軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

205、空を飛んで戻る!

『そろそろ行くぞ。早くその研究とやらを見てみたいのだ』

『はい。もちろんです』

「じゃあ皆さん、私は先に戻るので、サディール王国への報告など色々とよろしくお願いします。私は大陸会議に報告しておきます」

最後にそう言ってディアスの下に行こうとしたところで、サシャがビシッと勢いよく挙手をした。

「はい! 俺も連れてって欲しいっす!」

「俺も頼みたい」

そのすぐ後にロランもサシャの隣に並ぶ。二人が言っていることをマルティナから聞いたディアスは、少し考え込んでから頷いた。

『まあ、いいだろう。確かに我を信頼するには時間が短すぎるからな。ではマルティナと男二人、それからそちらの別世界の女もついて来い。お前は癒し系統の力が強いだろう? まだ我の体は万全ではないのだ。癒してくれないか?』

ディアスの頼みに、ハルカは困惑しながら答える。

「頷きたいところですが、わたしは浄化の旅を続けなければいけなくて……」

その言葉と世界の事情を伝えると、ディアスからは衝撃的な答えが返ってきた。

『そんなもの、後で我が瘴気溜まりとやらを巡って飛んでやろう。地上をちまちま移動するよりよほど早いぞ』

「え、いいのですか?」

『そのぐらいなら構わない。その瘴気溜まりというものが生まれているのは我のせいであるようだしな』

ディアスが飛んでくれるならば、浄化の旅を続ける必要はなくなる。ハルカはまだ悩んでいる様子ながらも、マルティナと共にいたいという気持ちが強いのか、ゆっくりと頷いた。

「では、一緒に行きます」

そう決めてからマルティナに視線を向けたハルカは、とても嬉しそうな笑顔だ。

「私も乗ることはできるでしょうか」

ハルカの同行が決まった時点で、フローランもすぐに手を挙げる。さらにハルカが人数の追加を問いかけた。

「あ、あと麓の街にいるソフィアンさんも……ラクサリア王国の王子殿下なので、いらっしゃればこれから行く先で物事が円滑に進むと思います」

どんどん増えていく状況にディアスは面食らった様子で、少し大きめな声を出した。

『お前ら意外と図々しいな? まあいい、分かった。六人だな。しかしそれが限度だ』

『分かりました。ありがとうございます』

マルティナが受け入れたことで話がまとまる。

『じゃあ、竜の姿に戻る』

『はいっ』

「皆さん、ディアス様が竜に戻ります!」

マルティナの声が辺りに響いた直後、ディアスの体が光を帯び始めた。その光は少しずつ強くなり、膨張していき――ついには先ほどまでカルデラ湖で見ていた竜の姿になる。

やはり竜の姿には、どうしても恐怖を覚えてしまった。

『ほら、早く乗るといい』

しかし、そう言って地面に寝そべる形になったディアスに、マルティナは体に入っていた力を少しだけ抜くことができる。

マルティナたちは、ディアスの背中に恐る恐る乗り込んだ。もちろんマルティナが自力で乗れるわけもなく、ロランとサシャに抱き抱えられる形だ。

そうして五人が乗ったところで、ディアスは魔法を使った。マルティナたちの体が背中に固定される。

『風魔法のようなものだ。落ちることはないから安心するといい』

『はい』

『では行くぞ』

「ランバート様っ、あとをよろしくお願いします!」

マルティナが叫んだ言葉にランバートが頼もしく拳を掲げ、それが見えてすぐにディアスは空へと飛び立った。

「うわっ」

「さすがに怖いっすね」

「ハ、ハルカ……」

「マルティナ、絶対に下は見ちゃダメだよ」

ロランとサシャは恐怖よりも興味が勝ったのか下を覗き込み、少し後悔しているようだ。マルティナとハルカは二人で両手を繋ぎ合って、お互いを励ましている。

「もちろんっ。絶対に見ない……!」

しかしそんな時間も次第に楽しくなり、マルティナはハルカに告げた。

「ハルカ、これからは一緒にいられるかもしれないね」

ハルカが浄化の旅に出る必要がなくなれば、マルティナと離れる必要がないのだ。

「うん。そうなったら凄く嬉しいな」

「私も」

二人がそんな話をしているうちにディアスは霊峰を急降下して、数分もかからず麓の街に到着する。

街から少し離れたところに着地したディアスによって、もちろん街は大騒ぎとなったが――ひとまずマルティナたちはディアスに急かされて碌な説明もできずに、ソフィアンのみを連れてまた空に飛び立った。

「申し訳ないことしちゃったね……」

「ランバート様がなんとかしてくださるだろ……多分」

ロランのその言葉に、全員が気の毒そうな表情を浮かべた。

それからは突然の事態に、さすがに混乱している様子のソフィアンに色々と説明をして、ソフィアンが詳細を理解してこれからのことを考え始めたところで――ディアスが言った。

『もしやあの街か?』

『あ、そうです。あの街で一番大きな建物を王宮って言って、私はその中で研究をしてます』

『よしっ、広い場所があるからあそこに降りるぞ』

なんだか楽しそうなディアスが示したのは、王宮の敷地内にある騎士団の訓練場だ。

こうしてマルティナたちは、予想外な速度でラクサリア王国への帰還を果たした。