軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

判断の重み

ゆっくりと考えた末に——

エドワルドは結論を一つ、形にした。

大型クロスボウの重型。

これは最初から荷馬車に据え付ける。

動かさない前提ではなく——

「運ぶ」

そう割り切る。

荷馬車ごと動かせばいい。それで、位置は変えられる。機動性の問題は、これで消える。

固定と機動。

相反していたはずのものが、一本に繋がった。

「……悪くない」

小さく呟く。

問題は——軽量型。

こちらは、まだ形になりきっていない。

強度を削れば壊れる。残せば、重くなる。

未完成品。

それが、正しい評価だった。

軽量とは言っても——二、三人の人員は、必要だ。手引きの台車。

それが、現実的な運用になる。

「……」

頭の中で配置を組む。

前線。後方。移動経路。補給。撤退。

一通り、組み上がる。

だが——合っているのか?

ぽつりと漏れる。

「……」

静寂。

視線が、地図の一点に落ちる。

何かが、引っ掛かる。だが、それが何か分からない。

「……見落としていないか」

低く呟く。

思考を巻き戻す。

構造。運用。配置。補給。一つずつ、確認する。穴は、見えない。

だが——無いとは、言い切れない。

「……最近、多すぎるな」

小さく息を吐く。

考える事が。選ぶ事が。決める事が。

視線が落ちる。

今の状況は——俺の知っている“未来”とは、かけ離れている。

積み上げてきたもの。変えてきたもの。

その全てが——未知になっている。

つまり。

頼れるのは、過去ではない。今、この場の判断だけ。

一歩、踏み違えれば。

その瞬間——首に、あの感触が蘇る。

重い縄。食い込む圧。息が詰まる、あの感覚。

思わず、首元に手が触れる。

何も無い。

だが——消えてはいない。

「……間違えれば、終わる」

静かに言う。誰にでもなく。だからこそ。

「……止まるな」

ぽつりと落とす。

考え選ぶ。そして決める。

それを、繰り返すしかない。

正しいかどうかは——後でしか分からない。

エドワルドはゆっくりと顔を上げた。

「……進むしかないな」

その一言だけが——静かに、残った。