軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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葵ちゃんからメールがきた。数日前の返信ではナル君の名前は知らないとあったんだけど、でも少し調べてみるねと請け負ってくれて、今日はその結果、3年生に確かにいたというお知らせだ。わざわざ調べてくれてありがとう、葵ちゃん!

3年生か。私が横目で必死に見た情報では、学校名と氏名まではかろうじて見えたんだけど、学年とクラスまではチェックしきれなかったんだよね。うふふ、一歩前進。

その葵ちゃんのメールには、ナル君情報のほかに“実は私も麗華ちゃんに相談があるんだ”と書いてあった。相談?私に葵ちゃんが?なんだろう。

私よりよっぽどしっかりしている葵ちゃんが私に相談なんて滅多にない。これは友達として全力で相談に乗らねば!

どうせだったら会って話をしたほうがいいかなと思って、さっそくお互いの空いている放課後に待ち合わせの約束をした。

約束のカフェの近くに着くと、私は車を降りて少しの距離をお店まで歩いた。やっぱり立冬を過ぎるとだんだんと寒くなってきたなぁ。私は車通学だからあまり寒暖に左右されないけど、電車通学している若葉ちゃんのような子達はこれから大変だ。前世の私は真冬はストッキング2枚重ねに背中にカイロを貼って通ったもの。ストッキングを2枚履くと繊維が擦れて木目模様が出るから変なんだけど、真冬のスカートは寒いんだから背に腹は代えられない。あの頃は毎年、冬になると防寒対策が大変だったなぁ。今年は雪が降ったら若葉ちゃんどうするんだろう。長靴にはNG出されちゃったし…。

などとつらつら考えながら歩いていたら、待ち合わせのカフェに着いた。お店を覗くとすでに葵ちゃんは到着していた。

「葵ちゃん、お待たせ!」

「麗華ちゃん!」

私が声を掛けると、携帯をいじっていた葵ちゃんが顔を上げて笑顔で迎えてくれた。あぁ、癒し系…。私はアップルシナモンティーを注文した。

「どうしたの、葵ちゃん。私に相談なんて」

「うん。あのね、瑞鸞に通う2年生の男子についてなんだけど…」

そう言って若葉ちゃんはとある男子生徒の名前を出した。

「麗華ちゃん、知ってる?」

「ごめんなさい、私あまり男子の名前は知らなくて。同じクラスになっていたら覚えているのだけど…」

う~ん、その名前には心当たりがない。今まで同じクラスにはなっていないよねぇ、たぶん。

「それで、その男子がどうかしたの?」

「うん、実は…、ちょっとしつこくされてて…」

「えっ」

その瑞鸞の男子生徒と若葉ちゃんは同じ塾に通っているそうだ。そして夏期講習で一緒になったあたりから付き合ってほしいと何度も言われ、断ってもしつこく言い寄られて困っているという…。

「そんなことが…」

「うん。困るって言ってるんだけど、帰りに待ち伏せされたり…」

「待ち伏せ!それは怖いわね」

「うん…」

でもなぁ、恋する気持ちが溢れちゃったがゆえの行動ともいえるしなぁ…。こっそりナル君の個人情報を葵ちゃんに調べてもらおうとしている私に、大きなことは言えない。正面から堂々といっているその男子のほうが、私より潔いかも。

「その子と付き合う気持ちは、葵ちゃんにはないんだ?」

「それはないかな。だって私、付き合っている人いるし」

「えっ!!」

葵ちゃんが今、サラッと大変なことを言った!

「葵ちゃん、彼氏いるの?!」

「うん、いるよ」

「ええっ!」

聞いてない!そんな話、私聞いてないよ!葵ちゃん!

「いつから!」

「え、夏休み前くらいからかなぁ」

「ええっ!」

夏休みに会ったよね?私達!なんでそんな重大な話を教えてくれなかったの!ショック!大ショック!

「全然知らなかったけど、私…」

「あ~、あえて話すようなことでもないかな~と思って。それに麗華ちゃんはあまり恋愛には興味がなさそうだったから」

あるよ!むしろ私の頭の中は恋愛問題が大半を占めているよ!図書館で見かけるだけの見知らぬ男の子にプチストーカーしちゃうくらいあるよ!でもきっと今年のクリスマスも村長はひとりだよ!

「それで!葵ちゃんの彼はどんな人なの?」

「同じテニス部でね、2年になってから一緒に帰ったりするようになったんだ。それで告白されて付き合うようになったんだけど」

「へー」

私の前世からの憧れ、制服デート。国立付属校で勉強も頑張って、テニス部で楽しく汗を流し、その上彼氏までいるなんて、葵ちゃんはずいぶんと充実した高校生ライフを過ごしているんだね。

私は後輩の南君以外全員女子の手芸部に所属し、男子で仲良くしているのは唯一乙女結社の子達だけ。彼氏どころか告白すらされたことのない、木枯らしぴゅ~ぴゅ~のお寒い毎日を過ごしておりますがね。

「なんか麗華ちゃん、顔が能面みたいになっちゃってるけど…」

「気のせいだよ、葵ちゃん」

そうだ、友達が幸せなのはいいことじゃないか。心を広く持て、私!

「とにかく、その男子に葵ちゃんは困っているというわけね」

「うん。彼氏がいるからって言っても諦めてくれないんだ…」

「へー」

だったらその彼氏に守ってもらえばいいじゃんなんて、やさぐれた気持ちになっちゃダメだ、私!葵ちゃんは大事な友達なんだから!

「わかったわ。私がその子をなんとかしましょう」

「えっ、本当?!でも麗華ちゃん、大丈夫?」

瑞鸞での私の立場を知らない葵ちゃんが心配してくれたけど、もちろん大丈夫です。

でもまずは、相手を知ることから始めないとね。恋する純情男子の心を傷つけないように。

と考えていたけれど、葵ちゃんにちょっかいをかけている男子は、若葉ちゃんを攻撃している男子達の急先鋒のひとりだった。

若葉ちゃんを苛めているのは女子だけではない。男子の一部は若葉ちゃんの成績を妬んで嫌がらせをしている。

これは断罪決定でしょうか。

放課後にでも問題の男子に会いに行ってみようと考えていたら、にわかに外が騒がしくなった。

「麗華様、鏑木様が高道さんと一緒に登校してきました!」

「まぁ、また?」

教室で仲のいい子達とおしゃべりをしていたら、同じグループの子が駆け込んで報告してきた。

「前にも偶然門の前で会って、そのまま一緒に登校したことがありましたわよね。そんなに騒ぎたてなくても…」

「今回は違うんです!鏑木様の車に高道さんも一緒に乗って来たんです!」

「ええっ!」

それはさすがに驚く。なんで若葉ちゃんが鏑木の車に?!

「どういうことでしょう?!」

「さぁ…」

まさか朝から家まで迎えに行っちゃったなんてことは、さすがにないよね?でもあの鏑木ならあり得る…。

ほかのみんなと一緒に廊下を覗くと、機嫌良さげに話す鏑木と、若干困った顔の若葉ちゃんが歩いてきた。

視線がレーザービームなら、今頃若葉ちゃんは丸焦げだ。

「雅哉」

先に登校していた円城が現れた。

「おお、秀介おはよう!もう来てたのか」

「おはよう、雅哉。高道さんもおはよう」

「おはようございます」

「どうしたの、今日はふたりして」

円城がその場にいる全員が一番知りたいことを聞いてくれた。

「あぁ、たまたま外を歩いている高道を見かけてな。雨が強かったから乗って行くように言ったんだ」

「へぇ、そうなんだ」

若葉ちゃんはあははと誤魔化すように笑っていたけれど、あの様子だと確実に強引に乗せられたな。

廊下に出てきていた蔓花さん達は、完全に殺し屋の目だった──。

あの単細胞がーっ!!

殺し屋達は、お昼に行動を開始した。