軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第066話 休日

俺達は釣りを再開し、さらに数匹釣ると、昼食に焼いた魚を食べた。

そして、夕食分の魚を確保できたので帰ることにした。

「いっぱい釣れたねー」

「だな。海も良かったわ。ぼーっと水平線を見ていると頭が冴える」

「うーん、それはちょっとわかんないけど、海は綺麗だったね」

確かに綺麗だったな。

「釣りも結構楽しかったし、また来てもいいかも――」

港を歩いていると、言葉が途中で止まった。

「ジーク君……」

レオノーラが見上げてくる。

「ああ……」

俺達の視線の先には船から荷物を下ろす指示をしている商人のアドルフが見えていた。

「あの機械は?」

アドルフの部下らしき男達が船から機械を下ろしていた。

「あれは抽出機だな」

しかも、新品だろう。

間違いなく、火事の際に壊れた抽出機の代替品だ。

「なるほどね。ジーク君がユリアーナさんに燃えた倉庫を調べろって言った意味がわかったよ」

レオノーラも勘付いたようだ。

まあ、レオノーラは冗談を言うことも多いが、基本的には頭の良い人間なのでわかるだろう。

「関わらないでいいだろ。下手なことをして恨まれたくない」

バカは思いもつかないことをする。

アウグストや前世の俺を刺し殺した奴のように。

「それもそうだね。帰ろう」

俺達はさっさとこの場をあとにし、アパートに戻った。

そして、釣った魚を冷蔵庫に入れ、部屋でゆっくりしていたのだが、レオノーラが訪ねてきて、火魔法を教えてほしいと言ってきたのでアパートの前で練習をする。

すると、1時間程度でレオノーラの手のひらに10センチ程度の火の塊が現れた。

「おー……魔法使いっぽい」

確かに魔女っ子コスプレだし、魔法使いっぽい。

「一応、伝えておくけど、お前は錬金術師より魔術師の方が向いているぞ」

レオノーラは魔力が高いのだ。

「魔術師は嫌だよ。戦いなんてできないし、怖いじゃないか」

まあ、そこは俺も同感。

魔術師は名誉がある職だし、儲けも良いのだが、死ぬことも珍しくない。

ましてや、北では戦争状態なわけだし、絶対に避けたい職だ。

「もったいないと思わないでもないが、自分のやりたいことをやった方がいいか」

「そうそう。ジーク君だってそうでしょ」

魔術師を5級で止めているからな。

「まあ、魔術師になりたいって言われても困るか」

せっかく4人になったのに3人になってしまう。

「そうだよー。4人で仲良くしようよー」

仲良くねー……

仕事なんだが……いや、仕事こそ関係を円滑にすべきなんだろうな。

「頼むからケンカするなよ。俺は仲裁なんてできんからな」

「ケンカなんかしないから大丈夫だよ……あ、帰ってきたよ」

レオノーラが支部の方を見たので俺も振り向くと、エーリカとアデーレがいた。

2人は俺達に気付くと、こちらにやってくる。

「おかえりー」

「ただいま。あなた達、釣りじゃなかったの?」

「釣りしてたよ。ジーク君が作った特製のエサのおかげでいっぱい釣れたんだよ。食べすぎたヘレンちゃんが部屋で横になってる」

ヘレンは夕食のアクアパッツァまでに腹を空けると言って部屋で寝ているのだ。

「へー……ジークさんは色々作れるのね」

「謎の機械もいっぱいあるよ。なんか料理の道具とかをエーリカにあげてた」

「作るのが趣味なの?」

アデーレが聞いてくる。

「いや、便利そうなのを思いついた時に作ってただけだ」

本当は前世にあったものを作っているだけだ。

「へー……どんなの?」

どんなのと言われてもな……

「ヘレンのための加湿器とか空気清浄機とか……あと、風呂上がりのヘレンの毛を乾かすドライヤーとかか」

ドライヤーはめちゃくちゃ簡単だった。

「毛を乾かすドライヤーって? 加湿器と空気清浄機は何となくわかるんだけど」

「ちょっと待ってろ。見せてやる……あ、エーリカ、ついでに魚を渡すわ」

「はーい」

俺とエーリカは部屋に入り、冷蔵庫を開けた。

「おー! すごいです」

エーリカが魚を見て、感嘆の声をあげる。

「これで大丈夫か?」

「はい。良いサイズですし、滅多に獲れない高級魚ですよ、これ」

そうなの?

「バンバン釣れたぞ」

「でしょうね……」

エーリカが苦笑いを浮かべながらだらしないお腹を晒して、テーブルの上で大の字で寝ているヘレンを見る。

「あれでもアクアパッツァは食べるらしいぞ」

「食いしん坊さんですね」

「まあな。じゃあ、魚を頼むわ」

「わかりました! 任せてください!」

エーリカが魚を回収している間に自作のドライヤーを取ると、2人で部屋を出た。

そして、エーリカが自分の部屋に入ったので外で待っているアデーレとレオノーラのもとに行く。

なお、レオノーラは手のひらを空に向けて、火の玉を出している。

「大分安定してきたな」

「うん。これで次からは自分で火を起こせるよ。バーベキューでもする?」

エーリカに焼肉のタレを作ってもらうか。

「良いんじゃないか? アデーレも教えてやろうか?」

「火魔法ねー……怖いわね」

本当にビビりだ。

「武家の令嬢じゃなかったっけ?」

「関係ないわよ。刃物も怖いし」

絶対に料理できないわ。

「まあ、火曜石を作れない錬金術師がいてもいいと思うぞ。所詮、スイッチ一つだし……あ、これがドライヤーな」

アデーレにドライヤーを渡す。

「これでヘレンさんの毛が乾くの?」

アデーレがドライヤーをまじまじと見だした。

「スイッチを押すと熱風が出てくるんだよ。本来はそれで髪の毛を乾かすんだが、作ったのはいいものの俺は使わんからヘレンに使っている」

気持ちよさそうに目を細めているのが可愛い。

「へー……スイッチってこれ?」

アデーレが取っ手のところを見る。

「そうそう。押すと熱風が出る」

「ふーん……あ、ホントね。暖かい風が出てきた」

スイッチを押したアデーレが風に手を当てた。

「どう? 乾きそう?」

アデーレがドライヤーをレオノーラの顔に向ける。

「わかんないなー。冬は暖かくて良さそうだけど」

「すぐに乾くぞ。お前らは髪が長いから大変だろ。使ってみるか?」

当たり前だが、女性は髪が長い。

アデーレもエーリカも肩くらいまではあり、レオノーラに至っては腰くらいまである。

「ふーん……使ってみようかな。じゃあ、お風呂に入ってくる」

レオノーラがそう言いながらアデーレからドライヤーを受け取った。

「まだ3時だぞ」

「潮で髪がべたつくし、微妙に魚臭い気がする」

レオノーラはそう言って、ドライヤーを片手に自分の部屋に戻っていく。

「魚臭いか?」

残っているアデーレに確認すると、何も言わずにニコッと笑った。

「俺も風呂に入ってくるわ」

「清潔さは大事ですよ?」

はいはい。

ヘレンを起こして、一緒に入るか。