軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第240話 ドロテー「こらー!」

ホテルに戻った俺達は各自の部屋で休むと、夕方の6時には皆で夕食を食べる。

この日も俺の部屋で食べたのだが、皆、楽しそうに話をし、料理に舌鼓を打っていた。

そして、夕食後もカードゲームをしたりと一緒に過ごしていたのだが、9時を過ぎた辺りで解散となり、3人娘が自分の部屋に戻っていった。

「クヌートさんのところに行きます?」

ヘレンが聞いてくる。

「そうだな……」

クヌートの家、か……

「知ってます?」

「知らんな……」

あいつの家ってどこだ?

「どうするんです?」

「本部長……はマズいよな?」

「寝込んでいるでしょうし、マズいでしょうね。本部に行ってみます? まだやってるんじゃないですかね?」

まだサシャがいれば聞けるし、一門の誰かがいるかもしれない。

「そうするか」

「では、行きましょう」

俺達は部屋を出ると、階段を降り、ホテルを出る。

そして、空は暗いが明るい街中を歩いていき、本部までやってきた。

「明るいですねー」

本部はすべての窓から灯りが漏れており、誰も帰ってないんじゃないかと思うくらいだった。

とはいえ、クヌートは帰っているだろう。

理由はそういう奴だから。

「すごいな……ん?」

「あ、クリスさん」

本部からクリスが出てきた。

肩にはいつもいるはずのドロテーがいない。

まあ、カルステンとダイエットの旅に出たからなんだけど。

「ジークか。こんな時間にどうした?」

ちょうどいいところで会ったわ。

「お前、クヌートの家って知ってるか?」

「クヌート? それはもちろん、知っているが……」

もちろんらしい。

「案内してくれ。ちょっとあいつに話があるんだよ」

「クヌートにか? あいつならまだ……いや、帰ってるか」

クリスは一度、本部の方を振り返ったが、すぐに苦笑いを浮かべ、首を横に振った。

「あいつは残業せんからな」

「そうだな。まあ、その分仕事ができる奴さ。クヌートの家だな? 案内してやる。こっちだ」

クリスがそう言って歩いていったのでついていく。

「ドロテーはカルステンと旅に出たんだって?」

「お前達が笑うからだ。ったく……」

クリスは肩が寂しそうだ。

「お前だって太ったなって思ってただろ」

「思ってたが口には出さん。デリカシーというものだ」

デリカシーがなくて悪かったな。

でも、ドロテーなんかはいくら言ってもいいんだ。

あいつも言ってるんだから。

「本部長のことは?」

「風邪だってな。お見舞いに行きたかったが、さすがにこの時間は失礼になる。明日、早上がりで行ってみる。お前は行ったのか?」

さすがに明日は残業しないらしい。

「3人娘と行ったな。あと、途中でゾフィーが来た」

「そうか。大丈夫そうだったか?」

「ただの風邪だ。問題ない。明日にはだいぶ良くなるだろう」

医学の心得がある本人が風邪って言っているんだから大丈夫だろう。

「なら良かった。それこそクヌートでも誘うか……あ、いや、あいつはもう行ってるか。ハイデマリーかテレーゼを誘おう」

絶対にテレーゼだな。

「クリスさー、ちょっと相談に乗ってほしいんだが、いいか?」

「珍しいこともあるもんだ。何だ?」

「俺、来月も王都に来るんだけど、その際にちょっとドレスコードがあるレストランに行かないといけないんだわ」

レオノーラが落ちるとは思えんし。

「ふっ……お前の口からそんな言葉が出るとはな。それでそれがどうした?」

「良い感じのレストランを紹介してくれないか?」

クリスは絶対に詳しい。

「2人か? 4人か?」

「2人。多分、レオノーラ以外は鑑定士の試験に落ちてる」

「そういうことか……わかった。良いだろう。予約もしてやるから日程が決まったら電話しろ」

さすがはクリスだ。

俺とは持って生まれたもの(人間性)が違う。

「頼むわ。あと、服も貸してくれ。ドレスコードがあるような場に着ていける服を持ってない」

「1着くらい持っておけ……待て。お前、3級だよな? 陛下には?」

「このままだが?」

「…………まあいい」

あれ? マズかった?

普段着でいいって書いてあったからこのままで行ったんだけど?

まあいいか。

済んでしまったことだし、別に咎められたわけでもない。

陛下も平民の無礼なら流してくれるだろう。

「そういうわけで服を貸してくれ」

「服と言われてもな……サイズが違うだろ」

「同じくらいだろ」

そう言うと、クリスが立ち止まり、俺をじーっと見てきた。

「本当だな……私の方が高かったのにいつの間にか並ばれた」

まあ、俺が5歳の時にこいつは9歳だ。

マリーやテレーゼも俺より高かった。

何なら10歳くらいまではゾフィーの方が背は高かった

「もう22歳だからな」

「そうか……ジーク、紳士服はその人の体格で作るからオーダーメイドになる。紹介してやるから1着くらい持っておけ。今から注文して、来月に受け取れ。それでディナーに行けばいいだろう」

オーダーメイド……紹介……

「いくらくらいだ?」

「それくらい出してやる」

マリー、お前ではクリスに勝てない。

「悪いな」

「構わん。弟弟子に知り合いの店で恥をかかせるわけにはいかん。それよりもレオノーラと行くのか?」

「あいつの要望だ。受かったら連れていけって前から言われていた」

エスコート付きね。

「そうか……」

「お前、知ってるのか?」

「何がとは聞かないでおこう。お前達が来た時、空港に迎えに行ったな? クヌートが一緒に行くって言っていた時に事情を聞いた」

それでクヌートまでいたのか。

ということは……

「クヌートってマジだったりするのか?」

「その辺は本人に聞くといい。私は部外者だ」

「俺も部外者……じゃないのか?」

「お前の弟子だろ。それに一緒にドレスコードがあるレストランに行く間柄なら部外者とは言わん。ほら、着いたぞ」

クリスがそう言って立ち止まったのだが、家ではなく店だった。

「クヌートの家は?」

「先に採寸だ。早い方が良い。ちなみにだが、服の要望はあるか?」

「ないな。お前に任せる」

俺、センスないし。

「わかった。とにかく、採寸だけは済ませるぞ。あとはこっちでやる」

「奇抜なものにしたり、笑われるようなものにするなよ」

「せんわ」

ドロテーがいないなら大丈夫か。