軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第12話:盗賊狩り②

ニーナは物覚えは早いようで、1週間で闘技を発動できるようになった。

俺は2週間は掛かったのに……

まだ魔力を放出するだけで、纏う方はうまくいかないようなので練習させている。

「うぅ~し……しんどい……」

闘技に慣れていない上に、MPを垂れ流しのニーナが泣き言を言っている。

「ニーナ、闘技があるとなしじゃ、戦闘で全然違ってくるんだから泣き言言うな」

「わかってるよ~、確かにこの闘技ってスキルはすごいよね。身体能力があるとなしじゃ雲泥の差だよ」

「わかったら今日は闘技を維持しつつ、この前の装備をビビット村まで売りに行ってこい。あとポーションとポーションのレシピがあれば、ついでに買ってきてくれ」

「えぇ~闘技を維持しながら!? ビビット村までだと一日掛りになるけど……それにポーションは兎も角、ポーションのレシピは大きな街に行かないと売ってないよ」

やっぱりレシピは大きな街に行かないとないのか。

「んじゃ、ポーションだけでもいいから、3~5個ほど買って来てくれ」

「わかった。ユウは?」

「俺は用事があるから、お前1人で行くに決まってるだろ」

ニーナがガ~ンって擬音がバックに見えるくらい落ち込んでいる。

という訳で俺は山に向かって進む。後ろの方でニーナが何やら喚いているがスルーだ。

盗賊の居そうなところは大体予想が付く。伊達に毎日毎日、薬草採集していたわけではない。

この辺の村へ行き、人を拐って更に山の中で生活出来る場所、水、食料。これだけである程度、目星を付けることができる。

今の俺の装備は、布の服に右足首にニーナから借りた解体用のナイフを括り付けている。

あとは山賊のアジトを見付けるまで薬草採集し、偶然を装って近付いて、1人1人殺せばいいと考えている。

それにしても、目星を付けていたところがハズレるハズレる。

ステータス通り、俺の運はかなり悪いみたいだ。

「お前、そこで何してんだ」

いきなり索敵スキルの範囲外から声を掛けられて少し驚いたが、そこにはもろ盗賊ですといった格好の男が居た。

名前 :ベッセ・セセ

種族 :人間

ジョブ:シーフ

LV :15

HP :93

MP :33

力 :37

敏捷 :60

体力 :44

知力 :18

魔力 :16

運 :16

パッシブスキル

短剣術LV2

索敵LV2

アクティブスキル

短剣技LV2

闘技LV1

盗むLV1

隠密LV1

鑑定LV1

固有スキル

鷹の目

ふ~ん、この山の中で俺より先に気付くなんて、何かあると思ったら固有スキルの『鷹の目』ってスキルのおかげか。

「ガキ、聞こえねぇのか?」

俺が返事をしないことに露骨に不快感を表して、男が話しかけてくる。

「あっすみません! 薬草採集で山に来たんですが、途中で迷っていたんで助かりました」

「へ~それは ついていないな(・・・・・・・) 」

(黒髪に黒目のガキか、気持ち悪い容姿だが、変態の貴族が大喜びで大金を出し合って買うだろうな。アジトの近くでこんなお宝に出会うとはな)

男がニヤニヤこちらを値踏みするように全身を見てくる。こちらも遠慮なくスキルを奪う。順調にスキルを奪っていたが、固有スキルを奪おうとしたがおかしい。

何度試しても奪えない。何十回と『強奪』を発動しすぎて頭が割れそうだ。

固有スキルは奪えないのか? もしくは俺の強奪スキルのLVが足りていないか……

「よし、俺が村まで送ってやるよ。この辺だったらビビット村か?」

どうやら俺はかなり奥の方まで入り込んでいたみたいだ。

「いえ、レッセル村です」

「そうかレッセル村か、じゃあこっちだな」

そういって男が進んだ方向は、ユウの知っているレッセル村の方向とはまったく違った。しばらく進むと開けた場所に家が建っていた。

(おかしい、このガキここまで息一つ切らせずに付いて来やがる。それに隙がなさすぎる。重心も右側に若干寄っている……右足に何か隠しているな……)

「お前、本当に薬草採集で迷ったのか?」

「本当ですよ。どうしてですか?」

「山に慣れた俺でもここまでの道程はキツイのに、お前、息も切れてないし動きのひとつひとつがおかしい」

「へぇ、こんな山奥の小さな村周辺で盗賊やってるから舐めてた……」

男が、ユウの雰囲気が変わったことに気付き、ダガーに手を伸ばす。

「もうアジトもわかったし、おっさんには用はないかな。ちなみにアジトには、どれ位の人数が居るんだ?」

「用なしだと? な……舐めるなよガキが!」

「本当は寝首を掻こうと思ったんだけど、気付かれたし仕方ないっか……おっさんのレベルは15のシーフだし正面からでも大丈夫だろ」

(こいつ俺のレベルとジョブを!? 解析スキル持ちか?)

「へぇ、随分な自信だな。お前のレベルはいくつなんだよ? それとも特殊なジョブにでも就いているのか?」

おっさんが会話しながら距離をとり始めた。このままアジトまで逃げられるのも、仲間を呼ばれるのも面倒なので、こっちも距離を詰めていく。

「俺のレベルは8だ。あとジョブに就いていると、なんか良い事でもあるのか?」

「レベル8!? たったの8で15の俺を殺そうってのか?」

(このガキ馬鹿なのか? ジョブの恩恵も知らないみたいだな。警戒して損したぜ)

おっさんが、俺のレベルとジョブを聞いて警戒を緩めた瞬間、ファイアーボールを同時に2個発動させる。

「はあァァァァッ!!!???」

おっさんが、何故か大口を開けて固まっている。

「な……なんでお前みたいなガキが……魔法を……しかも」

「何を驚いてるんだ。ファイアーボールなんて、最下級の魔法の1つって聞いてるぜ」

「ば……馬鹿な!! 同時(・・) に2個も発動してしかも無詠唱で!? そんなガキが居てたまるか!」

驚いているところ悪いが、仲間を呼ばれると面倒なので、俺はファイアーボールを1発放つ。

躱されたがその間に更に距離を詰める。右足首に隠していたナイフを右手で握り迫る。

「クリティカルブロー!!」

おっさんが、ダガー片手に何やら突き技を出してくる。だがスキルを奪っているので発動しない。

短剣技LV1の技はクリティカルブローって言うのか……

ただの突きなど造作もなく躱し、鎧の隙間にナイフを叩き込む。

「グアァァッ」

血まみれのおっさんが腹を押さえて蹲る。

「な……なんでもするから命だけは……助けてくれ!」

拷問でもして情報を聞き出そうとしたが、するまでもなく喋りだす。残りの盗賊は2人でレベルも10と12で格下。

宝の隠し場所もわかった。拐った子供や女は奴隷商人に売り払って誰もいない。

「全部話したんだから助けてくれるよな?」

「お前は助けてって言った女・子供をどうしたんだ?」

「ま……待ってくれ! 俺だって……好きでやってたわけじゃないんだ!」

俺は先程奪ったスキルの、『短剣技LV2』を確認も兼ねてクリティカルブローを発動する。ナイフがおっさんの腹に手首まで埋まる。威力が高すぎたのか、ナイフが根元から折れてしまった……ニーナに借りている物だがあとで謝ろう。

そのまま盗賊のアジトに向かうがおかしい。索敵スキルで感知すると、1人しか居ない。あのおっさんが嘘を言ったのか、もしくはどこかに出かけているのかもしれない。

どちらにしても1対多でなくなったので勝率が上がるだけだ。

早速『隠密』を使用し、中を覗き込むと死体が2体あった。そして1人だけ立っている人間が居た。ニーナだ……

「ニーナ、なんでお前がここに居るんだ?」

ニーナは笑顔で……そう満面の笑みを浮かべて……

「ユウを尾行してたからに決まってるじゃない」

こ……こいつ俺が頼んだ件を放ったらかしにして、俺をつけ回していただと!?

最近はニーナが隠れていても気付けていたのに、今回気付けなかったことに納得がいかなかったので、ニーナのステータスを見る。

名前 :ニーナ・レバ

種族 :人間

ジョブ:シーフ

LV :14

HP :81

MP :25

力 :23

敏捷 :57

体力 :25

知力 :18

魔力 :12

運 :22

パッシブスキル

索敵LV1

罠発見LV1

短剣術LV1

忍び足LV2

アクティブスキル

盗むLV1

潜伏LV2

罠解除LV1

隠密LV2

闘技LV1

固有スキル

なし

『忍び足』『潜伏』のレベルが上がってやがる。多分、潜伏・隠密・忍び足のスキルを併用していたから、俺の索敵でも気付けなかったのか? それにしてもおかしい。スキルを奪ってスキルレベルを短期間で上げられる俺ならまだしも、ニーナは日に日にスキルレベルが上がっていく。それとも、この世界ではこれが普通なのか……

「ユウを尾行してるといかにも盗賊って奴と話してたでしょ? それでピンッときたんだよね。ステラさんの為に、ユウが盗賊退治をしようとしてるって!

あとは歩いてる方向から先回りして、アジトを見付けたから中に居た盗賊を退治したんだよね~」

ニーナが褒めて褒めてオーラを出していてイラッとした。

「お前さ、もし拐われた人がここじゃない所に囚われてたら、どうするつもりだったんだ? それにお前に頼んだ件はどうなってんだ?」

「うっ」

取り敢えずニーナのこめかみをグリグリしておく。

「い……痛いっ……」

「うぅ……ユウは盗賊を倒したけどクエストはどうするの?」

「盗賊討伐クエストの報酬は?」

「金貨5枚だったかなすっごい儲かるね! 事後でもクエスト完了扱いになるし」

「盗賊が隠している。宝を確認してから決めるよ」

盗賊の隠している宝が金貨5枚以上であれば、クエスト報告するのもばからしい。クエスト報酬を貰って、且つ盗賊の宝も回収するのが一番うまいんだが、さすがにそれはまずいからな。

さっきのおっさんが言っていた床を探すと剥がせる部分があり、床を剥ぐと宝箱が確認できた。宝箱には鍵が掛かっておらず開けてみると。

金貨7枚

銀貨332枚

銅貨586枚

シスハのペンダント(5級)

鋼鉄のダガー(6級)

鋼鉄のナイフ(6級)

ポーションのレシピ

毒消しのレシピ

「ニーナ、クエスト報告する必要はないぞ」

「すごっ」

思わず笑いが溢れる。あの盗賊達は予想以上に溜め込んでいたようだ。しかもレシピまで手に入った。

鋼鉄のダガー、鋼鉄のナイフはニーナに渡そう。シスハのペンダントを見てみる。

シスハのペンダント(5級):解析LV3まで防げる。またステータスの一部だけブロックを掛けることもできる。

へぇ、これが付与効果のある装備か……この能力は対人用に使えるな……

「鋼鉄のダガーとナイフは、ニーナにやるよ」

「ほんとに!? やった~」

剥ぎ取り用のナイフを壊してしまったので謝っておいた。代わりのナイフとダガーを渡したので機嫌は良かった。

よし、今日はこのまま風呂を仕上げるか。

時間の掛かった風呂だが、今日で完成できそうだった。完成したら1番風呂は勿論、ステラおばあちゃんだ。

「ニーナは、このままビビット村に行って売買してこいよ。あと、この盗賊達の装備も剥ぎ取ってついでに売ってきてくれ」

かなりの重量になるがお使いを無視した罰だ。

「うぅ……わかった」

明日からは、ニーナの訓練と俺はポーションの作成だな。