軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

仕上げ

「シュトライヒ様。計画はこれで宜しいですか?」

護衛役が書き付けを差し出す。

「どれ」

シュトライヒは受け取り、目を通した。

「橋の橋脚部分に、買った荷馬車。それと、服に油を染み込ませた物を配置」

「火を付ける……か」

一通り読み終え、紙を軽く叩く。

「……大分、分かってきたじゃないか」

「これだけ一緒に居ますと、流石に……」

護衛役が苦笑する。

「まあいい」

シュトライヒは紙を机に置いた。

「だが——もう一つ足りんな」

「……は?」

護衛役が顔を上げる。

「ここの井戸にも、いつものやつを投げ込め」

「それと」

一瞬、間を置く。

「この辺りも燃やす」

「……!?」

護衛役の表情が固まる。

「宜しいのですか?」

「構わん」

即答だった。

「ここから出火した火の粉が、橋に燃え移る。そういう流れにする」

「……」

護衛役はゆっくりと息を吐いた。

「……解りました。それが自然って話ですね」

「ああ。橋だけ燃えれば不自然だ。周囲も巻き込めば“事故”になる」

「……確かに」

「井戸も同じだ」

シュトライヒは淡々と言う。

「後で混乱が続く、それでいい」

「……」

護衛役は小さく頷いた。

「それ以外は」

紙をめくる。

「“この村が気に入ったから奢る”という話で通しております。皆を集めやすくする為に」

「よし」

シュトライヒは頷いた。

「酒と食い物を出せ。疑う理由を消せ」

「はい」

「放火の準備が整い次第、始める」

「承知しました」

護衛役は頭を下げ、部屋を出ていく。

一人残るシュトライヒは窓の外を見た。

静かな村に灯りが点き始めている。

人の気配に生活の音。

「……」

小さく息を吐く。

「流れは変わる」

ぽつりと呟く。

それは、この村にとってか。

それとも——もっと大きな何かに対してか。

「……さて」

椅子から立ち上がる。

「始めるか」

その声は、静かだった。

そして準備は整った。俺らが火に追われて川へ飛び込んだ様に見せかける工作も。

「さて。飲み会と行きますか」