軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第286話 山登りは辛い

設定を弄っていると、デニスが若い2人の鉱夫を連れて戻ってきた。

「ここだ。3メートルほど掘ってくれ」

1、2メートルだっての。

「了解しやした」

「やるぜ」

若い衆は2人がかりで穴をさらに掘っていく。

「ジーク君、調整は終わったかね? だったら別の穴も見てほしい」

「わかりました」

町長が頼んできたので隣の穴に行き、スイッチを押す。

しかし、何の反応もなかったのでさらに隣に向かった。

すると、にゃー、にゃー、にゃー、にゃー、という音が響いた。

「気が抜ける音だな、おい」

可愛いだろ。

ヘレンの鳴き声を録音したんだぞ。

「こっちの方がわかりやすい。鳴き声の数が距離になる。4つなら数十メートルは先だな」

「まあ、すぐにいける距離じゃないが、そんなに遠くはねーか」

「言っておくが、鉱脈の大きさまではわからんぞ。さっきの穴で反応がなかったってことは横方向には伸びていないのはわかるがな」

横に広がる鉱脈だったらさっきの穴でも反応があったはずだ。

「なるほど。まあ、その辺は使いようだな」

好きに使ってくれ。

その後、他の穴にも探知機を使ったが、すぐ隣の2つは反応したが、残りは反応しなかった。

「おーい、そっちはどうだー?」

デニスが穴を掘っている2人に聞く。

「まだ50センチも掘ってませんよー」

「無茶を言わんでください」

そりゃそうだ。

あいつらはつるはしで掘っている。

無理無理。

「まあ、そうか。ちょっと時間を置くべきだな」

「デニス、鉱山の周辺を案内してくれないか。この機械で外を捜索したいんだ」

町長が頼む。

「あー、鉄をメインに考えるなら露天掘りの方がいいか」

採掘には大きく分けて、坑道掘りと露天掘りがある。

坑道掘りはこの洞窟のように横に穴を掘って探す手法であり、露天掘りは地表面を縦に掘っていく手法だ。

「良いところがないか?」

「いくつか山を張っているところがあります。そこを案内しましょう」

「頼む」

「わかりやした。おめーら、俺達は外にいるから何かわかったら報告してこい」

デニスが穴を掘っている2人に声をかけた。

「うーっす」

「今晩は奢ってくださいよー」

「わかってるよ」

俺達は引き返していき、外に出た。

「おー、太陽です」

「気持ちいいですねー」

暗いところにいたのでエーリカとサシャが両腕を広げて、太陽を浴びる。

「俺達は毎日、あそこだよ」

「俺達もほぼ室内だな」

通勤時間15秒だし。

「それはそれで性に合わねーな。まあいい。こっちだ」

俺達はデニスの案内で来た道を引き返していく。

すると、数十メートル歩いたところでデニスが立ち止まった。

「どうした?」

「これからあっちの方に行って、山を登ることになる。あんたはともかく、そのひ弱そうなねーちゃん達は大丈夫か?」

デニスが右の方を指差し、エーリカとサシャを見る。

右の方は坂になっており、完全な山登りだ。

「大丈夫ですよー」

「ええ。問題ありません」

本当かな?

「まあ、休憩は挟むが……町長と支部長は大丈夫ですか?」

「問題ない」

「俺は50キロの荷物を背負っても一日中、山を歩ける」

支部長すげー。

「元軍人だろ、あんた……」

「そうだ」

「軍人が錬金術師協会の支部長かよ……」

天下りだよ。

「色々あるんだ」

「そうかい。じゃあ、行くぜ。ここから先は通常の登山コースじゃないから魔物が出やすい。注意しろよ」

デニスがそう言って歩いていったのでついていった。

すると、すぐに坂になり、山を登っていく。

「疲れるな……」

「足が重いです……」

「息が……」

10分程度で明らかに俺達錬金術師組が遅れだした。

「お前ら、音を上げるのがはえーよ」

さすがにデニスが呆れる。

「山なんて登らないし」

いつぞやのテレーゼの気持ちがよくわかる。

そして、ハイデマリーの髪の毛魔法が欲しい。

「ゆっくり行くぞ。息を整えながら登れ」

俺達は休憩を挟みながらゆっくりと進んでいく。

そして、何度目かの休憩となり、腰を下ろした。

「レオノーラさんとアデーレさんが正解だったような……」

「あの2人は絶対に行かないって決意が見えましたもんね……」

椅子に根が張ってたしな。

「デニス、山を張っている場所ってまだか?」

「あとちょっとだよ」

ホントかよ……

「ジーク様、魔物の気配がします」

ヘレンが教えてくれる。

「どこだ?」

「あっちです」

ヘレンが手を向けた方向には何もいない。

「擬態トカゲか! 気を付けろ! 擬態トカゲは岩山に同化するぞ!」

デニスが叫ぶと、ヘレンが差した方向の岩山がぶれた。

「町長、お下がりを。お前達も下手に動くなよ」

支部長が町長を下げると、前に出て、剣を抜く。

「大丈夫ですか?」

「問題ない」

支部長が頷くと、ブレていた岩山が緑色の巨大なトカゲに変わった。

その瞬間、支部長が一気に駆けていき、剣を振りかぶる。

トカゲは躱そうとして、左に動いたのだが、それよりも速く支部長が動き、剣を振り下ろした。

すると、トカゲがあっという間に真っ二つになり、地面に落ちて動かなくなる。

「すごいですねー……」

「支部長さんって本当に強いんですね……」

「ホントになー」

ヤバいわ、この人。

さすがは英雄さんだ。