作品タイトル不明
正解と結果
整列するA隊、B隊。
静かな緊張が流れる。
「……さて」
エドワルドは腕を組む。
「レオン」
「はい」
「どちらが勝つと思う」
「……」
レオンは少し考え、視線を戦場に向ける。
「A隊、かと」
「ほう。理由は?」
「地形を使っております。足場も悪く、長槍の間合いも活かせる。正面から当たれば、B隊は近づけません」
「……」
エドワルドは小さく頷く。
「なるほどな」
一拍。
「では、俺はBだ」
「……え?」
レオンが目を見開く。
「B隊、ですか?」
「ああ」
淡々と答える。
「……理由を伺っても?」
「簡単だ」
視線を前に向けたまま言う。
「動くからだ」
「……?」
レオンが首を傾げる。
「見ていろ」
短く言う。
「始めろ」
その一言で——模擬戦が動いた。
「前進!」
A隊はゆっくりと構え、地形へ誘導する。
足場の悪い場所へ。
「いい……」
レオンが小さく呟く。
「このままなら——」
「……」
B隊は止まらない。
「突撃!」
そのまま前へ出る。
「……無謀な」
レオンが眉をひそめる。
「止まるはずです」
「……」
だが——止まらない。
足を取られながらも、強引に進む。
「……?」
A隊が一瞬、躊躇する。
「……今だ」
エドワルドが呟く。
「突け!」
A隊の指示。
だが——
「……っ!」
タイミングが遅れ踏み込みが合わない。
隊列が、わずかに乱れる。
「押せ!」
B隊が一気に距離を詰める。
「くっ……!」
A隊の槍が絡む。
長すぎる槍が、互いに干渉する。
「下げろ!」
だが、遅い。
「そのまま行け!」
B隊が突っ込む。
勢いのまま、隊列に食い込む。
「……!」
混乱で一瞬で崩れる。
「旗を取れ!」
「はっ!」
B隊の兵が飛び込む。
ガタン、と旗が倒れる。
「——そこまで!」
終了の声が響く。
「……」
静寂。
「……B隊の勝利だ」
「……」
レオンが言葉を失う。
「……何故、ですか」
小さく呟く。
「A隊の方が……正しかったはずです」
「……」
エドワルドは前を見たまま答える。
「正しいな」
一拍。
「だが——」
視線がわずかに動く。
「勝てなかった」
「……」
「何が違うか、分かるか」
「……」
レオンは答えられない。
「……人だ」
静かに言う。
「使い方を、分かっていない」
「……」
「地形も、槍も——正しい。だが、使う側が追いついていない」
「……」
エドワルドは小さく笑う。
「だから外した」
「……!」
レオンが顔を上げる。
「分かっていたのですか」
「ああ」
短く答える。
「見えていた」
「……」
「正しい事と——」
一拍。
「勝てる事は、違う」
静かに言い切る。
「……」
風が吹き倒れた旗が、わずかに揺れる。
「……さて」
エドワルドは踵を返す。
「もう一度だ!今度は——」
視線が鋭くなる。
「勝てる形を考えろ」
その言葉だけが——静かに、響いた。