軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

止まった流れ

領都。

領主館の一室の扉が、勢いよく開かれる。

「クラウス様!」

足音。荒い息。

「……何だ」

書類から顔を上げる。

「北部方面より、早馬が!」

一拍。

「領主様より、緊急の文です!」

「……」

空気が変わる。

「通せ」

短い命。

差し出された文。封を切る。

視線が走る。

「……」

国境付近の商隊流入。

「……激減」

ぽつりと漏れる。

手が止まる。

「……そうか」

低い声。

「……いよいよ、か」

冬の間、細くなっていた流れ。

それが——さらに落ちた。

止まり始めた。偶然ではない。

顔を上げる。

「エドワルドへ」

即断。

「可能な限り、兵を領都へ集めろ」

「……!」

文官の顔色が変わる。

「今すぐだ」

「はっ!」

足音が遠のき、激しく閉まる扉。駆ける音。

静寂。クラウスは地図へ視線を落とす。

「……始まるな」

小さく呟く。

書庫に、静かに紙をめくる音。

そこへ、足音。

「エドワルド様!」

「……何だ」

視線を上げる。

「クラウス様より至急!」

一拍。

「可能な限り、兵力を領都へ集中させよとの事です!」

「……!」

空気が変わる。

「……そうか」

短い返答。迷いは無い。

「レオン!レオンは居るか?」

「はっ」

「早馬を出せ」

立ち上がる。

「各配置予定兵、可能な限り領都へ」

「……承知!」

即座に動く。

紙が閉じられる。

戦記。報告書。地図。

もう、読むだけではない。

「……いよいよか」

低く落とす。

頭の中では、北部、旧領境、偽装村。

線が、繋がる。

地形は、叩き込んだ。

兄上の隊。

グレゴールの隊。

そして——自分。

連携。そこが、肝。

正面だけでは足りない。

誰か一人でも、遅れれば崩れる。

「……やるしかないな」

ぽつりと漏れる。

椅子が引かれる。足が、止まらない。

戦は——もう、机の上だけではなかった。