軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

117、浄化で救われた街へ

瘴気溜まりの近くにある街は川の対岸にあるため、橋を渡らなければ行けなかった。そこでハルカたちはまず橋に向かうと、そこには橋を守る騎士と、対岸にある街の兵士たちがたくさん詰めている。

そんな緊張感のある皆に向かって、ハルカが告げた。

「皆さん、瘴気溜まりはわたしが消滅させました! もう過剰な防衛は必要ありません。騎士たちが魔物を討伐していくことで、そのうち今まで通りの平穏が戻ってくると思います!」

ハルカの宣言を聞いた皆は、一気に沸く。

「本当か……!?」

「ありがとう、ございますっ」

「ハルカ様、ありがとうございます!!」

「やったぞ……っ!」

事前にハルカが訪れることは聞いていたが、本当に瘴気溜まりが消滅させられるのかは信じきれなかったのだろう。皆は緊張感から解放されたようで、感極まった表情で浄化の成功を讃え合った。

皆の嬉しそうな顔を見ていると、ハルカの頬も緩む。

「街が無事なうちに瘴気溜まりを消滅できて良かったです」

「ハルカのおかげだ。いつも本当にありがとう」

ソフィアンからの感謝に、ハルカは首を横に振った。

「いえ、ソフィアンさんも感謝される側ですよ。ソフィアンさんがいなければ、わたしの浄化の旅は上手くいってませんから」

ニコッと親しみのこもった笑みを浮かべながら見上げたハルカに、ソフィアンの表情も緩んだ。

「そう言ってもらえると嬉しいよ」

「ふふっ、ソフィアンさん、ちょっとだけ照れてます?」

「どうだろうね」

本心を悟らせない笑顔で首を傾げたソフィアンに、ハルカは少しだけ不満げに唇を尖らせた。

「ソフィアンさんってさすが王子様ですよね。本心を悟らせてくれないっていうか。いつも完璧で。もうちょっと気を抜いてもいいですよ?」

「これでも気を抜いていることは結構あるのだけど」

「本当ですか? フローランさん、分かりますか?」

護衛のフローランに話を振ると、フローランは真面目な表情で首を横に振る。

「いえ、殿下はいつも完璧です」

「ですよね〜。そういうフローランさんもいつも完璧なんですけど。表情が崩れたところをあまり見たことがない気がします」

仲良くなったけど微妙に距離がある二人と、どうすればもっと仲を深められるのか。できればマルティナやナディアみたいに仲良くしたいのに。

そんなことを考えながらハルカが悩んでいると、橋を守っていた騎士と兵士の興奮が少し落ち着いたようだ。ハーディ王国の騎士たちが話を通してくれて、ハルカたちは問題なく橋を通れることになる。

「行きましょうか。今回はどんな街なのか楽しみです」

それから到着した街で、ハルカたちは大歓迎を受けた。事前にハルカによって瘴気溜まりが消滅したことは広められていたようで、ハルカたちが街に足を踏み入れた瞬間に、割れんばかりの歓声が沸き起こる。

「ハルカ様、ようこそ我らが街へ!」

「ぜひゆっくりとして行かれてください!」

「我々をお救いくださり、感謝申し上げます!」

「毎日星々にお祈りしていたのです。これからも変わらず祈り続けます……!」

「日々感謝を星に向かって伝えさせていただきます!」

普通の歓声の中に結構な割合で、星女教に纏わる内容が混じっていた。その事実にハルカはつい苦笑を浮かべてしまう。

(聖女教への対抗策だった星女教が、まさかこんなに広まるなんて……直接わたしに対して祈りを捧げられるよりはいいけど、これも少しくすぐったい)

「皆さん、ありがとうございます! しばらくはまだ危険ですから無茶はせず、日常を取り戻してください!」

頑張って声を張って伝えると、声が届いたかどうか定かではないが、さらに歓声が大きくなった。

それからも大歓声の中をひたすら進み、ハルカたちが着いたのはこの街にある代官邸だ。基本的にハルカたちは混乱を避けるためにも、その街の貴族邸や代官邸に泊まることが多い。

「ハルカ様、ようこそお越しくださいました」

代官邸の前にはずらっと迎えの者たちが並び、その中央にいた優しげな代官が笑顔で頭を下げた。

「この度は瘴気溜まりの浄化、誠にありがとうございます。この街に住む者、全員が心から感謝しております。ささやかですがもてなしの食事を準備しておりますので、お楽しみいただければと思います。一晩、ごゆっくりと休まれてください」

「ありがとうございます。お言葉に甘えて、一晩お世話になります」

丁寧な態度のハルカに代官側の者たちが少し慌てつつ、聖女一行は代官邸の中に足を踏み入れる。少し古い建物であったが綺麗に掃除をされていて、心地良い雰囲気だ。

(このぐらいの豪華さだと落ち着くね……)

豪華すぎる貴族の屋敷で盛大なもてなしを受けたことを思い出し、ハルカはつい遠くを見つめてしまった。

「お部屋までご案内いたします」

「はい。よろしくお願いします」

そうして準備された客室に向かい、ハルカは夕食までの時間をのんびりと過ごした。