作品タイトル不明
動かす意味
エドワルドは試作機の前に立つ。
大型クロスボウは、既に完成している。
試射も済んでいる。
射程も、威力も——十分。
「……問題は」
ぽつりと呟く。
再装填。
「遅いな」
短く言う。構造上、どうしても時間が掛かる。
これはもう、覆せない。
「……なら」
一拍。
「数だ」
それしかない。数で補い、配置で補う。
使い方は——もう見えている。視線を落とす。
問題は、動かし方か。小さく息を吐く。
荷馬車。
「……いや」
すぐに訂正する。
「ほぼ、人力だな」
馬は足りない。それはもう前提だ。
腕を組む。無い物は、無い。それだけだ。
……なら、合わせるしかない。
現実に。だが——
「……待て」
思考が止まる。
人を増やし、運ぶ為に。
「……そうなると」
補給が増える。食料。装備。
「……荷馬車が増えるな」
ぽつりと漏れる。
静かに、繋がる。
「……回ってるな」
小さく呟く。
増やせば、増える。運べば、増える。
「……根本か?」
眉が寄る。
「考え方が、ズレているのか……?」
沈黙。
視線を上げると目の前の重型。
「……動かす必要があるのか?」
ぽつりと零れる。
固定し、防御。
……それなら、強い。間違いなく。
だが。すぐに首を振る。
それでは、足りん。攻めに使えない。
「……動かしたい」
小さく言う。
「支援になる」
確実に。だが、重い。人が要る。物資が要る。
思考が、巡る。
「……決めきれんな」
低く呟く。
一度、目を閉じる。
「……まあいい」
短く言う。
机の上で決める話じゃない。目を開ける。
「……実物を見る」
それだけだ。
エドワルドは試作機に背を向けた。
「……荷馬車に載せてから、だな」
ぽつりと呟く。答えはまだ、出ていない。