軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

705

私は目を大きく見開いてデューク様を見つめた。

……びっくりしたわ。

「いいか?」

「は、はい」

私は戸惑いながらも首を縦に振る。

デューク様は建物の扉を閉める。最後に外をチラッと見ると、ミアはもう既に患者たちにストレッチをさせていた。

なんか慣れてるわね、ミア。

「なんでしょう?」

私はデューク様へと視線を移す。

すると、突然デューク様は私の体を引き寄せた。

……え、何が起きたの。

‥………私、今、デューク様の腕の中にいる?

デューク様の鼓動が聞こえる。

気付けば、私はデューク様に力強く抱きしめられていた。

「……次、アリシアと会えるのがパーティー当日になるかもしれない。アリシアを満たしておく」

…………なにこの甘い展開は。

私はどうすればいいか分からず、固まってしまう。

顔だけでなく、体中が熱い。緊張で心臓が爆発してしまいそうだが、デューク様の温もりに包まれながら私は幸せを感じていた。

なんだか心が溶けてしまいそうだわ。

「アリシア様~!」

ミアの声が外から聞こえてきて、私は勢いでデューク様から体を離した。

もう行かないと!

私は赤くなっている頬を手でおさえながら、デューク様を見る。

デューク様は満足気に笑みを浮かべていた。

「俺に負けるなよ」

デューク様の言葉が心に響く。

パーティーまでにデューク様は平民の心を掴み、私は貴族の心を掴む。それに対してのセリフだろう。

デューク様はそれだけ言うと、扉を開けて先に建物から出て行った。

私は必死に熱を帯びた顔を冷まそうと努力する。

いつもデューク様の方が余裕をもっている。それがなんか悔しいわ。

「デューク様、アリシア様は?」

「掃除の最終チェックをしている」

ミアの言葉にデューク様はそう返しているのが聞こえた。

私のために嘘をついてくれたのだろう。

……とりあえず心を落ち着けるのよ、私。

深呼吸をゆっくりと行い、気を引き締めて、建物の外へと足を進めた。