軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第033話 魔剣完成

アデーレと本部長との電話が終わった後は紅鉱石からエレメントを抽出する作業を行い、この日の仕事は終わった。

そして翌日、朝からデスクにつく俺の両サイドにはエーリカとレオノーラが立って、俺のデスクにある剣を見ていた。

「魔剣作りで一番難しいのがここになる。つまり、剣にエレメントをエンチャントすることだ」

2人が見てみたいというから説明しながら見せているのだ。

「上級の錬成ですね。最低でも6級以上の資格がないとできないと聞きます」

「私は初めてどころか魔剣自体も見たことがないよ」

庶民はもちろんだが、貴族令嬢が見るようなものじゃないしな。

「仕組み自体は剣とエレメントを合成するだけだから非常に簡単だ。難しいのはむらなくエンチャントをしないと失敗することだな。最悪は魔力が上手く行きわたらずに詰まって爆発する」

そう言うと、2人がちょっと距離を取った。

「俺が失敗するわけないだろ」

「さすがです」

「ジーク君を信じているよ」

2人はそう言いつつも近づいてこず、本をガードに使っている。

「大丈夫だってのに……行くぞ」

剣と小瓶に入った赤い液体に手をかざし、魔力を込める。

すると、2つの材料が光り出し、あっという間に真っ赤に染まった剣ができあがった。

「え? 終わりました?」

「もうできたの?」

「錬成の速さには自信があるんだよ」

そう言いながら剣を取り、確認していく。

「かっこいい剣ですねー」

「なんで赤いの?」

「一目で魔剣とわかりやすくするためだ。軍の規定で決まっている」

そのへんの冒険者でも上のランクの人間なら魔剣を持っていることもある。

そいつらの魔剣は別に色は付いていないが、軍は武器がいっぱいあるので間違いを防止するために色を付けないといけない決まりがあるのだ。

「へー……見せて、見せて」

「ほら、Aランクの魔剣だぞ」

魔剣をレオノーラに渡す。

「おー……思ったより軽いんだね」

レオノーラが剣を構えた。

素人目に見ても構えがなってないのがわかる。

というか、小柄のレオノーラが持つと非常に危なっかしい。

「魔力を込めるなよ。炎が出るぞ」

「わかってるよぅ……うーん、なんか魅せられるね。これがAランクかー」

レオノーラが刀身をじーっと見た。

「すごかろう? これなら大佐も文句を言わないと思う」

「だと思うよ。納品に行くかい?」

レオノーラが魔剣を返しながら聞いてくる。

「そうだな。この依頼もさっさと終わった方がいい。ルッツがいるし、エーリカはついてきてくれ」

「わかりました」

エーリカが頷いてくれた。

「レオノーラは……まあ、3人で行くか」

「そうだね。ルッツ君に帰ってきた挨拶をしないと」

レオノーラもルッツを知っているわけか。

いや、そりゃそうか。

「ちょっと待ってろ。鑑定書と請求書を書く」

「あ、請求書は私が書きますよ。1500万エルでしたよね?」

「ああ。頼むわ」

エーリカが席について、請求書を書きだす。

「じゃあ、私は魔剣を収める木箱でも作るよ」

レオノーラがそう言って、3階に行ったので俺も鑑定書を書いていった。

そして、鑑定書を書き終え、エーリカも請求書を書き終えたので3階から戻ってきているレオノーラの席に行く。

すると、レオノーラのデスクには魔剣が収まりそうな木箱ができており、白い布を詰めていた。

「もう作ったのか?」

「さすがにこのくらいの加工ならすぐだよ」

まあ、加工は簡単だ。

「やはりレオノーラは才能があるな」

「ホントですよねー」

俺が褒めると、エーリカが手を合わせて同意する。

「私がやりだしたんだけど、その褒めるのをやめない? なんかむずむずする」

でも、効果があるしなー。

実際、レオノーラはやる気を出して、勉強をしている。

なお、俺は褒められてもまったく嬉しくない。

「やめない。褒めることを意識すれば貶すことをしなくなるからだ」

エーリカのように人の良いところを探す人間になれる。

「両極端だねー……まあいいや。箱ができたから魔剣を貸して」

レオノーラに魔剣を渡すと、綺麗に収め、箱に蓋をしてくれた。

「じゃあ、行くか」

魔剣が入った木箱を空間魔法に収納すると、3人で支部を出て、軍の詰所に向かう。

そして、詰所に入ると、ルッツを見つけたので受付に向かった。

「ルッツ君」

「あ、エーリカ……あれ? レオノーラじゃないか。戻ってきたんだね。久しぶり」

ルッツがレオノーラに気付き、声をかけた。

「ルーベルトさんもルッツ君もたかが2週間の出張でオーバーだなぁ……」

「いやー、レオノーラが出張して、ジークさんが来るまでの間はエーリカが一人だったからね」

従兄としては心配なわけだ。

「ルッツ、魔剣を納品に来た。大佐はおられるか?」

「もう? 本当に早いね。ちょっと待ってて」

ルッツがそう言って、奥に向かい、とある部屋の中に入っていった。

そして、しばらく待っていると、ルッツが一人で戻ってくる。

「ジークさん、大佐が会いたいそうだから来てくれるかい?」

「わかった。お前らはどうする?」

エーリカとレオノーラを見る。

すると、まったく同じタイミングで首を横に振った。

「遠慮しておきます」

「私達は旦那様の帰りを待っていることにするよ」

大佐に会いたくないんだろうなー……

まあ、軍人はちょっと怖いところがあるし、ましてやその軍のトップならなおさらだろう。

「ルッツ、行こう」

「ああ、こっちから回ってくれ」

ルッツに指示された通りにカウンターをぐるっと回り、受付内に入ると、奥の部屋に向かった。