軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

本隊か、先か

「……レオン」

丘を下りながら、エドワルドは低く問う。

「はい」

「……あの様子だと」

一拍。

「先発隊の本隊か?」

さらに。

「……それとも、本隊そのものか?」

レオンは、すぐには答えなかった。

視線は、まだ後方。騎兵と歩兵は見えた。

だが——

「……何とも、まだ言えません。歩兵は確かに大部隊です」

「……ああ」

「ですが」

一拍。

「その後ろの補給隊」

エドワルドの目が、細くなる。

「……補給か」

「はい」

「補給荷馬車、輸送列、それがどこまで続くか、そこが見えれば」

短く。

「本隊か、先発か……判断材料になります」

「……」

確かに。騎兵。歩兵。

それだけでは——まだ浅い。

前だけ速く。後ろが遅い。なら——先発。

逆に。補給込み。継続進軍。

なら——本命。

「……」

「確かに」

ぽつり。

「レオンの言う通りだ」

まだ——判断不能。

「素通り、させるしかないな」

「はい」

危険。だが——必要。

ここで早計に“本隊”と決めれば。

全配置。全判断。ズレる。

「こいつらを通し更に後ろを見る。補給を見る」

「……はい」

少し、風が変わる。

北。敵は——進む。

「……」

レオンが、再び前を見る。

「先程の騎兵速度なら」

「……?」

「クラウス様の指揮地区へ入るのも」

一拍。

「数日以内」

速い。

「……だが」

「……?」

「装備次第では、ギリギリです。食料が尽きる」

そこ。速度だけではない。騎兵は——軽い。

軽い程、持てる量は限られる。

強行偵察。あるいは——先駆。

深く入り過ぎれば——切れる。

「……」

「やはり」

エドワルドは、小さく息を吐く。

「補給隊、か」

「はい。何処まで、押し出すか。それと侵攻がこの線一本とも限りません。更に北よりの可能性もまだ捨てきれません」

そこ。

敵指揮官が——何処まで本気か。侵攻線が目の前の一つとも限らない。

騎兵だけなら、見る。

歩兵付きなら、押す。

補給込みなら——奪る気。

「他の偵察隊へ」

「はっ」

「歩兵本隊と思われる物」

一拍。

「目を、離すな」

「……!」

「補給確認、最優先」

「承知!」

伝令が、散る。

エドワルドは、再び地図を思い浮かべる。

直進。旧領都。南下。側面。

どれも——まだ有り得る。

「一度、戻るぞ」

「はい」

帰る。今は——深追いしない。

見る。繋ぐ。待つ。

直進か?南下か?

それ次第で——全て変わる。

クラウス。

グレゴール。

俺。

配置そのものは——既にある。

なら。

「……基本方針のまま、か」

ぽつり。

「……」

レオンが、頷く。

「待つ」

「……ああ」

即答。

「どの道」

一拍。

「……待つ事が、重要だ」

焦って動けば——敵に合わせる。

待てば——敵を読める。

敵が、何処へ行くか。

それを見てからでも——遅くない。

春風。草。敵は、近い。

だが——まだ“こちらが動く時”ではない。

待つ。それもまた——戦だった。