軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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2学期は忙しい。

体育祭に学園祭と続くのだ。

例によって、私は体育祭ではクラスの足を引っ張らないような種目だけに出る。

ギャル系のグループの子達は張り切ってリレーなどにエントリーしていた。

そういえば、去年は望田さんが体育祭でミスをして、いじめられるはめになったんだったな。

さすがに私がミスしたところで、いじめられるとは思わないけど、気を付けないと。

円城はリレーには出ても、騎馬戦には出るつもりはないようだった。てっきり皇帝と同じで張り切って出るのかと思ったけど。

でも確かに今まで円城が騎馬戦に出てるのって見たことないな。円城も出たら騎馬戦はさらに盛り上がると思うんだけどなぁ。

すると円城は「僕には雅哉のように、騎馬戦に対しての情熱なんてないし。隣であいつの意気込みを見ていると、とても出たいとは思わないなぁ」と笑って言った。

今からその騎馬戦に出る選手を決めるのに…。生贄候補の男子達はどよーんとした空気を漂わせはじめた。

なんとかじゃんけんで選手を決めて、少しでも生き残れるように練習しようという話になった時、「あいつ、去年生徒会長に苦戦させられて、相当悔しかったらしく、兵法の本を読んでいた」という円城のありがたくない情報を聞いて、さらに男子がどよーんとした。良かった、私は女子で。

体育祭の練習でも、女子達は円城の応援を夢中でしているので、ほかの男子達も少しは応援しようよと、根回ししてみた。クラスのために頑張っているのに、あの粗末な扱いはあんまりだ。

私は今まであのふたりと一度も同じクラスになったことがなかったので、この熱狂に少し驚いた。大変だなぁ。去年までの平和なクラスが懐かしい。

それでもまだ私のクラスはマシらしい。鏑木と同じクラスの乙女委員長は、体育祭が始まる前からすでにげっそりしていた。皇帝の騎馬に選ばれてしまった男子達は死んでも負けるわけには行かないと必死に練習し、女子達は皇帝に勝利を!と騎馬戦以外にも、鏑木と一緒にリレーなどに出る男子達にプレッシャーをかける。その板挟みになって苦労しているらしい。

円城が熱い男でなくて良かった…。

結局、本番の騎馬戦は外部生の生徒会役員の男子が乗る騎馬が最後まで残っていたけど、兵法まで学んで臨んだ皇帝の敵ではなかった。

来年は彼ももっと精進してくるのだろうか。まぁ頑張れ、銀髪君。

体育祭が終わり中間テストが終わると、今度は学園祭だ。忙しい。

クラスは任意参加なのだけど、私のクラスは出るらしい。お化け屋敷や模擬店といった候補もあったが、そもそもありがちな、たこ焼きやホットドッグを食べたことがない生徒がほとんどなのだから、いい案が浮かばない。

カフェも候補に挙がったが、“私達のクラスの円城様”をほかのクラスの女子達に取られてなるものかと、反対意見が出たので流れた。

結局最後に残ったのは、手作りキャンドル販売だった。

みんなで工作気分でアロマキャンドルやジェルキャンドル、モザイクキャンドルやフラワーキャンドルなどを作っていく。

元々儲けようなどと考えてはいないので、材料も良いものを集め、中学生が作ったにしてはかなりのクオリティだと思う。

円城の作るキャンドルには、すでに予約者が殺到していた。

私もホットプレートで溶かしたワックスで、ちまちまお花の形のキャンドルを作る。

ピンクの顔料を混ぜたので結構可愛い。ブレンドしたアロマオイルも入れてある。私にしてはいい出来じゃないか?

そのうちアロマオイルだけではなく香水を使う子も出てきたりして、教室はあらゆる匂いが混じって、頭痛を訴える子が続出し、換気が必須になった。

そして全員がキャンドル作りのノルマを果たし、無事、学園祭当日を迎えることができた。

キャンドルの売れ行きは上々のようだ。

買っていくのは生徒達やその父兄、OGなど。瑞鸞は防犯上、招待客を厳選しているのでほとんどが身内だ。

円城手作りのキャンドルは、最終的にオークションにかけられ、その金額は天井知らずに上がっていったが、さすがにキャンドルにその値段はまずいとストップがかけられ、くじ引きとなった。

私の作ったキャンドルは売れるかしらとドキドキして見ていたら、何人かの人が買っていってくれたのでホッとした。その中に手下を引き連れた璃々奈がいたのには驚いたけど。

売り子さんは数人でいいので、残りの生徒達はほかのクラスや部活の、模擬店や展示などを見に行った。

私も友達といろいろと見て回ることにした。

どこから見るか決めるため、フランスの高級茶葉を使ったカフェで、お茶とクッキーをいただきながら、パンフレットを見る。

結構いろいろあるなぁ。地味なのもあるけど。華道部の生け花の展示とか、おば様方しか行かなそう。

一応一通り回って、人気のある出し物は空いているときに行こうとみんなで決めた。

文芸部の教室の前を通ったとき、そういえば委員長は文芸部に入ってたなと思い出し、中に入ってみた。

文芸部の展示品は部員による書評や自作の小説や俳句、詩などだった。

ふんふんと適当に流し見ていた私の目がその時、驚愕である1点に釘付けになった。

海の絵が描かれている薄い青のポストカードに

“灰色だった僕の世界が、鮮やかに色づいた。そうか、僕は恋に落ちたのか”

いいんちょーーーーーーう!!!!!

委員長、あんたなにやってんだ!どうした!?いったいなにがあったんだ?!

そこには確かに委員長の名前で、恋のポエムが書かれていた。

私はあまりのショックによろめいた。

これは、あれか。あの有名な中学生が罹るという不治の病か。

委員長、あんた本人に告白する勇気はないくせに、なんという大胆なことをするんだ。

断られるのが怖いと言いながら、なぜ不特定多数の人間に片思いをカミングアウトするか。

疲れてたのかな?皇帝と同じクラスで体育祭、学園祭の仕切りは大変だもんね。きっとそうだね。

「これ、あの委員長ですよね。恋に落ちたって相手は誰?!」

「あの真面目な委員長がね~」

「意外すぎてびっくり…。委員長の好きな子って心当たりある?」

一緒にいた友達もザワザワしていた。私の心もザワザワしている。

委員長、君の勇気に天晴だよ。そしてその勇気を本人に向けろ。

これじゃたぶん、美波留ちゃん本人には、自分のことだと気づいてもらえないぞ……。

それとも本人に気づいてもらうつもりは始めからないのか?詩人の心の声を綴っただけなのか?

あぁ、委員長…、あたしゃ本当にびっくりだよ。

学園祭が終わった後、問題の委員長のポエムが話題になり、相手は誰だと騒がれたが、それを一喝したのはなんと皇帝だった。

「ひとの恋路はそっとしておいてやれ」だそうだ。同じ恋する男子として、委員長に共感したらしい。

良かったね、委員長。最強の味方を手に入れたようだよ。

そして案の定、美波留ちゃんは委員長の気持ちに、全く気付いていないようだった…。

頑張れ、委員長。負けるな、委員長。乙女な委員長を私は応援しているよ。

それから私はこれが将来、君の黒歴史にならないよう、切に祈るよ。