軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

5-24.北ルート 〈ルナ視点〉

〈ルナ視点〉

グラノスさん達が出立し、後を追うようにクレインさんやティガさん達も出かけて行った。

私とリュンヌは場所が近いので、2、3日遅れて出発しても間に合う。みんなを見送ってからのんびりと畑に水やりをしていた。

夜はおばあちゃんとクロウさん、一緒に住んでるラーナちゃんとスフィノ君と一緒に夕食を食べて、いつも通りに寝た。

「……だめっ!! ……はぁ、あ……夢?」

夜中に飛び起きた。

あのリアルな夢はこれから起きる未来のこと。

すでに、何度か体験している予知夢。

私は〈預言者〉というユニークスキルを取ったけど、上手く使い熟せていない。

夢だけでなく、SPとMPを使って、占いのように未来視もできるのだけど……自分が視たいものを見れるわけじゃない。

くだらないことだったり、簡単に変わるような未来ばかり、必要なことを知ることが出来ない。

むしろ、夢で見るときの方が危険だったり、避けられない未来を見ることが多い。

「役に立たないな……」

未来視を使って、貴族に取り入ろうとして……結局、全く信用して貰えなかった。

失敗した。

そこをクレインさんが救ってくれて、別の道を示してくれたのは本当に良かったと思ってる。

能力を無理に使わないようにと言われ、見えてしまって辛かったら共有するからと言われ、相談に乗ってくれる。

能力を使ってほしいと言ってくることはなかった。

何もないけど、少しずつ開拓されていく場所で、ゆったりと時間が過ぎていくと心に余裕が出来て、天気予報くらいなら、私でも扱えるようになってきた。

他のことと違って、私がなにか行動しても、それで未来が変わることもない。

だから、ここでの暮らしはすごく楽しかった。

クレインさんの師匠は、おばあちゃんと呼んでる。

すごく優しくて、農業についても相談にのってくれている。この野菜ならこっちの肥料とか、色々教えてくれる。

だから、危ない目に遭ってほしくない。

危ないなら、伝えておかないといけないと。はっきり覚えてる今のうちにと考えて、着替える。

リュンヌやラーナちゃん達にバレないように、音をたてずに家を出た。

クロウさんの家に行き、部屋をノックすると「誰だ」と不機嫌そうな声が返ってきた。ルナだと答えると、しばらく考えたあと、「作業場で待っててくれ」と言われた。

作業場は、クレインさん達が調合とかをするための工房。私自身はほとんど入ったことが無い。

奥や地下室には素材を置いてあったり、2階は書庫が置いてある。

出入り自由とは言われているけど、用がないのに来るところじゃないかなとずっと思ってたから、入ったのは数回だけ。

深夜だし、いつもみんなで集まる場所だとちょっと距離があるから、ここを指定したのかもしれない。

「やれやれ……こんな深夜に男の部屋を訪ねるなんて何を考えてるんだ?」

「……クロウさん、ごめんなさい……でも、伝えなきゃと思って」

どこから話をすればいいのか。

クロウさんはある程度事情を知っていると言っていた。

予知夢の場面にいたからこそ相談しようと思ったけど、非常識な時間だったことを反省する。

「まず、最初に言っておく。何があっても、女一人で男が住んでる家に深夜に行くな。どうしても用があるなら、他の奴も同席させるように」

「……はい。すみません」

「若い男が多い場所で、不用意なことをしなさんな。抵抗できる力はあんたはないんだ」

クレインさんはあるってことだよね。

そうでなきゃ、一緒の家には住んでないと思うし……そういう関係には見えないけど。

でも、その通りだと思うので頷いておく。

「……すみませんでした。でも、リュンヌには言いたくなくて」

リュンヌは私に対して、変に気を使ってることが多い。危なくないように、いつもくっついてくる。

クレインさんから、魅了状態は解除されていると聞いてるのだけど……過保護で、危ないことを知ったら、この土地から出ていこうとか言いそう。

「はぁ……あんたが未来予知できる能力なのは知っている。厄介ごとが起きるのを予知してこんな時間に伝えに来たってことでいいかぁ?」

「うん……おばあちゃんが殺されちゃう! このままだと……死んじゃうかもって!」

見えた場面はほんの一瞬だった。

怪しい男たちにおばあちゃんが刺された場面で、クロウさんも男の一人に捕まっている状況だった。

刺された場所はわからなかったけど、男の持っていた剣に血がついていて、おばあちゃんは心臓の辺りを抑えて苦しそうにしている光景だった。

「婆様が……そうならないように、クレインとグラノスの方で動いたはずだが」

「…………多分、クロウさんを狙っていて……おばあちゃんがそれを庇って……血を流してて、胸を押さえていた」

「……いつだ?」

「わかんない……ただ、今まで予知夢はだいたい数日以内だった……」

いつの間にか数人で現れて……当然のように、クロウさんに対する人質としておばあちゃんを刺して……そのまま、クロウさんを気絶させて連れて行っていた。

「わかった。こっちで対策を取るから、あんた達は早朝にここを出たほうがいい。狙いが俺だけならいいがなぁ……他の異邦人もまとめて狙ってる可能性がないわけじゃない。ドラゴンの件、失敗するわけにはいかないからさっさと行った方がいい」

「でも……」

「大丈夫だ。婆様が心配だから、常に側にいるようディアナ殿に頼んでおく。ついでにレオニス殿ともなぁ。あんたの予知には強制力はないんだ、これだけで防げるはずだ」

「……でも、ね……おばあちゃんもだけど、クロウさんも……」

おばあちゃんが刺されるのを避けたい。

でも、それだとクロウさんは助かるのかな……狙いは、クロウさんだとちゃんと伝わってないのか不安になる。

おばあちゃんが巻き込まれない場合、クロウさんが攫われてしまう。

「でも、あのね!」

「大丈夫だ。婆様のことは心配ない。俺の身については、グラノスとクレイン、双方から危険があることは聞いてるから心配しなさんな……」

クロウさんは命の危険はないが、それなりにまずい状態になることを了承して残ると決めていたという。

私達に説明をしなかったのは、怖がらせたくないというクレインさんの配慮。

クレインさん側のごたごたに巻き込みたくないという思いがあるのは知っていたけど……私が視た予知夢だと、おばあちゃんもクロウさんも結構危険だったと思う。

「ねぇ……巻き込まないようにしてくれてるけど、大丈夫なの?」

「さてなぁ……多少の危険は承知の上で、将来の安定を得る。この方針は変える気がないみたいだ。だが、ドラゴンの件さえ片付ければ、物理的な危険からはかなり遠ざかる。貴族に関しては、俺を餌にグラノスが暴れるつもりのようだからなぁ……あんた達に危険はないだろうよ」

「そっかぁ……関わらせたくないんだよね、きっと」

「お子様達にはまだ早いってことだろうなぁ。俺もそれには賛成だ。……心配せず、行ってくるといい」

きちんと対策をしていても、危ない。でも、死ぬことはないという。

そして、「ドラゴンと戦うよりもマシだ」と笑いながら、私の心配をしてくれている。

「こっちは心配ない。情報は助かったが、無理に使わんようにな」

「全然役にたってないのに? もっと、上手く力が使えればよかったのかな……落ち込む」

「俺の意見だがなぁ……ユニークスキルは、かなり個人の資質が反映されている。使いこなせる様になるには、自分のトラウマと付き合うことになるぞ」

「え?」

「大の大人でも使い熟せず困ってるんだ、あんたが使えないことを悩むのは無駄だ。無理に使わなくていいんだ……考えすぎるなよ」

クロウさんは使いたければ使えばいいが、無理をする必要はないと言う。クロウさん本人はクレインさんに色々と頼まれて、能力を使っているのに。

「トラウマ……でも、クレインさんとか」

「あれも使い熟せてないぞ。危険特化型になってるからなぁ。それで助かっている部分も大きいだけだ。死にかけてから少し変わったみたいだが……実際、使い熟しているのはグラノスだけだぞ。物騒だけどな」

ユニークスキルに振り回されているのは自分だけではなかったらしい。使わない方がいいというのはクロウさんの意見らしいけど。

「……ユニークスキルは俺もティガも、後悔が大きい。あんたも無理に使う必要はないんだ」

「……未来を知ってれば、回避できることはあるのに?」

「その後、どうなるかわからん不安定なものだろう? 俺も見たくない物ばかり見てると嫌になることがある。だが、この能力を欲したのは馬鹿な俺自身だ……あっちの世界で欲しかった能力をここで得ても何の意味もないのになぁ」

「……」

「それぞれ選ぶだけのわだかまりがあったはずなんだ。それがいい意味で、自分の中で昇華できるならいい。そうじゃないなら、使おうとしない方がいい……辛くなるぞ。そんなことをしなくても、ここにいていいんだからなぁ」

クロウさんの言葉も重かった。

クレインさんからも、私の能力は幸せにならないと言われたのを思い出す。

「無理のないように、気をつけてなぁ」

クロウさんが「送っていく」と言って、肩をぽんと叩いて、作業場の入口に立って私をまっている。

ふと、彼から触れられたのは初めてだなと思う。距離を感じていたけど、少し近づけたみたいだ。

家の前まで送ってもらうと、安心したのか、すぐに眠気に襲われた。

翌日、少し寝坊をしたけど、出発した。「気を付けて」と言いながら、沢山の薬とポーションをディアナさんが渡してくれた。

おばあちゃんも心配そうに見送ってくれて出発した。クロウさんは何も言わなかったけど、視線を送ると頷きが返ってきたので大丈夫だと信じる。

シマくんに私とリュンヌが乗り、チリちゃん達が付いてきてくれている。道中に魔物が出ても、チリちゃん達が追い払い、戦うことなく山脈の奥へと進んでいく。

山脈に上っていくと、気温が下がり、寒くなってきた。

暖かい服装を持ってきていたけど、それを着込んで奥地まで進んでいくと風が強い谷の中にある大きな洞窟に到着する。

洞窟の中では蝙蝠の魔物とかに襲われたりもしたけど、チリちゃん達が連携して守ってくれる。

「ここ、なの?」

「ぐる~」

洞窟を進んだ先には、大きな穴。下から強い風が吹き上げている。

下がどうなっているかを確認するが、暗くて全く見えない。

「シマちゃん、風が強いけど……この先、何もないよね」

『コチラダ……ソコカラ降リテキテクレ』

下の方から声が響いた。この下に降りるのは怖いのだけど……。

シマくんもチリちゃんも、下に何があるかわからないため、戸惑っている。

「ロープは持ってきたけど……こんな下が見えないところではいけないよね」

「途中でロープが切れれば、終わりだろう」

リュンヌに確認するけど、ロープもそんなに長くないため、危険という結論になった。

そもそも、ロープを使っておりていくのも出来るかな。少しくらいならできるように教えてもらったけど……降りた後、ロープを登るだけの体力は私にはないと思う。

どうしようかと思っていると、穴から小さな緑のドラゴンが現れた。

クレインさんからちらっと聞いた、以前襲ってきたおマヌケチビドラゴンかもしれない。

「早ク来ルでちっ!」

「えっと、下が確認出来ないし、怖いんだけど」

「仕方ナイでちね……乗せてアゲルでち」

緑色のドラゴンは巨大化した。

私とリュンヌ、それにシマちゃんとチリちゃんが乗ってもびくともしない。

チリちゃんの仲間たちは、ここで待っててくれるらしく、二人と二匹でドラゴンの背に乗りながら下へと降りていく。

「風、強くて落ちそう……」

「ぐる~」

ドラゴンの背にしっかりと掴まりながら、私とリュンヌが落ちないようにシマちゃんとチリちゃんが横で支えてくれている。

ずっと下まで降りていくと明るいところに出た。

降りている間が真っ暗だったので、目が慣れない。

風がビュービューと吹くような谷間で崖に切り出した、おおきな台地。

そこに10頭くらいのドラゴンがいて、こちらに向かって頭を下げている。

真ん中にいる一番大きなドラゴンの前に近づくと視線を合わせてくれた。

「良くきてくれタ。風の長をしている風月といウ。風の末子が迷惑をかけてすまなかった」

「迷惑じゃないでち!」

「いえ、対処したのは私達ではないので……」

「そうカ。では、祭壇に案内スル」

「えっと、その祭壇ってなんですか?」

ドラゴンの長の後ろには祭壇がある。そこに風がビュービューと吹きながら集まっているように見える。そして、その先には空中に傷のような痕が刻まれている。

「この祭壇は、かつて、作らせてほしいと訪れた貴族が作ったものだ。変わった人間でドラゴンを恐れなかった」

「貴族……?」

「王国の貴族となったくーでれと名乗っていタ。ここを訪れる前に水の地も訪れたと説明された。傷痕を放置するべきではないが、人の寿命は短ク、管理できないといって、ドラゴンに頼んできた」

ドラゴンが言うには、大きな戦乱が収まった頃に、貴族が、風の強いここに祭壇を建てたらしい。そして、管理をドラゴンに任せた。

なんでも、当時の技術を詰め込み、数多のアーティファクトを使っている。

ただ、実際に使われることはなく、見張っている場から人が現れればドラゴンが殺していたという。

ドラゴンがこの地に来たとき、この狭間とよばれている傷は50センチくらいで、幅も数センチだったという。

今は、2メートル近くまで広がっている。同じように水・土・火が強い土地に祭壇を作り、ドラゴンが守っているらしい。

でも、クヴェレ、か。

あの貴族は、クレインさん達が言うにはドラゴンや竜の情報をたくさん持ってるんだよね、たしか。

う~ん、クレインさんに聞かないと詳しいことわからない。

「時が経つにつレ、この幅が広がると人が現れル……それを知ってからハ、我らがここに飛び込み、幅を狭めていル……完全ではないガ」

「え? でも、異邦人って数十年に一度は出てくるっていう」

「ドラゴンが守る場は各属性の力が強い。だからこそ、此処は常に狭間がアル。だが、力が溜まり、人が通れるほど大きくなル……その可能性は何処でもある」

えっと……一番可能性ある4か所を見張ってもらってるけど、他からも現れちゃうってことかな。

でも、私達、2,000人以上がこの地に現れてるんじゃなかった?

「う~ん、なんか変」

「多くの異邦人が現れたことならば、別の力が働いていルからだろう」

「はい?」

「この傷は白が作ったものだから、白の影響を受けて現れル。お前は黒だろう」

天使と悪魔を白と黒って言っているんだよね。黒の力を受けて現れたってことだよね。

「えっと……それで、どうやったら封じるかって、わかる?」

「祭壇に人であればわかるようにしかけてあると聞いていル。すでに火の地にてやっているので、むずかしくはないはずだ」

「え? リュンヌ! まだ時間あったよね?」

「あ、ああ! 5日後の予定だ」

出来る限り同時に封印するって話だったよね!?

でも、火ってことは、グラノスさんがやってるから、何か計画が変わったってことかな。

よくわかんないけど、そういうことなら先にやってしまおう。

「えっと……合計1000P必要で、300Pはすでに入れてくれてるみたい」

「ルナ……大丈夫か?」

「大丈夫。むしろ、これさえすれば、頭の中に何かいる状態はおきなくなるから……悪魔純血で150Pと、蠱惑が20P……あとは、どうしよう。全然、足りない……」

「足りぬなラ、ドラゴンの方で補完も出来ルので気にするな。異邦人が捧げるのが効率が良いだけと聞いていル」

「そうなの?」

「うむ……昔、封じようとしたのだが、足りなかったことがあル。白と黒の血や限界超越した力は吸収されやすい。そして、白の神や黒の神が与えた力もダ……この地で得た力では塞ぎきれヌ……たしか、足りずに数百年で戻ってしまった」

「限界超越?」

それ、なに?

なんとなく、クレインさんが私達が必要って言ってたけど、他の人達でもいい感じ? なんだろう?

「ユニークスキルのことではないか? ふむ。では、私の〈天命〉を捧げるか……封印で50Pか」

「リュンヌ!? いや、まって、捧げちゃったの?」

「ああ。そもそも、天運・天命は多くの異邦人が持っているという話だ、無い方がよいだろう」

「そんな……あっさり……」

持ってても面倒しか起きないと主張するリュンヌ。確かに、そうかもしれないけど……どうせ異邦人とバレてるのに、わざわざ捨てなくても良かったんじゃないかな。

「ルナ。あまり気にするな。私も犠牲を払っていると示すことができるのは悪いことじゃない」

「え? どういうこと?」

「彼女がやりたいと進めていることでもあるが、これは為政者にとっても助かることだ。奴隷を含め、全体で力を合わせて行ったとした場合に、私も無下には出来んはずだ」

「……うん?」

「まあ、そこら辺はあのグラノスが上手くやるんだろう。気にしなくていい。ルナはどうしたいんだ?」

リュンヌの問いに考える。

私も、リュンヌと同じように捨ててしまった方がいいのかもしれない。

使い熟せてないし、嫌な思いもしたし……でも、天気予報を助かるって言ってくれる人もいたんだよね。

それに、持ってるだけで強くなれるみたいなことも言ってた。レベル30くらいだと、一般人と同じくらいで……でも、強くなる必要もないんだっけ?

「ルナ。私の力は、一度死んでも生き返るという能力だ。そんな能力はいらないからな、ルナは最近、役に立ててうれしいと言っていただろう?」

「うん……いきなり捨てるのは、ちょっと……踏ん切りつかないかも」

「それならば、封印ではなく、能力を下げることも出来ると思うガ?」

「え? 封印? 能力を下げる?」

ドラゴンの説明では、捨てたわけではなく、封印であり、それを取得する要件を満たせば、もう一度、同じユニークスキルを取得できるらしい。

そして、今の能力を下げることも……。

私の場合……預言者から占者に下げることができる。

「下げた場合、条件を満たしても前のを取得できないんですか?」

「そうではない。だが、只ならぬ努力をしないとたどり着けないときク」

それなら……下げてしまおう。

それで、もう一度欲しくなったときには必死になって取得する。そこまでの想いがないなら、それでいいや。

「じゃあ……下げると30P。これで、250Pかな」

「ああ。私が種族を捨てられないからな」

たしかに。

ドラゴンの話だと、こっちに来てから手に入れた能力はあまり換算されない……。

私とリュンヌは、最初に持っていたのは種族とユニークスキルだけだったから、他に捧げることはできない。

でも、悪魔という種族を捨てても、容姿は変わらずに、黒髪紫瞳。クレインさんの効果でちょっと白い。

これだと、目立つのは変わらないのかな。

「どうかしたカ?」

「いえ……えっと、とりあえず、出来ることはしたので……帰ろうと思います」

「塞がるノか?」

「えっと、あと二か所あるので……でも、水の担当してる子が何とかしてくれると思います。任せて大丈夫です」

「そうカ。では、上まで送ろウ。感謝する……ルナ、リュンヌ」

「あ、はい! 風月様も色々ありがとうございます」

無事に風のドラゴン達と別れを告げて、帰る途中、コウギョクちゃんとサンフジちゃんが現れた。

シマちゃんと何か話をしているように双方で鳴いてコミュニケーションをとっている。

そのあと、私の前にきて、首輪のところを掻いている。よく見ると、首輪の部分に手紙をつけていたので、それを外して中身を確認する。

「……えっと、『危険。グラノスと合流しろ。こちらに戻るな。 レオニス』……なにか、あったかな」

「何もないなら、こんなことは書く男ではないな」

そうだよね。

レオニスさんはあんまり話したことはないけど、ディアナさんの夫だし。クレインさん達が慕っているので、指示は従ったほうがいい。

ただ、クロウさんからでないことがすごく不安になる。

この手紙に従って、グラノスさんと合流……どうやって、すればいいんだろう。

「シマくん……」

「ぐる~」

任せろというように頼もしく鳴いたシマくんに跨り、行先をグラノスさんと伝える。

向かっていた方向を90度変えて進み始めたので、多分、わかっているのだと思う。

「大丈夫、だよね」

「ああ……おそらくな」

おばあちゃんやクロウさん、ラーナちゃん達も心配だけど……足手まといであることもわかっているから、指示に従おう。

きっと、大丈夫だと思うから。それを信じて……。