、子供たちの好感度を上げてもマイナスにならないはず。

好感度を上げれば、ブレスレットの作り方を教えてもらえるとか、クマハウスを恒久的に置かしてもらえるとか、神聖樹について詳しく教えてくれるかもしれない。

…………子供たちの好感度を上げても無理かな。

わたしはくまゆるたちを召喚する代わりに、約束だけは守ってもらうことをお願いする。

「嫌がることをしたら、駄目だからね。もし、一人でもそんなことをするような子がいたら、もう、二度と召喚はしないからね」

わたしは子供たちに注意する。

子供は何をするかわからない。毛を引っ張るかもしれないし、叩いたりするかもしれない。

そんなことをされたらくまゆるたちが可哀想だ。

「わたしが見ています」

ルイミンが子供たちの監視役を申し出てくれる。

わたしはくまゆるとくまきゅうを召喚させる。

子供たちから、歓喜の声と驚いてルイミンの背中に隠れる子供、さまざまだ。

ルイミンがくまゆるたちと遊ぶ子供たちの面倒を見て、数人の子供がくまゆるたちではなく、わたしの方に興味を持った子供もいた。

「どうして、お姉ちゃんはくまさんの格好をしているの?」

純粋な子供の目で聞いてくる。

大人のような興味本位ではない。

「それはね。クマさんの加護を受けているからだよ」

嘘はついていない。

実際に呪いと言われるほどの加護を受けている。

「わたしもくまさんの加護を受けることはできる?」

「う~ん。ちょっと無理かな。エルフは風の加護を受けるから」

「わたし、風よりくまさんの加護がいい」

これはマズイ。

もし、この女の子が家に帰って、親に「わたし、風の加護はいらないから、くまさんの加護が欲しい」とでも言うものなら、間違いなくマズイことがおきる。

村での好感度が下がる可能性が出てくる。

まだ、なにも目的を達成していないのに親御さんの好感度が下がるのはマズイ。

わたしは、エルフ少女を説得することにする。

「駄目だよ。エルフにとって、風の加護は大事なんだから」

「エルフにとって風の加護は必要なものだよ」

「みんなが風の加護を持っているのに、自分だけ持っていなかったら嫌でしょう」

「それにクマの加護を得たら、こんな格好をしないといけないんだよ」

「もし、大人になったときの自分を想像してごらん」

「お母さんやお父さんが、わたしみたいな格好していたら、どう思う」

「村で一人だけ、こんな格好をしているんだよ」

わたしは一生懸命に説得をする。

そのたびに、わたしのHPが減っていくのは気のせいだろうか。

自分を否定する言葉を出すたびに、悲しくなっていく自分がいる。

そして、最後にエルフ少女は「わかった。頑張って風の加護を得る」って言ってくれて安堵する。

でも、これで村での好感度は上がったよね。

わたしの心は折れかかっているけど。

結局、クマハウスを設置する場所も決まらずに、今日もサーニャさんの部屋に泊まらせてもらうことになった。

翌朝になると、サーニャさんとアルトゥルさんは神聖樹に向かうので朝早く家を出ていく。

さすがに付いていきたいとは言えず、見送る感じになる。

わたしはクマハウスを設置する場所を探すために家を出る。

ルイミンとルッカが同行しようとしたが、今回は丁重に断った。

わたしはクマハウスの設置場所は村の外にしようかと思っている。結界の中なら、それなりに安全だと思うし、なによりクマハウスが目立ち過ぎる。

普通の家ならエルフの村の中でも良かったんだけど。クマハウスだからね。

それに、長のムムルートさんからどこでもいいと許可はもらっている。(村の中とは言われていない)

だから、今日は村の外に行くことにした。

わたしは、子供たちに見つかると昨日と同じ騒ぎになる可能性があるため、気づかれないように外に出る。

無事に見つからずに村の外に出たわたしは適当に周辺を歩く。

う~ん、どこかにいい場所はないかな。

出来れば、日当たり良好、目立たない、結界内、そんな三拍子揃った場所があればいいんだけど。

とりあえず、一度、橋のところまで戻り、上流に向けて歩き出す。

そして、困ったことが起きている。

先日同様、後をつけられている。

魔物が入り込んでいる可能性もあるから、探知魔法を使用したら、後ろに人の反応があり、わたしの移動とともについてくる。

わたしへの誤解は解けたと思ったんだけど。

それとも、護衛でもしてくれているのかな?

走って振り切るのは簡単だけど、でも、そんなことをすれば怪しまれるだけだよね。

う~ん、どうしたらいいかな。

答えがでないまま、川の上流を登っていく。

途中で、滝もあるが、その横の崖を忍者のようにジャンプをして上がっていく。

登ったところの先は綺麗な花が咲き広がっている。

おお、いい場所発見。

ここなら、エルフの村から微妙に離れているし、崖の上にあるから、下からは見えない。

問題は近くにいるエルフだよね。

探知魔法を使い、確認すると、崖の上に登って、奥の木の近くにいる。

あの木の辺りだよね。

どうしようかな。

悩んだ結果、声をかけることにする。

クマハウスを出すにしろ、驚かれて、変なことを村に報告されても困る。

「あのう、その木の後ろに隠れているエルフの人、出てきてもらえますか?」

木に向けて言うが反応がない。

これって 傍(はた) から見たら馬鹿な子に見えない?

誰もいないところに話しかけている、クマの着ぐるみの図。

どこから見ても恥ずかしい光景だ。

「あのう」

もう一度声をかけてみる。

出てきてほしいんだけど。

数秒、反応を待つと木の後ろからエルフが出てくる。

えっと、たぶん、ラビラタっていう人だよね。

どのエルフも美男子、美人が多い種族。それにわたしはラビラタを一瞬しか見ていない。わたしに顔を覚えていろ、というのは酷ってものだ。

エルフはゆっくりとこちらに歩いてくる。

もしかして、怒っている?

表情が少し目が釣りあがっているように見える。

ラビラタも怒っていたから、たぶん間違いない。

「いつから、気付いていた」

いつからって、探知魔法を使った瞬間ですよ。ってことは言えない。

だから、召喚獣のくまゆるのおかげで知っていましたよと言おうとしたら、召喚していないことに気付いた。

うぅ、またミスった。

最近、ミスが多い。

「本当におまえは何者なんだ」

疑うように問いかける。

でも、何者と言われても答えは決まっている。

「冒険者だよ」

これしか、答えることができない。

「それで、おまえはここで何をしている」

森の中で一人でうろついていたから怪しまれたのかな。

「ムムルートさんから家を建てる許可をもらったから、場所を探しているだけだよ」

「長が?」

「うん、ちょっと特殊な家で、村の中だと目立つから、いい場所を探していたのよ」

正直に話す。

嘘をついても仕方ないし、長のムムルートさんには許可はもらっているから、問題はないはず。

それに森の中を見回りをしているラビラタさんたちにはいずれ気付かれるだろうし、建てた場所は長のムムルートさんには報告をするつもりだ。

「ここに家を建てるつもりだけど、大丈夫?」

一応、尋ねてみる。

もしかして、ここはエルフにとって大事な場所かもしれない。

綺麗な花は咲いているし、見晴らしもいい。

「ここか、別に構わないが、本当にここに建てるつもりか?」

「ここは一応結界内なんでしょう?」

「ああ」

「なら、村に建てても、ここに建てても同じでしょう?」

「そうだが、おまえも少しは結界のことを聞いているんだろう?」

「結界が弱まっていることだよね」

「ああ、だから、結界内でも魔物は現れる。客人をそんな危険なところにいさせるわけにはいかない。村なら、仲間もいるから安全だ」

意外と心配してくれているみたいだ

疑われていると思って、ごめんなさい。

「わたしの家は特殊だから、大丈夫だよ」

わたしはクマボックスからクマハウスを取り出す。

ラビラタの前には座るようにしているクマの家が出る。

「な、なんだ」

「わたしの家だよ。これだと村の中だと目立つから、場所を探していたのよ」