軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二話

冒険者は『ランク』と呼ばれる指標によって格付けがされている。

F、E、D、C、B、A、Sの七段階のランクが存在し、冒険者登録をしたばかりのいまの俺は最低のFランクになる。

Fランクはいわゆる「駆け出し」レベルだ。

適切なランクのクエストを三回達成するとEランクに上がる。

だがEランクもまだ、未熟者の領域だ。

冒険者として一応の一人前と言えるのは、この上のDランクから。

冒険者はこのDランクの位置で留まる者がほとんどだと聞いている。

その上のCランクとなると、プロフェッショナルを名乗るに相応しい実力派の冒険者たちを指し示すものとなる。

飛び抜けたものを持っているわけではないが、十分に有能であることを認められた一流の冒険者たちということだ。

Cランク冒険者の数は、冒険者全体の一割から二割程度であると言われている。

そしてCランクより上、Bランク以上となると、これはもう一握りの限られた冒険者だけの世界となる。

超一流というやつだ。

この都市アトラティアを拠点とする冒険者なら、総勢で百人近い冒険者たちのうちトップを争う実力を持つたった二人の冒険者だけがBランクである。

そしてAランク以上の冒険者となると、このアトラティアの冒険者ギルドには一人もいないというのが現実だ。

──とは言え、そんな雲の上の話を考えていても仕方がない。

いまの俺はFランクの冒険者であり、であるなら、俺は目の前の目標にこそ集中するべきだ。

「ゴブリン退治──Eランクのクエストか」

俺はクエストの貼り紙が貼り付けられた掲示板の前に立ち、貼り紙のうちの一つを 剥(は) がして内容を確認する。

そこに書かれていたのは、このような内容だった。

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ゴブリン退治(クエストランク:E)

報酬:金貨二十枚

内容:ミト村の村長だ。村の近くの洞窟にゴブリンの群れが棲みついた。ヤツら夜中に来て畑を荒らし、家畜を盗むばかりでは飽き足らず、ついには村の猟師モートを殺したのだ! もはや捨て置けん、ヤツらを一匹残らず殺してくれ!

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俺は貼り紙を見て、顎に手をあて一考する。

ゴブリン退治は、見習いの冒険者が受けるクエストとしては定番中の定番らしい。

冒険者として経験がない俺にとって、オーソドックスなクエストで経験を積むというのは、悪くない選択肢だと思う。

報酬額も依頼内容に対して妥当な金額と言えるだろう。

日雇いの肉体労働者が丸一日、朝から日暮れまで汗水垂らしてくたくたになるまで働いたときに受け取れる日当の相場額が金貨一枚という額であり、またこの額は贅沢をしなければ街の宿暮らしで二、三日ほど生活できる程度の金額でもある。

ゴブリン退治のクエストは、依頼を出した村との往復時間も含めておよそニ、三日掛かりの仕事になると思われる。

それに対する金貨二十枚という報酬額は、駆け出し冒険者が受けるクエストであること、またクエスト報酬を用意する立場である村民たちの負担額も鑑みれば、決して安いものではない。

ただこのクエスト、いまの俺にとっては大きな問題が一つある。

この「ゴブリン退治」のクエストランクは「E」である。

Eランクのクエストは、最低でもFランクの冒険者四人以上のパーティでないと受領することができないのだ。

Eランクのクエストを受領するためには、パーティ合計で四ポイントの「実力値」が必要となる。

Fランクの冒険者の実力値は一ポイントとして換算されるので、Fランク冒険者がEランクのクエストを受領するためには、四人以上でパーティを組む必要があるわけだ。

ちなみにだが、冒険者の実力値はランクが上がるごとに二倍、二倍で評価が上がってゆくシステムとなっている。

Eランクの冒険者なら二ポイント、Dランクなら四ポイント、Cランクなら八ポイント、……という塩梅だ。

したがってDランク以上の冒険者なら、ゴブリン退治のクエストは単独で受領できるということになる。

実際にDランク冒険者が、単独でゴブリンの巣窟を攻略できるものなのかは分からない。

だがそのような評価構造になっているということは、当たらずも遠からずなのだろう。

しかしいずれにせよ、いまの俺はFランクの冒険者だ。

パーティを組まなければ、このようなクエストを受領することはできない。

「パーティか……」

俺がそうつぶやきつつ、見ていたクエストの貼り紙を掲示板に戻したときだった。

「お兄さん、ひょっとしてパーティメンバーをお探しですか?」

どこかからそんな声が聞こえてきた。