軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

伝説級武器

「……取りあえず、ドロップしたアイテムを回収するか」

俺はあっさりとアクロウルフを倒してしまったので、何とも言えない気持ちのままドロップしたアイテムに近づいた。

『 灰燼狼(かいじんろう) の大牙』……アクロウルフの巨大な牙。鋭く、薄い鉄板程度なら容易く貫く。

『灰燼狼の毛皮』……アクロウルフの象徴ともいえる灰色の毛皮。肌触りが異常によく、魔力耐性が高い。防具等に加工すると凄いモノになる。

『灰燼狼の肉』……アクロウルフの肉。生の状態や普通の料理の仕方では食えない事も無いが不味い。塩水に浸しておくことで、肉に塩が染み渡り美味くなる。

手に入れたドロップアイテムを鑑定するとこう表示された。

つか、灰燼狼って……なんかカッケェな。それに、牙の威力がおかしいだろ。鉄板貫くって……。

「まあ凄いに越したことは無いんだけど。牙とか俺の持ってる賢猿棍にでも付けれたら槍みたいになりそうだし……」

ロープが無いから、この際木の蔓で巻き付けてみようかな?

「それも今度にすればいいか」

と言うより肉!塩が必要なのかよ……。ここら辺に塩が採れる場所は無い。俺が知らないだけで、意外と岩塩なんかが採れる場所があるのかもしれないけど、俺の知識とクレバーモンキーの知識では今のところその場所を知らない。

そのうち塩も手に入れるだろうし、持ってて損は無いか。

俺は鑑定したドロップアイテムを全てアイテムボックスに放り込む。

鑑定が『上級鑑定』に変化してるのに、今のところあんまり意味をなしていない。まあアイテムなんかには効果を発揮してるけど。

植物も『?』で表示される事が無くなったし、今回みたいに有効な使い方まで表示してくれるようになった。

ただ、魔物相手だと、未だに名前とレベルしか表示されない。ステータスなんて見れた事が一度も無い。まあそれも、クレバーモンキーばかり狩り続けた俺には関係ない事だけど。

「さて、お次は……」

そう言いながら視線を動かすと、何枚か落ちているカードが目に入る。

「スキルカード……」

クレバーモンキーのスキルは全部持ってるんだけど、アクロウルフのスキルは一つも持っていなかったな……。

ちなみに、今まで倒してきたクレバーモンキーのスキルカードは、何故か一枚も出てくる事が無かった。

恐らく、もう俺が習得しているスキルのカードは出ないのだろう。万能過ぎるぜ、完全解体……。

ちょっとした好奇心と期待を持ちながら、カードを鑑定する。

『スキルカード≪ 双牙撃(そうがげき) ≫』……スキル『双牙撃』を習得できる。

『スキルカード≪索敵≫』……スキル『索敵』を習得できる。

『スキルカード≪ 剛爪(ごうそう) ≫』……スキル『剛爪』を習得できる。

『マジックカード:水属性・極』……水属性の魔法を使えるようになる。

「……はい?」

俺は鑑定した結果の中にあった、見なれない言葉に思わず首を傾げた。

ま、マジックカード?あの某カードゲームに出てくる緑色のカードですか?

いや、それにしたって効果が……え、じゃあこのマジックカード使えば俺も魔法使い?30歳待たなくても大丈夫的な?

そんな事を考えていると、スキルカードとマジックカードは光だし、俺の体内へと入っていった。

そして、頭にあの声が流れてくる。

『スキル≪双牙撃≫を習得しました。スキル≪索敵≫を習得しました。スキル≪剛爪≫を習得しました。水属性魔法が使えるようになりました』

「……うわぁ……」

やはり俺はドン引きした。

慣れる気がしねぇ……。こんなに一気にスキル習得しちゃうと本当におかしな気分になるよ……。クレバーモンキーの時もそうだけど、素直に喜べない。何でだ?……まあ自分の力で身につけたモノじゃないからだろうなぁ……。

まあ強くなきゃ生きていけない訳だし……深く考えるのは止めよう。そもそも、ただの一般人の俺が、自力でスキルを習得とか不可能だろうし。……耐性系統は別にして。

頭を振り、考えていた事を振り払うと、すぐにスキルの効果を確認する。

『双牙撃』……本来は牙を使用して発動するスキル。両手に武器を持ち、それを同時に左右から放つ。その際、回転が加わり、相手の攻撃を回避する事も出来る、カウンタースキル。

『索敵』……気配・温度・魔力・生命力の全ての観点から、このスキルの所有者から半径約10mの範囲で生物の存在を認識する事が出来る。

『剛爪』……爪から斬撃を放つ事が出来る。制御することで、斬撃を一つにする事も出来る。

「……」

俺は唖然とした。

全部のスキルが異常過ぎる……!双牙撃とか強過ぎるだろ!?相手の攻撃避けながら自分は相手にダメージって!カウンターパネェ!

それに索敵とか……最早この森の中じゃ一番必須なスキルな気がする。アクロウルフって凄い奴だったんだな……。俺に一撃で倒されたけど、やっぱりまぐれだったのだろう。

剛爪は、何だか斬脚の手バージョンみたいで使い勝手がよさそうだ。これも得したな。でも爪からじゃないと斬撃は放てないのだろうか?それもそのうち確認する必要があるな。

「それで……あのマジックカードの効果が……」

『水属性魔法・極』……水属性魔法を極めた。水属性の魔法を全て扱えるようになる。

「チート過ぎるだろ!?」

凄まじいな!?俺も魔法使いの仲間入りとかそういう次元じゃねぇ……!いきなり水属性を極めた事になっちゃってるよ!?完全にアクロウルフの努力の結晶だよね!?なんかごめんね!?

謝って許される気がしねぇ……!だって、努力も何もしてない俺に、途轍もない努力の結果身につけた水属性魔法をこうも簡単に俺が手に入れちゃうんだぜ?俺が逆の立場なら一生恨むね。

そして、俺の頭の中にはドッと水属性魔法の情報が流れ込んで来た。

「……なんか、ごめんなさい……」

こう言うしかなかった。

「き、気を取り直して次のモノへ……」

今度俺が手にしたのは、クレバーモンキーの知識を得た時と同じ冊子だった。

冊子の表紙には『アクロウルフの知識』と書かれている。

取りあえず俺は冊子を開く。

『アクロウルフとは、高レベルのダンジョンやフィールドに生息する狼である。灰燼狼等と呼ばれてはいるが、火属性の魔法は一切使えず、水属性の魔法を使用する。子育ての時のみ集団で行動するが、基本は1匹で行動し、縄張り意識が強く、仲間内で喧嘩をする事も多い。縄張り争いなども多く行われるため、気配を敏感に察知する事に長けている。昼間も活動するが、一応夜行性』

「何で灰燼狼って名前にしたんだ!?」

まあ毛皮が灰色だからって言う理由なんだろうけど……なんか、もっと違う呼び名があっただろうに……。

つか夜行性だったのか。今までよく夜に襲われなかったな。まあ一応全部木の上で寝てたおかげなのかもしれないけど……。

そんな事を思いながら、ページをめくる。

『アクロウルフの生涯』

「だから壮大だって!」

もう少し題名何とかならなかったのか!?……もう良いや。

結局アクロウルフの生涯と書かれたページ以降を捲っていくと、新たに何種類かの便利そうな植物の知識や、この森に他にも住んでいる魔物の名前などが書かれていた。

冊子は光となって、俺の体内へと入っていく。

後、クレバーモンキーの知識で手に入れた地図にプラスする形で、俺の頭の中にある地図の範囲も広がった。

ただし、クレバーモンキーとアクロウルフの地図で、全く同じ部分が何故か黒く塗りつぶされている。

クレバーモンキーの地図を見た時は、その黒く塗りつぶされている部分がただ単にクレバーモンキーの行動範囲外の部分だったのだろうと気にもしなかったが、アクロウルフの地図でも全く同じ部分が黒く塗りつぶされている事を考えると、何かあるのかもしれない。

「うーん……これは調べてみる必要がありそうだな」

もしかしたら、この森から脱出する手段が見つかるかもしれないし。

何せ、クレバーモンキーの知識にも、今手に入れたアクロウルフの知識にも、この森から抜け出せる方法を見出す事が出来なかったからだ。

「まあいいさ。今は生き抜く事を考えないと……」

俺、まだレベル1だし。

「それじゃあ次は……」

次に手に取ったのは、アクロウルフのステータスが球状になったモノだった。

『魔力:10000』

『攻撃力:9874』

『防御力:1230』

『俊敏力:8762』

『魔攻撃:5553』

『魔防御:4887』

『運:20』

『魅力:1000』

「運低っ!」

一つステータス浮いてるよ!?てか、何で俺が遭遇する魔物は運が低いんだろうか!?あれか?俺みたいな奴と遭遇する事自体が不運なのか!?チクショー!

それに、魅力値高ぇ!空欄の俺が虚しくなるぜ!

「……いいさ、別に。これで俺の魅力の欄にプラス100される訳だし」

いいもんねー!そのうち魅力も取り戻せる筈だもんね!……ヤベェ。今までで一番自信ないかも。

どんよりした気分でいると、ステータスの球体は全て俺の体へと入っていく。

そして、聞き慣れた声を適当に聞き流し、最後に残った宝箱を開ける事にした。

「さ~て……何が入ってんのかな?」

どんよりした気分はこの宝箱を開けるという行為で一気にわくわくへと変わる。

宝箱や秘密の詰まったモノを開ける時ってテンション上がるよね!

「何が出るかな?」

宝箱をそう言いながら開ける。

開けてみると、中に入っていた物は一本の短剣だった。

「おお……」

宝箱から取り出し、手にしてみる。

華美な装飾は施されていないが、所々に散りばめられた青色の宝石が妖しく光り、妙な威圧感さえ感じる。

俺はすぐに手にした短剣に鑑定をを使った。

『 水霊玉(すいれいぎょく) の短剣』……かつて大洪水を引き起こし、多くの人々を死に追いやった水の精霊が封じ込まれた短剣。 伝説(レジェンド) 級武器。刃に水を纏わせられ、切れ味を上昇出来るため、刃こぼれしない。水属性魔法を使用する際、魔力の消費量をかなり少なくする。水属性魔法の効果が大きく上昇する。

「はぁ!?」

なんかいきなり凄まじいモノ手に入れたぞ!?しかも伝説級!

伝説級とは、相当レアな分類に入る。

神から貰った異世界の知識によると、レア度はこれだけ数があるらしい。

一般(ノーマル) 級……店等で普通に売られている武器や防具。普通に作る事が出来る。

希少(レア) 級……魔物からドロップできる装備品の最低ランク。便利な効果を持つ装備品が多い。

特殊(ユニーク) 級……そこそこ強い魔物などから手に入る。戦う際に有利な効果を持つものが多い。

秘宝(トレジャー) 級……強い魔物や、ダンジョン内に存在する宝箱などから手に入る。強力な効果を持つ。

伝説(レジェンド) 級……強い魔物の中でも低確率でドロップしたり、難易度の高いダンジョンの宝箱などから手に入る。強力な効果を複数持つ。

神話(ミソロジー) 級……強い魔物で超低確率でドロップしたり、超高難易度のダンジョンの宝箱等で手に入る。持つ人間が少ないため、効果が良く分かっていない。

夢幻(ファンタジー) 級……手に入れる方法が分かっていない。効果も不明。

……夢幻級に至っては何でこんなレア度を作ったんだろうね。だって、手に入れる方法も、効果も分からないのに。作る意味無くね?と俺は神から貰った異世界の知識が書かれた冊子のレア度の欄を見た時に思った。

でも効果がハッキリしてなかったり、入手の仕方が分からなかったりするだけで、案外誰か持ってるのかもね。

とにかく、これだけあるレア度の中で、伝説級は相当レアだ。やっぱしアクロウルフ強かったんだ。逆に、クレバーモンキーはやっぱり弱かったんかい。だって希少級だし。

まぐれで倒した事になるのかぁ……。アクロウルフよ、なんかごめんね。

「まあ手に入れたんだし、装備しておくか!」

俺は早速短剣をベルト通しの部分に差し込んだ。上手い感じにフィットしてくれたおかげで、落ちる心配も無さそうだ。

「……お?もう一つ入ってる」

短剣を装備した後、再び宝箱の中を覗くと、小さい黄色の宝石が埋め込まれた黒色の腕輪のようなモノが出てきた。

「これもドロップアイテムか?」

考えても分からないので、さっさと鑑定する。

『夜の腕輪』……特殊級装備品。夜でも昼間と同じ様な視界を保つ事が出来る。

「さっきから装備品の効果が半端ねぇ!」

アクロウルフ凄過ぎる……!さすが夜行性だな!

それ以上に夜が昼間同然って……移動する分には凄いけど、変な感じがしそうだなぁ。

「……装備するけども」

だって凄いんだもん。

俺は夜の腕輪を右腕に装備するのだった。

「さて……最後は金か」

正直金がこれ以上増えてもなぁ……。

そう思いながらも宝箱から取り出した袋には、白金貨3枚と金貨70枚が入っていた。

「だからこれ以上金要らないんですけど!?」

使いどころがねぇよ!?……いや、森から出たら必要ですけども。

「もう良いや……どうせアイテムボックスに仕舞えば、勝手にステータスの欄で換算してくれるんだし」

溜息をつきながらそう言った瞬間だった。

『大量の経験値を得た事を確認しました。これより進化を行います』

「しまっ――――」

俺は完全に失念していた。

アクロウルフの様な、クレバーモンキー以上の強敵を倒したという事は――――

「あぎゃああああああああっ!」

激痛再び!

「頭があああああああっ!割れるうううううううう!」

最近は身構えてたおかげもあって、耐えられるようになったと思ったのに!気を抜いてたらこのざまよ!

「ノオオオオオオオオオッ!」

そんなこんなで、頭の激痛を耐え抜いた俺は、休むことも考えず、顔に来る激痛に備えた。

「――――――っ!」

顔が尋常じゃなく痛い!

俺は必死に歯を食いしばり、声を出すのを我慢した。

そんな状態で顔も終わり、胴体の激痛も耐え抜いた俺だった。

「ふぅー!ふぅー!」

全力で泣き叫びたい。でも泣くと、またクレバーモンキーの時と同じになってしまう。

俺は必死に声が出ないように耐え続けた。

だが――――

「――――下半身はどうしようもねえええええええええええ!」

足はまだいい。痛いけど、我慢できる。

でもアソコだけは我慢できねぇんだよおおおおおおおお!

「いいいいいいいやああああああああああ!俺の男の子としての機能があああああああっ!」

え、必要ない?……悲しい事言うんじゃねぇ!

でも未だに下半身に対する激痛だけは耐えられない。またバキボキ鳴ってるし。

ただ、今までの激痛を耐え抜いた俺だが、一応アソコの機能は失われていなかった。安心。

「でもこれだけ痛いとねぇぇぇぇえええええええええ!?」

全然安心できないよね!?

今もグキャ!バキ!メキャ!って鳴ってるもん!

……でも気のせいか、地球にいた頃より随分とアソコが大きくなってる気がするんだ。まあ用を足したりなんだのする時に何時も見てるだけだから、目の錯覚かもしれないけど。

そんなこんなで、俺は拷問とも言える激痛をどうにか耐え抜いたのだった。

「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……」

す、ステータスを確認するか……。

俺は息も切れ切れになりながらも、ステータスの確認だけは忘れなかった。