軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

剣聖の戦乙女

「えーっと……それで? そろそろ、俺がなぜ連行されているのか教えてもらえないでしょうか?」

俺は、街中をクラウディアさんとローナさんの二人に引きずられながら、そう訊いた。

美人と美少女の二人に、両脇を抱えられ、引きずられる姿は何ともシュールだよね。周囲からの視線に涙が出る。それに、さっきからドナドナが俺の頭の中を流れてくるんですけど!

「ああ、そうか。まだ言ってなかったね」

俺の質問を受けたクラウディアさんは、思い出したようにそういうと、教えてくれた。

「誠一君。君は、王都カップで優勝しただろう?」

「ええ、まあ」

「だからだよ」

「……はい?」

意味が分からず、そう訊き返すと、クラウディアさんは続ける。

「覚えてないかい? 優勝者は、我々【 剣聖の戦乙女(ワルキューレ) 】と一日行動を共にできる権利が与えられることを……」

「あっ!」

「どうやら思い出したようだね。君はなぜか表彰式には参加していなかったようだし、もしかしたら優勝賞品自体に興味がないのでは? と考えたりしていたんだが……どうやらその様子だと、本当に興味がなかったみたいだね」

やべぇ、すっかり忘れてた。

俺、完全記憶のスキルを持ってたはずなのに、やたらと物忘れが激しい。スキルが詐欺ってどういうことよ? スキル詐欺ですか? いいえ、ケフィアです。

まあ、魔法や他のスキルのように、必要なことはしっかりと覚えているので、スキルが必要なモノ、不要なモノと勝手に判断して、記憶するものを選んでいるのかもしれない。……それってどうなんだ?

それはいいとして、王都カップが終了した当日に、いきなりその権利が発動するとは思わなかったけどね。一応、王都カップが午前中に終了したとはいえ、あまりにも急だ。

そんな俺の内心を察したように、クラウディアさんは苦笑いになる。

「ははは。まあ、私たちも暇じゃないからね。こちらの都合で申し訳ない」

「あっ! 見てください、くーちゃんっ! あそこの露店で、美味しそうな串焼きが売ってますよ! 明日にでも食べに行きましょう! あと、ついでにアクセサリーショップも! 服もいろいろ新作が出ますし、いやぁ、本当に忙しい!」

「……本当に暇じゃないんだ。信じてほしい」

クラウディアさんは、ローナさんのセリフに額に手を当て、天を仰いだ。苦労してるんですね。

そんなやり取りをしていると、いつの間にか王城の目の前まで来てしまっていた。

「さて……ここが、ウィンブルグ王国の城――――【アークシェル城】だ」

誇らしげにそういうクラウディアさん。

だが、俺はそんな様子などまるで無視した状態で、目の前の城を見上げていた。

クラウディアさんの言葉を無視するのは失礼かもしれないが、それくらい、目の前の城は巨大で、圧倒されていたのだ。

初めてこのテルベールに来て、遠目にサリアと眺めながら興奮したとき以上の感覚だった。

「すげぇ……」

城なんて、地球にいたころじゃ、まず見る機会なんてなかった。いや、日本の城は見たことあるし、某ネズミの住む夢の国の城だって見たことあるけど、きちんとした王様が暮らしている西洋の城なんて、初めてだった。

だから、このアークシェル城の存在感に、圧倒されたのだ。

呆然と城を見上げる俺を見て、クラウディアさんは満足そうにほほ笑んだ。

「うん、気に入ってもらえたようで何よりだ。それじゃあ、早速入ろうか」

クラウディアさんに続く形で、城門の中に入っていく。

その際、街の外に続く門で、守護をしているクロードと同じ鎧を着た男の人が、クラウディアさんとローナさんに敬礼していた。すげー。……小並感。

門を抜けた先には、広い豪華な庭があり、様々な色の花が咲き乱れていた。それなのに、花の匂いは喧嘩しておらず、それぞれが控えめに匂いを主張していた。すげー。

中心には、おそらく魔道具の類だと思われる、噴水がある。もうね、すげー。……すげーしか感想の言えない自分に、そろそろ泣きたくなってきた。

人知れず傷つく俺は、クラウディアさんについて行ってると、ある場所で立ち止まった。

「ここが、ウィンブルグ王国の兵士たちが訓練する、訓練場だよ」

「ちなみに、魔法師団のみなさんが全力で魔法を放っても、ビクともしない結界が張ってあるんですよ! ただ、そんな危ない魔法を使ったら、ルイエス様に怒られるんですけど!」

「……まあ、ルイエス様の場合、怒るというより事務的な作業をしているようにしか見えないんだけどね。誠一君を迎えに行く前に、王都カップの賞品のことでローナがルイエス様から折檻を受けてる様子を見てたけど、いつも以上に表情に変化がなかったよ……」

「お、思い出させないでくださいよ! 私と一緒にルイエス様の写真を隠し撮りした、諜報部のジョージ君なんて、ルイエス様の折檻に耐えきれなくて宿屋に向かう前なんか、『……ハハッ、木剣が……鉄を斬る木剣が僕に……僕に迫って来る……! こっちに来ちゃイヤぁぁぁぁぁぁあああああ!』って壊れちゃったんですから!」

「……ちゃんと医務室まで連れて行ったのかい?」

「相手にするのが面倒だったので、放置してきました。クッ……ジョージ君、君の勇姿は忘れない……!」

「……生きてるんだよね? ジョージ君」

「ジョージ君? 誰ですか? それ」

「君は鬼だね……!」

「帰っていいですかねぇ!?」

俺はとうとう耐え切れなくなり、二人の会話に割り込んでそう告げた。

だってそうでしょ!? 黙って話を聞いてれば、まともな言葉が耳に入ってこないじゃねぇか……!

そんな危ない場所に、俺は長居したいと思わなかった。いや、思うわけねぇだろ!? それ以上に、ジョージ君とやらが不憫すぎるわっ! 半分以上自業自得だけども!

だが、そんな俺を逃がさまいと、クラウディアさんは俺の肩を掴んできた。

「……残念だが、諦めてくれ。これが、この国の現状だ……」

「ギルドもそうだけど、王城内も大概だな!?」

この国は、変態や変人しかいねぇのかよッ! でもその変態っぷりがいい方向に進んでるんだから、タチが悪い……!

ここは、変人で成り立っているからこそ、みんな幸せなのかもしれない。……いいのか? それで。

「ん? おお、ちょうどいいね。誠一君、あれを見てごらん」

「え?」

唐突に、クラウディアさんにそう促された俺は、クラウディアさんが指示した方角を見た。

訓練場の一角でクラウディアさんやローナさんと同じ鎧を身に着けた、数人の女性が木剣を構えているのが見えた。

「あれは……訓練ですか?」

「そうだよ。私たちワルキューレの訓練だ」

「そしてあれが、私たちの団長――――ルイエス様ですっ!」

もう一度、よく見てみると、木剣を構えた女性たちは、一人の女性を囲う形で立っていた。姿は確認できるが、顔はよく見えない。

「さあ、もっと近くで見てみましょう!」

「そうだね。誠一君にとっても、いい刺激になるはずだよ」

二人に促されるまま、その女性たちに近づく。

すると、ようやく囲まれていた女性の容貌が確認できた。

流れるように腰まで伸びた、水色のストレート。驚くほど整った顔立ち。

蒼色の鎧は、洗練されたスマートな形で、武骨な印象は全く受けない。

木剣を構えた女性たちに囲まれながらも、木剣を腰にさしたまま、瞳を閉じ、純白のマントをはためかせて佇む姿は、凛とした気高い騎士そのものだった。ルルネさん、この人見習ってください。

「見えるかい? あの中心にいる人物が、ルイエス様だよ」

「よく見ててくださいよ! 一瞬で終わっちゃいますから!」

ローナさんが興奮気味にそういうので、興味を持った俺は、彼女たちの訓練風景を観察することにした。

すると、今まで木剣を構えていた女性たちは、一斉にルイエスという人物に斬りかかる。

ゼアノスから手に入れた、ゼフォード流守護剣術を持つ俺は、結局倒して手に入れた技術であって、長い修練の果てに身に着けた技術ではないので、剣術そのものは素人同然だった。

だが、そんな俺から見ても、彼女たちの剣筋が洗練された、本職の一振りだということは簡単に分かった。

その剣速は、心眼のスキルを持つ俺でさえ、驚くほどに速かった。

彼女たちの、会心ともいえる一撃が、集中してルイエスさんの頭上に振り下ろされる。

まさに、そのすべての木剣がルイエスさんに直撃する――――そう思った瞬間だった。

「――――」

ルイエスさんは、静かにその瞳を開いた。

ルイエスさんに木剣が迫る刹那の中で、彼女は波一つない水面のような、澄んだスカイブルーの瞳で、すべての木剣を捉えたことが、俺の目で分かった。

そして――――。

「……」

一閃。

ルイエスさんは、彼女自身を囲んでいた女性たちの誰よりも、圧倒的な速度で腰の木剣を抜いたのち、振りぬいた。

その速度は、心眼のスキルがほとんど無意味なくらい、速かった。

ルイエスさんが斬ったモノ……それは、一斉に斬りかかっていた女性たちの木剣。しかも、斬られた木剣は、同じ木剣で斬られたとは思えないほど、鮮やかな切り口のまま静かに剣先がズレ落ちた。

自分たちの武器が斬られた女性たちは、みんな呆然とした表情を浮かべ、ルイエスさんは、木剣を軽く振り払うと、静かに腰にさした。

「――――剣速は上がっています。ですが、剣筋が正直すぎです。精進するように」

『っ! はいっ! ありがとうございましたっ!』

どこか浮世絵離れした雰囲気に合う、綺麗な声で女性たちに告げると、女性たちは元気よく返事をした。

……おいおいおい、一人だけ実力がずば抜けてるぞ。なに? あの人間離れした動き。俺以上に化物なんじゃねぇかと思うよね。

あまりにもぶっ飛んだ実力に、俺が唖然とする中、クラウディアさんたちは苦笑いを浮かべていた。

「ははは……相変わらず、剣がまったく見えない。彼女たちも、レベルは250以上の強者だし、私自身も380はあるんだけどね……。ローナ、君は見えたかい?」

「くーちゃんのレベルで認識できないのに、レベルが360の私に、あんなのが見えるわけないじゃないですか」

「うーん……ルイエス様の場合、ルイエス様と同レベルの500が相手でも、似たような状況になる気がする」

「いやぁ、さすがにそれは……あれ? 否定できない!?」

どうやら二人には、さっきのルイエスさんの攻撃が見えなかったようだ。それにしても、クラウディアさんのレベルは380で、ローナさんは360。ルイエスさんに至っては、500ですか。

そんなことを考えていると、ルイエスさんは俺たちに気付き、近づいてきた。

「クラウディア、ローナ。帰ってきましたか」

その一言を聞いた二人は、姿勢を正し、敬礼する。

「はい、連れてきました」

「もう完璧ですよ!」

「ローナ、アナタが余計なことをしなければ、ここまで面倒なことにはならなかったんですよ」

どこか淡々とした口調でそういうルイエスさん。

ローナさんは、目を逸らして口笛を吹き、クラウディアさんはその様子に苦笑いしている。

そして、ルイエスさんは俺の方に視線を向けた。

「それで、アナタが誠一さんですか?」

「え? あ、はい」

「私は、このウィンブルグ王国の【 剣聖の戦乙女(ワルキューレ) 】を率いている、ルイエス・バルゼです」

自己紹介をしていたときも、ルイエスさんの表情は一切変わらない。とにかく無表情なのだ。

「さて……それでは、これを」

「へ?」

失礼にならない程度に顔を見ていると、ルイエスさんから唐突に木剣を渡された。えっと……?

「模擬戦をしましょう」

「帰っていいですか?」

思わずそう訊いてしまった俺は、悪くないと思うんだ。

だが、ルイエスさんは首を静かに横に振る。

「私の部下が、変な賞品さえ用意していなければ、こういったことにはならなかったのですが、アナタは王都カップで優勝を果たし、その優勝賞品が私たちと共に過ごすというのであれば、私はその責務を全うしなくてはなりません」

「その責任感は大変素晴らしいと思うんですけど、なぜに模擬戦なんでしょうか?」

「? なぜと言われましても……私たちと過ごすということは、一緒に訓練に参加するということだと私は勝手に思っていたのですが……違うのですか?」

アカン、この人自覚がねぇ!

絶対この権利を用意したローナさんの意図は、美人だらけのワルキューレのみなさんや、ルイエスさんと一緒のときを過ごせることを楽しむためだと思う。

それなのに、ルイエスさんは、訓練を一緒に受ける権利が与えられると勘違いしているようだ。

というより、訓練を受けることのとこが賞品なんですかね?

「まあとにかく、一度アナタの腕を見てみましょう。私に指摘できるところがあれば、指摘しますし、それを修正できれば、アナタは今以上に強くなれるでしょう」

「へっ? いや、ちょっ……」

ルイエスさんに声をかけようとするが、彼女はすでに俺から離れ、いつでも模擬戦が始められる体勢になっていた。

そして、クラウディアさんたちや、他のワルキューレのみなさんは、俺たちから大きく離れ、もはや完全に観戦モード。逃げ場がねぇ……!

呆然とする俺に、ルイエスさんは声をかける。

「私はいつでも大丈夫ですよ?」

「え? あの、俺……」

「それではまず、防御面から見てみましょうか」

俺のバカ野郎……! ハッキリと断れよ! もう断れる雰囲気じゃなくなったじゃねぇか!

自分に激しいツッコミをしていると、ルイエスさんは静かに木剣を抜いた。

「さて、それでは――――参ります」

「っ!?」

ルイエスさんは、さっき戦いを見ていたときのように、心眼のスキルが無意味に思えるような速度で俺に迫ると、俺のみぞおちに鋭く打ち込むように振るってきた。

その攻撃を、俺はほぼ反射のような形で、思いっきり後ろに飛ぶことで避ける。

その際、地面に小さいクレーターができたけど……うん、気にしない。

「……驚きました。まさか、私の初撃が簡単に躱されるとは……」

「いや、簡単じゃなかったんですけど……」

「いいでしょう、ここからは全力で行きますよ」

「何でこうも話を聞かない人が多いの!?」

簡単じゃないといったのに、全力での攻撃を宣言するルイエスさん。そのうち泣くぞ、俺。

そんなことを思っていると、ルイエスさんは今度こそ、本当にスキル心眼で捉えられないような速度で、離れた位置から木剣を振るった。

……シュパンッ!

「ちょっと!? 攻撃の動作と音が、かみ合ってないんですけど!?」

ルイエスさんが木剣を無音で振り下ろしたかと思うと、少し遅れて音が聞こえた。い○こく堂さんもビックリだよ!

そして、驚く俺に追撃する形で、音速を超える斬撃が迫る。

「もうこの人イヤッ!」

俺は横っ飛びでその斬撃を避けた。

だが――――。

「っ! っ! っ! っ!」

……シュパパパパンッ!

再び音速を超える斬撃が、4つも俺へと飛んできた!

音速超える斬撃って何よ!? これ、人間辞めてる俺じゃなかったら確実に死んでる攻撃だよね!?

第一、木剣で再現できる攻撃じゃねぇよ! 避けた後、地面に綺麗に斬痕が残るとか、わけ分かんねぇ!

次々と襲い掛かる音速を超える斬撃を、俺はいろいろな体勢で避け続ける。うおっ!? 顔面当たるとこだったぞ!?

「……ルイエス様も大概だけど、その攻撃を無傷で避け続ける誠一君も十分人間を辞めてるね」

「さすが、ロバで王都カップを優勝しただけはありますね。レベル、いくつなんでしょうか?」

「いや、それ以前に、ルイエス様の本気の斬撃を避けてる誠一君が異常だ。仮に、彼が人類の最高レベルである、500であったとしても、同レベルのルイエス様の攻撃を無傷で避けられるわけがない。彼、本当にただの冒険者なのかい?」

「うーん……一応、ジョージ君に調べてもらったんですけど、本当に最近この街に来て、ギルドに登録したばかりの新人冒険者らしいですよ」

「……ジョージ君、大活躍だね」

俺が必死に避け続けているなか、クラウディアさんたちはそんなほのぼのトークをしている。チクショウ!

「……本当に驚きました。まさか、私の本気が通用しないだなんて……」

ルイエスさんから放たれる斬撃を、一心不乱に避け続けていると、少しショックを受けたような声音でルイエスさんはそう呟いた。

「……なら、これはどうですか?」

「!」

一度斬撃の嵐が止まったかと思うと、今度は最初のとき以上の速度で、俺に接近してきた。

「ハッ!」

そして、俺の頭上から振り下ろす形で、ルイエスさんは鋭い一撃を放ってきた。

その速度と鋭さに、俺は避けることができない。いや、本当にヤバいんだけど!?

確かに、最初の攻撃を避けたときのように、多少本気でよければ、避けることは可能だろう。

だが、それ以上に、俺の反射速度を上回る一撃が、俺に振り下ろされているのだ。

そもそも、俺がムキになって戦う必要もないので、わざと攻撃に当たって、ダメだしされて終わらせることも考えていた。

でもさ? 無理でしょ!? 木剣で地面に斬痕残すとか、どんな攻撃してんの!? これ、黒龍神の『透過』みたいなスキル使われてたら、間違いなく俺の体がみじん切りにされちゃうよ!? 怖くて攻撃に当たりに行けねぇよ!

最初の攻撃を避けたとき、思わず少し本気で避けてしまったせいで、地面にクレーターを作った俺だけど、ルイエスさんも十分化物ですよね!?

一応、勇者召喚されたみんなと同じ高校出身ってことは、何かの拍子で勇者扱いされるかもと思っていた俺は、なるべく目立つことを避けたかったので、人がいる前では今まで全力を出していなかった。

でも、ルイエスさんの攻撃は、思わず少し本気で避けてしまう程、ヤバいものだった。

……この攻撃食らっても、俺、死なないかな? 死ななくても、痛そうだなぁ……。

徐々に迫る木剣を眺めながら、諦めの境地に達したそのときだった。

『スキル【進化】の効果が発動しました。これにより、体が戦闘に適応されます。体の適応により、スキル【心眼】はスキル【索敵】と合成され、スキル【世界眼】に変更しました。さらに、スキル【反射防衛】を習得しました』

少し久しぶりにそんな無機質な声が、脳内に流れた。

唐突な脳内に流れる声に驚いていると、ついにルイエスさんの木剣は俺に到達し、そこから大きな力が加えられるところまで来ていた。

しかし――――。

「っ!?」

俺の体が、その状況をひっくり返した。

脳天に当たった木剣から、伝えられる力を流すため、木剣の振り下ろされる向きと同じ方向に木剣の速度以上の速さでしゃがむと、バク転の要領で少し距離をとると同時に、足を振り上げる動作でルイエスさんの振り下ろしていた腕を蹴り上げ、木剣を手から放れさせた。

そして、目を見開くルイエスさんに、俺は着地してすぐ、首筋に木剣を当てたのだった。