軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第232話 それぞれの2次会 ★

ジークヴァルトが首を傾げながら帰った後、すぐにリートの大佐が店に来たのでカウンターでウィスキーのロックを飲む。

「元帥、ジークヴァルトと会ってみてどうでした?」

「生意気な小僧だ。本当に生意気だ……」

だが……

「才は本物でしたか?」

大佐は私の気持ちがわかるらしい。

まあ、付き合いも長いしな。

「素晴らしいな。偽物でもハリボテでもない。本物の天才だ……いや、それ以上だな」

魔力の量は底が見えないほどに膨大であり、質は極上。

さらには度胸もあり、自信に満ち溢れ、それを裏付ける頭の良さもある。

そして、先見の明もあり、専門分野だけでなく、視野も広い。

「私もそう認識しております」

だからこそ、大佐はジークヴァルトがリートに配属になってすぐに私のところに来たわけだ。

「あれは孤児であり、クラウディア・ツェッテルが拾ったらしい。あんなのが落ちているとわかっていたら王都を一日中、練り歩いていたわ」

それがよりにもよって、魔女クラウディア・ツェッテルか。

羨ましい限りだ。

「来年には2級とか?」

「5年後には1級だそうだ。堂々と自分に並ぶ者はいないと言い切ったぞ。実際、そうなんだろう。実に惜しい……今すぐ軍部に来ても参謀本部に配属させるわ」

あれは上に立たせた方が絶対に活躍する。

少なくとも、軍部では絶対にそうだ。

「それほどで?」

「根本にある資質が常人とは違う。何をやらせてもトップになれる逸材だ。時代が時代なら天下でも獲りそうだな」

それが辺境のリートの一錬金術師か。

魔女はどう思っているんだろう?

「引き抜きをかけましたか?」

「せん。答えはわかっているし、無駄なことだ。リートが良いんだろう」

「私はありがたいですね」

リートの大佐はそうだろうな。

「人間性が良くなくて失脚し、リートに左遷か。一時的なものだったのにリートに根付いてしまったといったところだろうな」

考えが変わってしまったんだ。

「リート支部で弟子3人と仲良くなっているそうですよ」

「ああ。孫からの手紙で聞いている。孫自身も楽しそうだった」

都会が好きなのかと思っていたが、そういうことではないらしい。

「そういう人生に気付いてしまったんでしょうな」

野心溢れる22歳が思うことか?

人生の折り返しで思うことだろうに。

「もったいない……もったいないが、人それぞれか」

私だって、師匠に軍人になるのはもったいないと言われた。

でも、ヨードルは武家だし、私自身もその道に進みたかったから魔術師協会に入るよりそちらを取った。

「お孫さんはどうされるんですか?」

「ジークヴァルトに任せる。大佐、協会のリート支部を気にかけてやってくれ」

「お任せを」

クソッ!

わかっているんだ。

私が思っているのは嫉妬だ。

魔術師としても男としても何もかも負けているのがムカつくんだ。

そんな男に可愛い孫娘を取られそうなのがさらにムカつくし、あの何も思ってないようなすかした顔もムカつく。

「大佐、朝まで付き合え」

「はっはっは。負けませんぞ」

あ、こいつ、ザルだった……

◆◇◆

アデーレの爺さんと夕食を終えると、ホテルに戻ってきた。

そして、外の夜景を眺めながら注文したウィスキーのロックを飲む。

「ヘレン、どうするべきだ?」

もちろん、レオノーラとクヌートのこと。

「終わったこと、と割り切ってもいいとは思うんですけど、クヌートさんが気にしているようでしたよね?」

「そうだな。あれはレオノーラのことだろう」

前に弟子のことを聞かれたことがある。

アデーレのことじゃないと言われたから疑問だったのだが、そういう関係性があったとなると、よくわかる。

「ただ、会ったことはないんじゃないかなと思います。最初の空港での御二人のリアクションはそんな感じでした」

覚えてないが、ヘレンがそう言うならそうなんだろう。

「名前は知っているって感じか」

「そうじゃないですかね?」

「レオノーラは?」

「わかりません。正直、あの方が一番わからないんですよね。エーリカさんとアデーレさんはわかりやすいんですが、レオノーラさんはちょっと……どう思います?」

言動の半分くらいがしょうもないことだったり、冗談だからな。

「人間性35点の俺がこんなデリケートなことをわかるわけないだろ。あー、めんどくせ」

「ジーク様、確かにデリケートなことですし、ちょっと難しい問題ですが、方針だけは決めませんか?」

ん?

「方針とは?」

「レオノーラさんをどうするかです。もし、レオノーラさんとクヌートさんが結婚するようなことになればどうします?」

する可能性があるか?

嫌だから家出したんだろ。

「するなら祝福一択では?」

おめでとう。

「もし、レオノーラさんが嫌がれば?」

「クヌートを殴るだけでは?」

無理やり結婚なんてしたら俺だけじゃなく、ハイデマリーやゾフィーまで突っかかってくるぞ。

「その場合はレオノーラさんをリートに連れて帰るわけですね?」

「そりゃそうだろ。リート在住でリート支部に所属している錬金術師だぞ。あと一応、俺の弟子」

なんで置いていくんだよ。

「つまりレオノーラさんの意思を尊重する、でよろしいですね?」

「他にないだろ」

「いや、ここで『レオノーラさんのこと思って……』とか言って結婚を勧める方もいらっしゃいますので……ほら、親と上手くいってないわけですし」

何言ってんだ?

「本人の意思が一番だろ。レオノーラはああ見えて自立した22歳だぞ」

見た目は魔女っ子だけど。

「えーっと、価値観は人それぞれですし……あー、何でもないです。結婚を勧めることはしないわけですね?」

「当たり前だ。むしろ、クヌートの悪いとこを教えてやる」

一門の良いところをあげろと言われたら困るが、悪いところならいくらでも言える。

お互い様だろうけど。

「ジーク様、それでよろしいと思います。レオノーラさんを25歳まで守りましょう」

あー、あれね。

「何でもいいが、このことって触れていいものか?」

「それはお好きにどうぞ。とりあえず、様子を見るでもいいですし、積極的に関わってもいいです。ジーク様がどうしたいかの方針さえ決まっていれば良いのですから」

ふーん……今度、クヌートに会ったら聞いてみるか。