軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第112話 国境の砦

約三ヶ月後の 厳月(ゲブラー) 二十日、予定通り国境の砦に着いた一行を国境警備の騎士(辺境伯の私兵)が出迎えた。

「お疲れ様です。騎士団の代表者と、冒険者の代表者の方々とローデンヴァルト様がお会いになりたいそうです。いかがでしょうか?」

第一騎士団の団長イサイアスと、聖なる誓いのフィンセント、栄光の階のライナー、自由の翼のルクスは、騎士に連れられ、砦の上階にあるローデンヴァルト辺境伯の執務室にやってきた。

ちなみに、ローデンヴァルト辺境伯はシルウェステルがぞっこんなレヴァナの養父だ。

国境に面する平原と、隣の(アルヒ王国の東部の広大な領土を有する)公爵領との間にある山脈とその周囲の森を有する辺境伯。

金鉱が採掘できる鉱山も有しているし、アルヒ王国から辺境を守る為の補助金も貰っているので、裕福な貴族だ。

「失礼します」

先導する騎士が扉をノックして開けると、辺境伯らしき初老の美丈夫がルクスたちを出迎えた。

「ようこそ、国境へ。さあ、座りなさい」

席次は主賓の席──所謂お誕生日席に辺境伯が座り、上座にルクス、イサイアス。下座にフィンセント、ライナーが座った。

「まずは自己紹介からかな。私は、マルクス・フォン・リーデルシュタイン=ローデンヴァルト。辺境ローデンヴァルトを治める領主だ」

マルクスはルクスにウインクした。ルクスは苦笑しつつ、口を開いた。

「私は、クラン『自由の翼』の団長、ルクス・フォン・シュトラウスです。ついでに伯爵で元帥を務めていますが、特に仕事はしていないので、名ばかりでしょうね」

「ふむ、シュトラウス卿は元帥は仕事をしないといけない、と思っているのかな?」

突然のマルクスの言葉にルクスはきょとんとした。

「えっと……はい、そうですね」

「ふむ、それだと、殆どの元帥は名ばかりになってしまうね」

「え?」

「元帥は基本的に自由行動が許可されている。極論、仕事をしなくても良いんだよ。王国が危ないときに守りさえすれば」

「えー」

知らなかった、とルクスは呟いた。

「陛下の説明不足だねぇ。ま、表立って言う内容ではないし、仕方がないかな?」

「はぁ……」

「じゃあ、次の方」

「はっ、私は、第一騎士団の団長イサイアス・フォン・アレトゼー=アンブロスです」

「私はクラン『聖なる誓い』の団長、フィンセント・ヴァン・ルッテです」

「俺は『栄光の 階(きざはし) 』の団長、ライナー・フックスです」

「うむ、皆、良い目をしている。伸びしろもありそうだ……というわけで、模擬戦でもしようか」

「「はい?」」

「「ええ?」」

マルクスは「さあさ」と四人を追い立てて、訓練場に降りた。

剣を抜いたマルクスは、地面に剣を突き立て、仁王立ちした。

放たれる威圧感は凄まじく、イサイアスとフィンセント、ライナーは思わず、剣を抜いた。

ルクスは高レベルの為か、全然怯んでない。

「まとめて掛かって来るが良い」

イサイアスとフィンセント、ライナーは走りだし、マルクスに斬り掛かったが、うまくいなされて歯が立たないまま、マルクスに気絶させられた。

「シュトラウス卿もどうぞ」

「では、遠慮なく」

ルクスは腰に下げていた赤陽剣★+110(MAX)を抜いて、構えた。

一瞬でマルクスの前に出たルクスに、マルクスは驚愕した。

(なんて速い!)

マルクスはやっとのことで反応して、剣で防御しようと、構えた。

ルクスは、剣目掛けて、赤陽剣を振り下ろした。

キィン、と小さく金属がぶつかる音がし、マルクスの剣は半分に斬られた。

半分になった刃が落ちて、地面に突き刺さった。

滑らかな断面を見たマルクスは、驚愕した。

「シュトラウス卿は、想像以上の実力を持ってるね。並みの元帥などシュトラウス卿の前では手も足も出ないだろう……」

「え、元帥って強いんですよね?」

ルクスは首を傾げた。

「全員と戦ったことはないが、私と同じくらいの実力だと、前に戦った元帥殿が教えてくれたから、私より遥かに強いルクス殿は、他の元帥よりも遥かに強いということになるだろうね」

「……なんか面倒なことになりそうなので、他の元帥さんにこのことが伝わらないようにしてくれると有り難いです」

「ははは!分かったよ、シュトラウス卿」

「ところで、ローデンヴァルト辺境伯」

「シュトラウス卿、私のことはマルクスと」

「……では、マルクス殿、俺のことはルクスと」

「ああ、ルクス殿、それで、何か聞きたいことがあるんだね?」

「その……ローデンヴァルト辺境伯はどうして、元帥と同じくらい強くなったんですか?」

マルクスは目を瞬かせて、微笑んだ。

「私の強さは、ダンジョン攻略によるものだね。実は砦の地下にダンジョンがあってね」

「え、砦の地下に?」

「ああ、暇さえあれば、いつもダンジョンで鍛錬している」

「そのダンジョンって、何層あるんですか?」

「五十層だね、五十層を踏破したとき、『ダンジョンを攻略した』っていうお知らせがあったから、砦の地下にあるダンジョンは最下層まで踏破できてるよ。だから、スタンピードは起こる可能性が低いから、安心してくれ」

「あ、はい」

ルクスとマルクスは、イサイアスとフィンセント、ライナーの介抱を騎士に任せ、雑談しつつ、砦に戻った。