軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第15話 通り過ぎた幼い勇者

商人街の市場にやってきたルクス。市場には様々な露店が並んでいる。

野菜や果物、小麦、干し肉、服やアクセサリーなど多岐に渡る。

ルクスはその露店の中の一つ、ミサンガを売っている店にやってきた。

青白い肌の不健康そうな中年男性がミサンガを売っていた。

「こんにちは」

ルクスは声を掛けたとき、中年男性を鑑定した。

【オットー】

ミサンガを売る露店の店主。

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ルクスは店主の名前がオットーであることを確認して、店主オットーに声を掛けた。

「?ああ、こんにちは」

オットーは子供であるルクスに最初、気づかなかったので、反応が遅れた。

「何か困っていることはないですか?」

「ああ、手持ちのポーションが無くなってしまってね……ちょっと、大変なんだ。君はポーションを持っているかい?」

ルクスはアイテムポーチから淡い緑色の薬液が入った小さめのポーション瓶──初級治癒ポーションを取り出し、オットーに渡した。

因みに、この初級治癒ポーションは、リョーヒン武具店で武具を購入した後に寄った店で購入したもので、五十本ほどアイテムボックスに仕舞われている。

「どうぞ」

「おお、なんと親切な坊やなんだ!ありがとう!」

オットーは大喜びして初級治癒ポーションを飲み干した。

青白いオットーの肌が血色の良い白い肌にまで回復した。

「やる気が漲ってきた……。本当にありがとう、坊や。お礼にこのミサンガをあげよう」

オットーは白と黒の紐で編み込まれたミサンガをルクスに渡した。

【死防ぎのミサンガ】

デスイーグル別名、死を呼ぶ鷲の白い毛と黒い毛から紡がれた紐を編み込んで作ったミサンガ。

即死攻撃を受けてもHPを10残して生き残ることができるが、効果は一度きり。

「もう十本あるんですが……」

「ありがとう」

オットーは初級治癒ポーションを十本受け取ると、死防ぎのミサンガを十個、ルクスに渡した。

「何か買って行くかい?坊や」

「大丈夫です。では」

「そうかい、ありがとう、またのお越しを~」

オットーは手を振ってルクスを見送った。

【オットー】

ミサンガを売る露店の店主。

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ポーション 中毒者(ジャンキー) 。ポーションと名の付く薬液に目がない。

ポーションを渡すと、お礼に効果付きのミサンガをくれる。

ルクスは鑑定結果を閉じて、今度はどのポーションを持っていくかと思案しながら、市場で食材を購入し、アイテムポーチに収納した。

そして、幸運の食事処で昼食を楽しんだ。

今日の日替わり定食は具沢山ポトフ定食だった。

[バフ【HP増強】が付きました]

からんからん、というベルの音を鳴らしてドアを開けて幸運の食事処から出たルクスは、背伸びをして、身体をほぐし、歩き始めた。

後ろから、騒がしい足音がしたので、ルクスは振り返った。

「ごめん、どいてくれ!」

走ってきたのは、ルクスと同い年くらいの金髪碧眼の美少年だった。ルクスは難なく、少年を避けて、道の脇に身を寄せた。

少し後ろの方から騎士っぽい男たちが走ってきたからだ。

「お待ちください!シルウェステル殿下!」

騎士たちは平民っぽい服を纏った金髪碧眼の少年を必死に追っていった。

(シルウェステル殿下……メインストーリーの勇者と同じ名前だな)

Sefirot Chronicle(セフィロトクロニクル) のメインストーリーは勿論、プレイヤー目線で語られるのだが、度々、勇者と呼ばれる青年と絡むことがある。

その勇者はアルヒ王国の王子で、シルウェステル・アルヒという。

(てことは、あの少年は勇者か……メインストーリーは勇者が十五歳のときに始まるから、あと五年くらいで魔王が復活するのか)

ルクスは目を細めた。

(頑張って強くならないとな)

勉強も頑張ろう、とルクスは思いつつ、歩き出そうとした。

「あ」

ルクスは思い出したように振り返った。

(勇者が十歳なら、あのエピソードに出てくるキャラも助けられるんじゃないか?)

ルクスは公式ファンブックの内容を思い出した。

(勇者が人助けを好む青年になった原因のエピソードだ。確か、十歳の勇者は王都のスラム街で出会った同じ年ごろの吸血鬼の少女と仲良くなるんだけど、その少女は病を抱えていて、日に日に弱っていくんだ。今際の際で、その少女は友達である勇者に母親の形見の赤い宝石の付いたネックレスを贈る。実はそのネックレスが吸血鬼の秘宝で、その少女は吸血鬼の真祖だったりするのだけど……まあ、今はいいや。とりあえず、真祖の少女を助けに行った方が良いかな)

真祖の少女の病を取り除く手段をルクス持っていた。だからこそ放っておけなかった。

ルクスはマップを開いた。スラム街は王都の街の城壁の外にある。スラム街の中にいる人々の中から、目的の人物たちを見つけたルクスは、その場所に向かって歩き始めた。