軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第62話 雨季終わりの客人

栄月(ホド) は殆ど雨の日ばかりだったので、黄金の導はあまり活動できなかった。

雨季がやっと終わった 理月(ビナー) の初旬。

王城から使いがやってきた。

「ルクス様、城にお越しいただけますか?」

「えっと、今ですよね?」

「日程を決めて後日、お迎えに上がることも可能ですよ」

「あー、大丈夫です。今行きます」

「では、こちらの馬車にお乗りください」

ルクスは王家の豪奢な馬車に乗り込んだ。

対面には使いの騎士が座った。

「王城までの少しの間、お話相手になりますよ」

「あ、ありがとうございます」

二人は自己紹介をしたり、雑談をしたりした。後半は、騎士の愚痴がほぼ九割を占めていた。

話をしていると、あっという間に、王城に着いた。

「では、ご案内します」

先程まで愚痴っていた騎士と同一人物とは思えないほどに、真面目な雰囲気になった騎士。

ルクスを案内して、国王の執務室にやってきた。

「失礼します」

ノックして騎士は扉を開いた。

「おお、ルクス殿。よう参った。さあ、座りなさい」

「ありがとうございます」

国王シリウスに勧められ、ルクスはソファーに座った。

「ルクス殿、先日は貴重な情報をありがとう。お陰で、トアル村にいた邪神教団は壊滅させることができた。これは、ほんの礼だ」

シリウスは傍に控えていた侍従に目配せした。すると、侍従は金庫からお金の入った大きな革袋を持ってきて、ルクスに渡した。

「大金貨三千枚だ」

「有難く頂戴します」

ルクスは革袋をアイテムポーチに仕舞った。

「陛下……何か他に用事があったのでは?」

「ルクス殿は何でもお見通しだな。実はな……」

シリウスは深刻そうな表情で、語り始める。

「二カ月後の戦争で、第二王子……シルウェステルが初陣を迎えるのだ。シルウェステルはまだ幼い。万が一何かあったらと思うと、心配でな……。そこでだ、 緋金級(ヒヒイロカネランク) 冒険者のルクス殿にシルウェステルを鍛えて欲しいのだ」

「はぁ」

予想してなかった依頼にルクスは生返事をした。

「勿論、報酬は用意しておる。いかがかな?」

「えっと、期間は二カ月間という認識で大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ」

「じゃあ、お引き受けします。あと、シルウェステル殿下の侍女のレヴァナさんも共に鍛えて大丈夫ですか?多分、レヴァナさんがいた方がシルウェステル殿下のやる気が上がるので」

「うむ、大丈夫だ。ルクス殿、シルウェステルとレヴァナをよろしく頼む」

「はい、陛下」

シリウスは微笑んだ。

「では、明日からルクス殿の家でシルウェステルとレヴァナを預かって欲しい」

「え?」

「ルクス殿のような強さを手に入れるためだ。二カ月では足りないかもしれないが、ビシバシ鍛えてやって欲しい」

「……はい」

ルクスは何とか微笑んだ。

(早まったかな)

内心後悔しつつ。

翌朝、王家の馬車に乗ってやってきたシルウェステルとレヴァナをルクスたちは出迎えた。

前日の夜にルクスは仲間たちに王子と侍女を預かることになったと伝えていた。

驚いて呆然としたり、慌てたりする者も出たが、時間が経ったことで概ね落ち着いている。

「る、ルクス、僕、不敬罪でしょっぴかれたらどうしよう……」

まだ、バートが戦々恐々としているが。

「大丈夫だって、シルウェステル君は良い奴だから」

「う、ルクスがそう言うなら、って思うんだけど、怖いんだよね……」

「ま、当たって砕けろだな!」

「それって、砕けたら終わりじゃない?」

そんな会話をしているルクスたちの前に、馬車から降りたシルウェステルとレヴァナがやってきた。

「やあ、久しぶりだね。ルクス君」

「お久しぶりです、殿下」

「殿下じゃなくてシルウェステルで良いよ。敬語もなしだ。僕は君のお家でお世話になるんだからね」

「分かり……分かった。シルウェステル君、よろしくね」

「うん、よろしく。他の皆もルクス君みたいに敬語はなしで問題ないからね」

「「はい」」

「あはは、堅い堅い。もっと楽で良いよ~」

「シルウェステル様、流石に最初は難しいと思いますよ」

「そっか……まあ、慣れてもらうまでは仕方ないね」

シルウェステルは苦笑した。

「シルウェステル君、中に入ろうか」

「うん、ルクス君。ありがとう」

ルクスはシルウェステルとレヴァナを連れて屋敷の中に入った。

「部屋は客室を二部屋用意してあるから、自由に使ってね」

「うん、ありがとう」

「ありがとうございます、ルクス様」

ルクスは二人を談話室に連れてきた。

「紅茶を用意するから、ちょっと待っていて」

「ルクス様、私が用意しますよ」

ルクスの後に付いて来ていたアデリナがそう言った。

「うん、じゃあ、お願い」

「はい」

アデリナは厨房に向かった。

ルクスはシルウェステルとレヴァナと共に談話室の円形のソファーに座った。

「みんなも座って」

「「はい……」」

全員緊張した面持ちでソファーに腰掛けた。

しばらくすると、全員分の紅茶をアデリナがヴォルフと共に持ってきた。

「じゃあ、シルウェステル君、レヴァナさん、俺の仲間を紹介するよ」

ルクスは大人組から紹介する。

「俺の先生で、家計を管理してるベネディクトゥス」

「よろしくお願いします、殿下」

「奥さんで、みんなの服を作ってくれているヘレナ」

「よろしくお願いします」

「その隣が、料理を担当してくれているアデリナとヴォルフ。二人は夫婦だよ」

「「よろしくお願いします」」

次は子供組だ。

「ホワイトブロンドの綺麗で可愛い女の子はラエティティア、黒髪の美少女はクラーラ、焦げ茶の髪のやんちゃそうなのがアラン、茶髪で大人しそうなのがバート」

「「よろしく(お願いします)」」

次は小妖精だ。

「で、小妖精のアスターとシアーシャ」

「「よろしくー」」

シルウェステルとレヴァナは多少驚いたが、落ち着いている。

「うん、皆、よろしくね」

「皆さん、殿下共々、よろしくお願いします」

「よし、じゃあ、紅茶を飲みながら、お茶会でもしようか」

「「え」」

「「はーい」」

「ひぃ」

それぞれ多種多様な反応をした。最後のはバートだ。

反応を見て、シルウェステルとレヴァナはくすりと笑った。

お茶会はルクスがまとめつつ、和やかに進んでいったそうな。