作品タイトル不明
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まさか、自分が五大貴族の令嬢じゃなくなる日がくるとは思いもしなかった。
……実感がないけれど、私は平民になるということ?
不思議な感覚ね。今まで貴族らしいことはしてきていない。舞踏会など参加したことすらない。
それなのに、いざ爵位を失うと思うと少しだけ寂しいものなのね。
「それがジュリー様がアリシア様に与えた罰になります」
バーナルドがそう言い終えたのと同時に私は笑みをこぼした。
「……アリシア様?」
「私ってば、ついにただの少女になってしまったのね」
私を不思議そうに見つめるバーナルドに私はそう言った。国外追放された時ですら「令嬢」だったのに、今はなんの地位もない女。
「権威はもう私を守ってくれないのね」
「貴女は最初から権威を頼るような人ではないでしょう」
「バーナルドは、私が噂とは違う子だってことをいつ頃に知ったの?」
「最初からです」
即答する彼に私は「最初から?」とオウム返しする。
「はい。私はこう見えてもジュリー様にお仕えしているので」
そう言って、微笑むバーナルドに私は心の中で「さすがね」と呟いた。学園のことを調べた際に、私について大体のことを把握したのだろう。
「リズ様も不思議な魅力の持ち主でしたが、魅惑の魔法の存在を我々は知っていましたので……。だからこそ、魅惑の魔法なしに学園で輝くアリシア様が目立っておりました。そして、ジュリー様にとって目が離せない存在になったのです」
「私が輝いていた……?」
学園生活は楽しんでいたけれど、輝いてはいなかった。
なんたって、私は学園一の嫌われ者よ?
「一点の曇りもない真っ直ぐな瞳は学園の中で誰よりも輝いていましたよ」
バーナルドの本音だと思う。
ありがとう、と返すべきなのかどうか迷った。本来の私はそこまでの評価を貰えるべき者ではない。理想化されたウィリアムズ・アリシアがいるような気がした。
……まぁ、でも、これからただの「アリシア」になるのよね。ウィリアムズ家を名乗ることは許されないから。
特に不安はない。むしろ、ワクワクしかないわ!
「こんな時でも目をキラキラさせている貴女を羨ましく思います」
「あら、知らなかった? 逆境に追い込まれるほど、人は成長するのよ?」
私が微笑むと、バーナルドも表情を崩した。
ここで私がメソメソするわけにもいかない。メソメソしてもワクワクしても、何も変わらないのなら、ワクワクしていた方が人生楽しいもの。
…………お兄様たちが罰せられなくて良かったわ。ジュリー様の慈悲かしら。
「アリシア様のこれからが楽しみです」
「ぜひ期待していて」
私は明るい声で答えた。
なんの地位もなくなった私にとって、これから先の未来は自由そのものだもの。