軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第192話 実は仲良し

「最近、新しいものを作ってないし、何か作るか」

ゾフィーがリビングで勉強を始めたので邪魔してはいけないと思い、自室のアトリエでヘレンと相談する。

「そうですねー。何を作るんです?」

「お前、何かあるか? こうしたいとか、これが不満とか」

お前のために作るんだよ。

「うーん、どうでしょうねー? 最近はかなり過ごしやすいですから特には……あ、でも、夏に入ってきましたし、暑くなりますよね? その辺を改善したらどうでしょう?」

「俺のクーラー魔法があるだろ」

これで熱帯夜もばっちり。

「あ、いや、私ではなく、御三方です。支部やドックではジーク様が魔法を使えば心地いいでしょうけど、各自の家では無理でしょう? それでそういう機械をお作りになるのはどうでしょうか?」

ヘレンのためではなく、3人娘のためか……

この子は本当に優しくて良い子だ。

自分より他人を優先するとは……

「よしよし。じゃあ、クーラーでも作ってやるか。しかし、いらないって言われたらどうする? 前世の経験だが、エアコンを嫌う女は結構いたぞ?」

職場で頑なにエアコンの設定温度を上げようとする奴がいた。

暑いっての。

「では、お試しで一つ作ってみるのはどうでしょう? エーリカさんはいつも料理を作ってくださいますが、火を使いますし、暑いと思うんです」

確かに暑いな。

中華屋でバイトしたこともあるが、夏は死にそうだった。

「じゃあ、作ってみるか」

魔石なんかの材料を取り出し、デスクに置く。

「そんなに簡単に作れるんですか?」

「冷たい風が出る扇風機でも作ろうかと思っている。仕組みとしてはドライヤーと変わらんし、そんなに難しくない」

俺は前世の知識があるから余裕だ。

風魔石を作って、羽のない扇風機を作ろう。

「さすがです。きっと御三方も喜んでくださいますし、ジーク様の優しさを理解されるでしょう」

お前が提案したからなんだがな……

俺は前世で使っていた羽なし扇風機を思い出しながら作っていく。

すると、呼び鈴が鳴った。

「ん?」

「誰でしょう?」

ヘレンと顔を見合わせ、同時に首を傾げた。

「アデーレだろ」

「その心は?」

「多分、誰かから電話だ」

もう3度目だからさすがにわかる。

多分、ウチの一門の誰かから電話がかかってきたのだろう。

『ジークー、誰か来たっぽいわよー』

リビングからゾフィーの声が聞こえたのでヘレンを抱き上げると、立ち上がり、部屋を出た。

「出るわ」

玄関に行き、扉を開ける。

すると、寝間着姿のアデーレが立っていた。

「こんばんは」

「ああ……すまん、ウチの誰かか?」

「ええ。ハイデマリーさんから電話よ」

あいつか……

ウチの一門は夜分遅くに電話することに抵抗がないのかと思っていたが、絶対に抵抗がない奴からだった。

「すまん。やっぱり電話を買うわ」

受付嫌いなアデーレに受付みたいなことをさせている。

「私は構わないけどね」

俺達は部屋を出ると、階段を昇り、アデーレの部屋に行く。

そして、ヘレンをアデーレに託し、受話器を取ると、耳に当てた。

「もしもし?」

『はーい、ジーク? 元気ですの?』

英語の教科書みたいだな。

「普通」

『相変わらず、つれない奴ですこと』

「いや、こんな時間に電話するなよ。アデーレに迷惑だろ」

『一緒の部屋にいるかもなーって思ったんですけど、違うんですね』

そりゃ飲んだり、カードゲームで遊んだりすることもあるけど。

「今一緒なのはゾフィーだ」

『ゾフィー? お前のところに飛ばされたって聞いてましたけど、同棲してるんです?』

ツッコミどころが多いな……

「ゾフィーは飛ばされてねーよ。出向だ、出向」

『出向ねー? なんでまた?』

「表向きはウチの応援だな」

『裏向きは?』

表向きの逆は裏向きじゃねーよ。

「ちょっと悩んでいるみたいでな。それで本部長が俺のところに送った」

『あんたのところねー……まあ、環境を変えるのは悪くないことですわ。テレーゼも立ち直りましたね』

自然豊かだからマイナスイオンが多いんだろう。

マイナスイオンが何なのかは知らんが。

「お前、あんまりゾフィーをからかうなよ?」

『つっかかってくるのは大抵、あちらが先ですわ。チビのくせに』

それだよ、それ。

「マリー……ゾフィーは5級が限界って思っているみたいだぞ」

『たかが20やそこらのガキが限界って……ギャグかしら? ホントにガキねー』

マリーが笑う。

「俺もそう思うし、相談された本部長もそう思ったらしい。でも、本人は真剣だったな」

『バーカ、ですの。チビのくせに背伸びするからですわ。お前の限界は身長と胸って言ってやりなさい』

言えないな。

「俺は3級にはなれると思う」

『あのバカなら2級でも1級にでもなれますわよ。なれないなら努力不足と意識が悪いからですわ』

一応、ゾフィーのことを評価してるんだな。

「3級に落ちまくってるお前は意識が足りなすぎるぞ」

バカじゃない?

『お前はそういうところを直したら? 熟年離婚されますわよ?』

結婚もしてないし、ヘレンが俺を捨てることなんてないわ。

「あ、そうだ。マルティナのことなんだけど……」

『それそれ。本題はそれですわ。20歳で5級に受かっておいてアホなことを言うゾフィーのことなんてどうでもいいですの』

気にしてたくせに……