軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

削るという選択

「……重いな」

エドワルドは試作品の大型クロスボウを軽く叩いた。

ドン、ドン、と鈍い音が返る。

「はい」

親方が頷く。

「強度を優先しましたので」

「だろうな」

短く返す。

折れれば意味がない。だが——これでは使えん。

親方は腕を組む。

「どこを落としますか」

エドワルドは目を細めた。

「全部は取れん」

ぽつりと落とす。

「……なら——削る」

試作品の縁を指でなぞる。

「まず、重さだ。軽くすれば、扱える」

「……ですが、威力が落ちる」

親方が言う。

「……ああ」

頷く。

次に、安定。固定すれば当たるが——動けない。装填。早くすれば連射は効くが——機構が増える。重くなる。

沈黙。

「……結局、同じだな」

エドワルドが呟く。

「どれかを取れば、どれかが落ちる」

親方が小さく笑う。

「それが仕事ですな」

エドワルドの口元がわずかに緩む。

「……なら、分ける」

静かに言う。

「……?」

親方が顔を上げる。

「一つに拘るな。役割を分けろ」

試作品を軽く叩く。

「軽い型を作る。動けるようにする。威力は落ちるが——扱える」

「もう一つ」

視線が鋭くなる。

「重い型だ。固定前提。動かない代わりに——威力を出す」

「……!」

親方の目が変わる。

「使い分ける、という事ですな」

「ああ」

エドワルドは頷く。

「一つで全部やろうとするな。無理だ。戦場も同じだ」

ぽつりと落とす。

「役割を分ける。それで全体が動く」

「……」

親方は試作品を見つめる。

「軽い方は削るとして……重い方は?」

「そのままでいい」

即答。

「無理に軽くするな。壊れる。その代わり——置き方を考える。動かさない前提で使う」

「……なるほど」

親方が深く頷く。

「それなら、強度が活きる」

「ああ」

「……」

エドワルドは試作品を見つめる。

「完成ではない」

小さく言う。だが——進んだ。

親方が笑う。

「面白くなってきましたな」

「ああ」

エドワルドも頷く。

まだ足りん。だが——近い。その言葉が、静かに残る。

エドワルドは試作品から視線を外した。

後は、完成を待つだけ。

腕を組み、使い所。思考がゆっくりと巡る。

軽い型——機動。展開。前線。

荷馬車か。いや、と首を傾げる。

重さ次第では、手引きの台車でもいい。

人力でも回せるなら、自由度は上がる。

一歩、踏み出す。思考が、繋がる。

「……ん?」

足が止まる。

「……待て」

目が細くなる。

……重い方なら、荷馬車に固定したまま——

一拍。

「そのまま運用出来るな」

固定前提。動かさない。

——違う。小さく笑う。

動かさない、のではない。視線が鋭くなる。

“運ぶ”荷馬車ごと動かす。

位置を変えれば、それは“移動”だ。

「……なるほど」

ぽつりと落とす。

固定と機動。矛盾していたはずのものが、噛み合う。機動性は——確保出来る。

エドワルドは小さく頷いた。

「面白い」

その一言だけが——静かに残った。