軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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『アリシアは、悪女になることが意味のないことだって思ったことはないの?』

『意味のないことよ』

『え……、そんなあっさり』

『生きている意味はなに? って質問しているのと同じぐらい、私が悪女になることなんて何の意味もないわよ』

『そこまで分かっているのに、熱量が持続できるのはどうしてなの……』

『この大きな世界で私の願望なんて何の意味も持たないって理解しているのと同時に、私にとって私は世界の全てだから……。言語化が難しいわね、なんて言えばいいのかしら……』

アリシアは少し黙って考え込んだ。そして、その後何か閃いたように言葉を発した。

『これは、小さな私の大きな物語よ』

ふと、昔したアリシアとの会話を思い出した。

小さな私の大きな物語、というフレーズが今も鮮明に脳内に流れてくる。とても良い言葉だと思った。

国を巻き込んで騒動を起こしているのだから、充分大きな物語を築いてるよ。

僕の中ではずっとアリシアはこの世界の主人公だから……。主人公が消えちゃだめだよ。

「アリシアにどこへでも飛んでいけばいいと言ったが、まさか見失うことになるとはな」

デュークは自責の念を抱えるようにして、そう呟いた。

アリシアが消えたのはデュークのせいじゃない。これは声を大にして言える。けど、今それを彼に言っても、なんの慰めにもならない。

「ジュリー様がアリシア様を攫ったという可能性は考えられますか?」

キャロルが真剣な表情をデュークに向ける。

彼女の質問にデュークは暫く黙り込み、ゆっくりと口を開いた。

「アリシアを攫う目的が分からない。彼女なら、もっと酷な仕打ちをするだろう。アリシアを攫ったらすぐに俺たちが動くと理解しているはずだ。それなら、もっと裏で動いているはず……………………、そうだ」

デュークは何か分かったのか、自ら目を見開き、ハッとする。

反射的に僕は「なにが?」と聞く。デュークは僕の方へと視線を移す。

「アリシアが失踪したとなると、俺たちがすぐに動くということを祖母は分かっている」

「……つまり?」

僕はデュークが言いたいことを瞬時に理解することができなかった。

「俺たちは祖母の罠にちゃんとかかりにいくしか方法がないってことだ」

「えっと、それって全然朗報じゃなくない?」

僕は思わず眉間に皺を寄せてしまう。

「罠にはまることを先に知っておいたら、対処法を練ることができるだろう」

僕は素直に「たしかに」と首を縦に振る。

どう足掻いても、シーカー・ジュリーとの接触は避けられないようだ。

正直、彼女と会うのは怖い。だから、会わない道があるなら、そっちの方が良かったけれど、今は手段を選んでいられない。

……そう思ったら、強敵のジュリーに一人で挑んだアリシアは逞し過ぎる。

やっぱり、彼女は令嬢というより勇者や冒険者の方が向いている。