軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

変わらぬ見え方

領主館の窓辺。

クラウスは、静かに外を眺めていた。

視線の先は、領都。

街道。そして——動く人影。

早い。思い付けば、即座。

「……動いたか」

ぽつりと漏れる。

エドワルドは既に、始めている。

だが。

「……随分だな」

目を細め、手引き台車と人手。それと木か?

思った以上に——多い。

「……あそこまで、要るか?」

道標を抜く。それだけなら、もっと少なくて済む。だが——運んでいる。何かを。

その時。

「クラウス様」

扉の外。

「……入れ」

グレゴールが、一礼して入室する。

「……エドワルド様ですが」

「……ああ」

既に見えている。

「領都付近の道標を、片端から引き抜いております」

やはり。

「……で?」

短い問い。

「抜いた跡へ」

一拍。

「育てていた食せる実を付ける樹木を、植樹している模様です」

沈黙。そして——

「……植樹?」

一瞬。次の瞬間。

「……あはは!」

思わず、笑いが漏れた。

「……そう来るか」

肩が、僅かに揺れる。道標を抜く。そこまでは、理解出来る。敵を迷わせる。目印を消す。

当然だ。だが——

「……植える?」

しかも胡桃、李、栗だと?

「道標を抜くついでに、植樹か」

ぽつりと呟く。そして——

「……いや」

小さく、口元を歪める。

「植樹したいから、邪魔な道標を抜いたのか?」

グレゴールも、僅かに笑みを浮かべる。

「……どちらとも取れます」

確かに不自然ではない。それが——妙だった。

普通なら、違和感が出るが——

「あの方ですから」

グレゴールが静かに言う。

「また、坊ちゃんが妙な事を始めた。ですが、植えている木を見れば」

一拍。

「……ああ、実が成るやつか……なるほど!そう思われている様です」

クラウスは、窓の外を見る。

確かにそうだった。

「……昔から、か」

農地。保存。改良。最初は、妙。

だが——後で、理解される。

奇行ではなく。結果。

領民も、もう慣れている。

変な事をしている。

「……多分、何か意味がある」

そう見ている。クラウスは、小さく笑う。

「……確かにそうだったな」

昔から弟は——妙な方向へ走る。

「……無駄では終わらん」

そこが、厄介だった。

窓の外。土を触る姿。兵を率いながら——植える。戦準備。欺瞞。食。全部、混ぜる。

「……相変わらず」

ぽつりと漏れる。

「……斜め上だな」

だが——悪くない。むしろ。

「……面白い」

その一言だけが、静かに残った。