軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

職員がめちゃくちゃ慌ててドタバタする

(たしか、ここのはず)

土壁を透視。

ナイフでもいけるのかと試すため、ナイフで線を斬ってみる。

瞬間、壁がガラガラガラ、と音を立てて崩れていった。

『草』

『もうなんでもありだな』

『ダイナマイトかな?』

『また復活するだろうから、早く出よう』

影山は元の通路へと出る。

しばらくすると、壁がゴゴゴゴゴ、と音を立てながら元に戻っていった。

『すごい映像だよな、これ』

『壁って壊れるし、自動で直るんですね』

『リアタイ勢、良いもの見れたな』

『貴重映像だ』

『探索者協会、大慌てだろうな』

その後、何体かスライムを素手狩りまくると時刻は17時をすぎた。右手が痛くなってきたので、帰ろうと思い、出口へと向かう。

「今日は終わります。お疲れさまでした」

影山そう言うと、コメントがすらすらと流れていく。

接続数は184と表示されていた。

『最後まで大人しいの逆にクセになる』

『おつ! めっちゃ面白かった!』

『次も絶対見る』

『もうファンになった。推せる』

『フォローします』

アプリでの配信を終了し、ダンジョンを出た。

受付にいる職員に魔石の買い取りをお願いする。互いに格納スキルによるアイテムボックスを使い、魔石の引き渡しを行う。

今日の成果はスライムの魔石25個と、Dランクのクモの魔石1個だ。

若い男性職員が魔石を取り出し、魔力測定器である大きな箱型の機械で査定を行っていく。

そこに表示された内容に、職員は「え?」と声を上げた。

「Dランクの魔石!? な、なぜ……ここはEランクダンジョンのはず。フロアボス以外、Eランクしか……ちょ、ちょっとあなた、この魔石をどこで?」

「……壁を壊したら、クモが落ちてきました」

「壁を壊した? クモ? 一体、なにを言って……こ、これは大変なことだ。この魔石を拾った時間は? 配信のアーカイブで確認させてもらいます」

「時間……ええっと……」

説明が終わると、4人の職員達がドタバタと動き始める。

顔色が変わっていた。

(なんだか、騒ぎになっている……)

ちなみに査定結果は、スライムが一個100円。クモが一個1500円。

合計4000円。

こんなものか、とショックを受けた。

(バイトより少ないな……駆け出しあるあるならしいけど)

だが、職員達はそれどころではない。

「な、なんだこの映像は!? なにかの間違いじゃないのか!」

「AIの作った映像の可能性は!?」

「これはライブ配信のアーカイブだぞ!」

「おい! 監視AIが未知の座標を検知している! なぜ、誰も報告をしていない!」

「冒険者の名前は!? 何者だ!?」

「ええっと、すいません、ライセンスの方を見せてください」

戻って来た職員へ、ライセンスを見せる。職員は入室記録をパソコンで検索。

「影山 光。今日初めてダンジョンへ潜った、レベル1の探索者です」

「レベル1がDランクモンスターをソロで撃破だと!? ありえん! しかも映像では、グーパンチとレンタルナイフだぞ!?」

「そ、そんなこと私に言われましても。本人に聞いてくださいよ……」

その中で、一番慌てていた髭のイケオジが前に出た。

どうやら責任者なようだ。

「影山 光さん……にわかには信じがたいですが、今日起きたことはなにもかもが、規格外です。正直、我々の手には負えない。協会に……上に報告をしますが、よろしいですね」

「はぁ……えっと、まずいこと、なんですか」

後ろの方を見ると、さらにドタバタしている人数が増えて、9人ぐらいの職員であれやこれやと騒いでいる。電話をしたり、映像を解析したり、とにかくてんやわんやだ。

なんだか、悪いことをした気分になる。

「いえ、悪いことではありませんが……前例がないことで、これからどうなるか想像がつかないです」

「そうなんですか」

「はい。あなたの今日の配信は、間違いなく拡散されるでしょう。協会もどう対応をするのか……ちなみに、今後の活動の予定は?」

「明日、またここで狩りをしたいです」

「なるほど……例の壁の中へも行くご予定で?」

「まずいですか」

「安全のため非推奨ですが、罰則はありません」

「では、行くと思います」

「……わかりました。明日、お待ちしております。本日はお疲れ様でした」

「ありがとうございました」

やや小さな声であいさつして、ダンジョンを去っていく。

帰りのバスでアプリを開くと、フォロワーの数が205を超えていた。

だけどまだ、実感は 湧(わ) かなくて。

疲れたなぁ、と欠伸をしたのであった。