軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

火を運ぶもの

「……準備が出来ました」

「そうか」

クラウスは短く頷いた。

「……やるか」

ぽつりと落とす。

視線の先。並べられた土瓶。

中には、蒸留を重ねた酒。

蓋は紙と皮で固く封じられている。

一つを手に取り、重さを確かめる。

中で液体が揺れる。

ナイフで蓋の中心を切り、裂け目に縄を差し込む。

即席の導火。火を移す。

ぱち、と小さな音。

次の瞬間、火が走る。

迷いなく、放る。弧を描く土瓶。

——叩きつけられる。

ばしゃ、と割れる音。

次の瞬間。炎が広がる。地面を這う様に、一気に。

「……速いな」

小さく呟く。想定よりも、広がりが早い。

燃え方を見る。留まらない。流れる様に広がる。一歩、踏み出す。

「……流れすぎるか」

ぽつりと零す。

少し考える。

「……待て」

視線が動く。

「……中だな」

土瓶。中身。

別の一つを手に取る。

蓋を外し、布を押し込む。酒を吸わせる。

再び、封じる。

「……」

同じ様に火をつけ、放る。

——割れる。

炎が上がるが、先程とは違う。

広がらない。その場に、残る。

「……そうか」

小さく呟く。

「……留まるな」

炎が一点に集まる。燃え続ける。

目が細くなる。

「……使い分けか」

流すか。留めるか。

「……いい」

短く言う。

「状況で変える」

それだけだ。

もう一度、炎を見る。静かに燃える火。

口元が、僅かに歪む。

「……面白い」

低く漏れる。

「……これなら、運べるな」

ぽつりと呟く。

火を遠くへ。

クラウスは背を向けた。

「次だ」

短く言う。炎は——まだ消えない。

「……よし」

クラウスは並べられた土瓶を見下ろす。

縄と網で、いくつかが一つに束ねられている。

単体ではなく、複数。

一つ、手に取る。

重さを確かめる。中で、乾いた音。

「……枯葉か」

例の物は使わない。まずは、形と燃え方。

縄に火を移す。複数の導火が、同時に燃え始める。

投げる。弧を描き、地面に叩きつけられる。

——割れる。連続して、割れる。

炎が広がる。

一つではない。重なり、繋がる。

「……面、か」

小さく呟く。

燃え方を見る。広がる。流れる。

だが——

「……軽いな」

ぽつりと零す。

散る。留まらない。

別の束。

今度は、布を詰め、再び火を入れる。

投げる——落ちる。割れる。

炎が、そこに残る。

広がらない。逃げない。

「……留まる」

短く頷く。流すか。留めるか。

それだけで、意味が変わる。

だが、視線は止まらない。空を見る。

「……雨」

ぽつりと落とす。

湿気。土。燃えるか。消えるか。弱まるか。

「……全部、試す」

低く言う。条件を変える。同じ事を繰り返す。

問題を出す。出た分だけ、潰す。

それだけだ。

炎を、もう一度見る。

「……届くな」

小さく呟く。

距離ではない。形として。

クラウスは背を向けた。

次は——条件だ。