軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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お兄様も高等科を卒業し大学生になり、私は6年生になった。

お兄様の制服姿もこれで最後かと思うと寂しくて、何枚も一緒に写真を撮ってもらった。

やっぱり瑞鸞の高等科の制服はかっこいい!

これからも家の中で制服を着せて見せて欲しいと頼んだけど、断られてしまった…。

別に家の中だけだったらいいと思うんだけどなー。

優理絵様と愛羅様も高等科に進学し、皇帝鏑木は小学生の自分と更に差が開いてしまって落ち込んでいた。

高校生が小学生を恋愛対象に見るなんて、無理がありすぎるもんねー。

いい加減諦めればいいのにと思うけど、この初恋は鏑木が高校生になるまで続くんだから、今の時点で諦めるはずはないか。

愛羅様情報によると、鏑木は優理絵様のストーカーはしていないけど、あまりに会えないと直筆の手紙で情に訴えてくるらしい。前回成功したから、味をしめたようだ。

私も6年生になり、来年はエスカレーター式で名ばかりといえど内部受験が控えているので、家庭教師を付けてもらう事になった。

家庭教師の先生は、国立大学に通う 逢坂花梨(おうさかかりん) 先生。

週二回教えてもらう。

塾での模試では中の上から上の下。進学校に通う子供達ばかりの中では健闘していると思うけど、小学生の中に交じってトップが取れないっていうのはいかがなものか。

中学に上がれば、算数が数学という化け物に変わる。今のうちから頑張っておかねば。

花梨先生の教え方はわかりやすくて、勉強がはかどる。やっぱり塾もいいけど1対1だとわからないところをすぐに教えてもらえるからいいね。

前から時々、お兄様にも教えてもらっていたけど、緊張感が違うし。どうしても身内は甘えちゃうからね。

「麗華さんは飲み込みが早いわね。もうここまで出来たの、さすがだわ」

などと、花梨先生はよく褒めてくれる。

花梨先生は褒めて伸ばすタイプらしい。

そして私は褒められて、おだてられて喜んで木に登っちゃうタイプなので、花梨先生とは相性がいいと思う。

塾の国・算クラスでは、あの冬の日以来秋澤君と蕗丘さんと3人で並んで座っている。

蕗丘さんを真ん中に、私と秋澤君が挟む形。秋澤君を真ん中にするのは、蕗丘さんが許さなかったので。

蕗丘さんとはメアドを交換したりして、ずいぶん仲良くなった。

和風美少女の蕗丘さんは、顔に似合わず結構毒舌だ。

今年のバレンタインデーに、私は手作りチョコを葵ちゃんと蕗丘さんにあげた。

瑞鸞では、バレンタインチョコは市販品で更に高級店の物が望ましいという慣習があるから、手作りチョコを家族以外にあげるのは初めてだ。

去年は愛羅様に作り方を教えてもらって、お父様にも「今までで一番おいしい」と褒められたんだけど、今年は愛羅様も内部受験で忙しそうだったので、去年教えてもらったレシピを使ってひとりで同じ物を作ってみたのだ。

お兄様も「去年と同じでおいしいよ」と言ってくれた。

だから自信を持ってふたりにあげた。

葵ちゃんは「おいしかった」と言ってくれたけど、蕗丘さんは「いまひとつね」だった…。

「まずくはないけど、なんだかパッとしない味なのよ。安物のチョコ使った?」だって。失礼な!ベルギー産だ!

そう文句を言ったら、「ベルギーに謝れ」と言われてしまった…。

蕗丘さん、あんた外見と中身のギャップが大きすぎるよ……。

ちなみに秋澤君にはあげていない。友チョコだろうと義理チョコだろうと、蕗丘さんが怒りそうなので。

私の中で蕗丘さんは、なんとなく敵にまわしちゃいけない人に認定されている。

蕗丘さんは将来、秋澤君の素敵なお嫁さんになるために、料理を習っているそうだ。

凄いな、蕗丘さん。私より人生設計しっかりしてる。しっかりしすぎてて、ちょっと怖い。

そして秋澤君、君はもう本当に逃げられないよ。私も蕗丘さんが怖いから助けてあげることはできない。不甲斐ない友を許せ!

そんな蕗丘さんには、「吉祥院さんも習ってみたら?」と誘われたけど、今年は受験勉強もあるし忙しいから無理そうだと断った。

家に帰ってお兄様に、「味がパッとしなかったと言われた」と話したら「こういうのは味より気持ちの問題だから」と、微妙なフォローをされた。

中等科にあがったら、本当に習いに行こうかな……。

葵ちゃんは目下のところ、私の癒し友達だ。

おとなしくて引っ込み思案に見えるけど、仲良くなるとよく笑ってくれる。

葵ちゃんは間違っても「パッとしない」なんて言わない子だ。なんていい子。

そして葵ちゃんからは、お正月にお祖父ちゃんの家に遊びに行ったお土産としてなんと!とろろん芋タロウのぬいぐるみキーホルダーをもらったのだ!これは嬉しい!

私はさっそく、自宅の鍵に付けた。うちには常にお手伝いさんがいるし、送り迎えをしてくれる人もいるので、私が自分で鍵を使う事は、まずない。でも一応、万が一のために持っているのだ。

そんな鍵にとろろんが揺れている。情けない顔がとても可愛い。

葵ちゃんのお土産センスは凄い。私の欲しいものを的確にくれる。

春の連休のお土産には、なんと!ご当地限定ポテトチップスをくれたのだ!

夢にまで見たポテトチップス!かさばるから買えなかったポテトチップス!

葵ちゃんは「吉祥院さんは、こういうの食べないかもしれないけど…」なんて恥ずかしそうに言ってたけど、食べるよ!むしろ大好物だよ!6年間ずっと食べたかったよ!

お土産袋に入ったそれを、お母様達に見つからないように部屋に持ち帰り、夜中にこっそり食べた。

懐かしい、チープな味に体が震えた。

一度に食べたらもったいないから、少しずつ食べようと大事にしまっておいたら、次の日湿気ってて泣けた。

ちなみに心の中では葵ちゃん葵ちゃんと呼んでいるけど、本人の前では「頼野さん」。

勇気がなくて名前で呼べない。えっ、いきなりどうしたの?って思われたらヤだし。

こういうのはきっかけが難しいね。

担任の先生からは学級委員長をやって欲しいと頼まれた。面倒だし仕切るのとか苦手なので断ったら、だったら副委員長でいいと畳みかけられて、結局副委員長なら…と引き受ける羽目になってしまった。

たぶん最初から副委員長を押し付ける気だったのだろう。委員長には何度か学級委員長をやっている男子がなっていたから。

先に大きな要求をして断られたら、次に小さい要求をして承諾させるっていう、詐欺の手口を聞いたことがある。

まんまとやられた。結局はまた、雑用係だ。

確かに私のペンケースには、まだラメの指サックが眠っているけども。

でも今回のはクラス内のことだけなので、天敵がいないぶん何事もスムーズだ。

提出物を集めるのも、私の後ろにいる女子軍団が怖いのか、みんな協力的だ。

委員長にも「さすが吉祥院さん」などと言われた。褒められている気がしない。

まるで取り立て屋の隣でプレッシャーをかける用心棒みたいな扱いだ。

おかしい。こんなはずじゃなかった。最近私から優雅さが消えている気がする。