軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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結果として、補習に参加していた生徒達と仲良くなることは出来なかった。

葵ちゃんのアドバイス通り、朝教室に入って行った時に、近くにいる生徒達に順に「ごきげんよう」と笑顔で声をかけたけど、初日は挙動不審になる子が何人かいた。

それでも毎日続けているうちに、徐々に普通に挨拶をし返してくれるようにはなった。

でもそこから進展はしなかった。怯えなくなっただけマシかなと思うことにした。

そして新学期、久しぶりに会ったグループの子達は私を見て、「あら麗華様、痩せました?」と言った。あんた達、やっぱり私が太ってきていたことに気づいていたな。

陰で子狸ロールとか言ってたら許さないぞ。

私が補習を受けていたことを知った友達のみなさんは、なぜか「さすが麗華様。勉強熱心ですわ」と私に都合のいい勘違いをしてくれた。誤解は解かないでおいた。

休み明けは体育祭の出場種目決めから始まった。

中等科になると生徒会もあるし、体育委員や部活の代表もいるので、初等科の実行委員のようなものはなくなった。

しかし、そのぶん学級委員がクラスの代表として体育委員と共にいろいろ動く事になるらしい。

私は張り切った。

やっと生徒会と接点が持てる!

先輩のためなら、いくらでも手足となり働きましょう!さぁさぁ、ちゃっちゃと種目を決めて私を生徒会室に送り出すのです!

中学生になってリレーの種類が増えた。走るのが嫌いな私には、なるべく関わりたくない種目だ。

私は大縄跳びと玉入れのほかに、友達に誘われて二人三脚に出る事にした。

一番揉めたのは、男子の騎馬戦だった。なかなか立候補者が出なかったのだ。それはそうだろう。だって騎馬戦には絶対ヤツが出てくるのだから。

前に騎馬戦に出た男子から聞いたのだが、すさまじい勢いで追いかけてくる皇帝とその馬の迫力は、他の騎馬とは桁違いの恐ろしさだそうだ。

きっと今頃、皇帝は新しい馬選びに余念がないだろう。馬に選ばれると放課後の秘密特訓に強制参加させられるらしい。そして皇帝に鍛え上げられた馬は、本番で馬力の違いをみせつける。

そりゃあ出たくないよなぁ。私、男子じゃなくて良かった。

結局は、事情を知らない外部生の男子と、じゃんけんで負けた不運な男子達が出る事になった。頑張っておくれ。

なんとか出場種目も決まったので、生徒会主催の体育祭会議に向かう。ほら、委員長早く行きますよ。もたもたしない。

委員長は同じ会議に美波留ちゃんも出るというので、反射する窓ガラスを使って髪型を整えたりしていた。乙女だ。

会議室にはすでに生徒会役員が揃っていた。その中心にはもちろん会長のロミオ先輩も。

あぁっ、久しぶりに間近で見たよー!

夏休みに海に行ったのか、日焼けしていてさらにワイルドさに磨きがかかっております!

思わず口角があがって満面の笑みになりそうなので、歯を食いしばって耐える。ひとりで笑っている変な子だと思われたくない。でも口の筋肉が勝手に動く!

ロミオ先輩と目が合った!不思議そうな顔された!やっぱり私の顔、変だった?!

会議では注意事項や係決めなどを話し合って、最後にクラスごとの種目選手が記入されたプリントを提出して終了。

そこで提出されたプリントを見ていたロミオ先輩が、「そういえば騎馬戦にとんでもなく強いのがいるんだって?」と言い出した。

「俺も騎馬戦出るんだよなぁ。勝てるかなぁ」

なぬっ?!

ロミオ先輩が騎馬戦に出るですと!それは絶対応援せねば!

私はプリントを手渡す時に、

「先輩、騎馬戦頑張ってください」

と、勇気を振り絞って言ってみた。

先輩はちょっと驚いた顔をしたけど、すぐに笑顔になって「ありがとう」と言ってくれた。

やった!

体育祭の準備で先輩とお近づきになろうという私の計画は、ほとんど叶わなかった。

学級委員はクラスの雑用ばかりで、体育祭全体の準備は生徒会と運動部と体育委員が中心でやっていた。

それでも少しでも生徒会室に行く用事があれば、率先して私が行った。

委員長から生暖かい目で見られたので、余計なことは言うなと無言で威嚇しておいた。

一度だけピヴォワーヌのサロンで余っていたお菓子をごっそりもらって、差し入れてみた。すると「おー、これおいしいんだよね。ありがとう!」と眩しい笑顔で言われたので、その笑顔の為なら私、いくらでもお菓子の横流しをします!と言いそうになった。

しかし先輩はあんなにお菓子をばくばく食べても、全然太らない。そういえば鏑木もサロンでよくマカロンだのチョコレートだのを食べてるけど、無駄な贅肉が一切ない。

なんかそれってずるくない?

そして当日、今年もお母様一押しの強力日焼け止めを塗って、私は体育祭に参加した。

花形競技には出ないので、ひたすら応援。

大縄跳びは他のクラスがミスをしたので、わりと好成績で終わった。大縄跳びがこんなに疲れるものだとは思ってもみなかった。

部活対抗仮装リレーでは、陸上部の秋澤君が白雪姫の女装をして走っていたので、デジカメで連写した。あとで桜ちゃんにあげよう。なかなかの美人さんだったよ、秋澤君。

リレーに参加した鏑木と円城は、レモンの蜂蜜漬けを持った女の子達に囲まれていた。あんなに大量に渡されても、食べきれないだろうに。

レモンの蜂蜜漬けって、よくマンガや小説で運動部の差し入れの定番として聞くけど、実は私は食べたことないんだよね。おいしいのかな?

それぞれの競技をこなし、午後はいよいよ騎馬戦の時間になった。

皇帝の騎馬が現れると、歓声がひときわ大きくなった。威風堂々とした皇帝と、鼻息も荒い騎馬。相当練習してきたようだ。自信にみなぎっている。

「鏑木様ー!」という声援のほかに「皇帝!」という声もあちこちから聞こえる。うぷぷ。

そして、ロミオ先輩の騎馬も競技場に入ってきた。先輩頑張って!

本当は声に出して応援したいけど、人目を気にして心の中でしか応援できない。うわ~ん、もどかしい!

大声援の鏑木・皇帝コール以外に、「友柄くーん、頑張ってー」という声援も混じっている。

まずい。先輩は思いのほかモテるようだ。ライバルが多い。なんということだ。

焦る私を尻目に、騎馬戦はスタートした。

鏑木は近くにいる騎馬から片っ端から潰していく。逃げ惑う騎馬に襲いかかる皇帝騎馬。あ、あれ私のクラスの騎馬だ。引き摺り落とされてる。あ、転んだ、潰れた。

うん、君達はよく頑張ったよ。同じくボコボコにされた他のクラスの騎馬達と、心の傷をなめあっているようだ。成仏してくれ。

ロミオ先輩も負けていない。的確な指示を与えながら敵を捕らえていく。素敵です先輩!

そして狩りつくされた競技場に最後に残ったのは、皇帝騎馬とロミオ先輩だった。

ロミオ先輩、ロミオ先輩頑張って!

私が必死で祈っていると、横にいた友達が「大丈夫ですわ。鏑木様がきっと勝ちます」と言ってきた。違う!そっちじゃない!

皇帝とロミオ先輩の一騎打ちは、ほぼ互角の戦いをしていた。あの向かうところ敵なしの皇帝騎馬にここまで善戦した騎馬を見たことがなかったので、私も周囲も驚いた。

もしかしたら勝てるかも?!と思ったところで、先輩の馬がよろけて、その隙を突かれて先輩はハチマキを奪われてしまった。

競技場は大歓声に包まれた。今日一番の盛り上がりだった。

負けてしまった先輩は、それでも楽しそうに笑っていた。ここまで苦戦を強いられたのが初めてだった皇帝は、勝ったのに少し悔しそうだった。

あれはきっと、来年もっと練習量増やしてくるな…。

総合ではロミオ先輩のクラスが優勝した。しかしMVPはリレーと騎馬戦で勝った皇帝だった。

皇帝は片手に持ったトロフィーを高々と掲げた。あんた実は結構ノリノリだね。