軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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扉の開くスピードがスローモーションのようにゆっくりに感じた。

今まで感じたことのない空間の中に立っている気持ち。……これまで出会ってきた人たちと威厳の質が圧倒的に違う。

私を迎え入れる気持ちなど、微塵も感じられない。

……アリシア、これはかなり強敵よ。一筋縄なんかではいかないのは分かっていたけれど、初めて誰かの前に行くことに足がすくんだ。

国王様の前でも堂々と出来たのに、この圧のかけ方は尋常じゃない。

それに、私は今や捕まった側。対等に話せることすらも怪しい。………………弱気になるな!! 私!!

私は部屋に足を踏み入れる。衛兵が後ろから、私が逃げないようにと付いてくる。ジュリー様に仕えているだけのことはあって、彼らも新兵士とは格が違う。

私が本気で戦っても負ける気がする。あの炎の中でも慌てていなかったし……。

敵陣にただ一人で赴いた私の度胸も認めてほしいわ。まぁ、悪女ってこんなものよね。

「ウィリアムズ・アリシア」

名を呼ばれた瞬間、心臓が止まるかと思った。魔力で圧をかけられたわけでもないのに、私の名が重く部屋に響いただけで息が詰まった。

……なによ、これ。

何もない部屋。大きな窓があって、赤いベルベッドの絨毯が敷かれている。この部屋の用途がなにか分からない。

後ろ姿のジュリー様を私はただ見つめていた。夜中に起こしてしまったせいで、彼女は簡易なドレスのままだった。

白くなった長い髪を後ろで三つ編みにまとめていた。ちゃんと綺麗に手入れしているおかげか、髪質はとても良かった。

容姿だけで王妃となった女性だと思っていたけれど、彼女は彼女の地獄をちゃんと持っている。

彼女の背中だけで、今まで彼女が抱えてきたプレッシャーを勝手に想像してしまった。ただ、容姿だけを武器に生きてきたわけじゃない。

王妃になるという覚悟を持っていたのだと思う。……悪役になるのが彼女の生き方だったのかもしれない。

「貴女は……」

私はただ彼女の言葉を待つ。

張り詰めたこの緊張感の中で、私はゆっくり呼吸をする。気を抜けば、その場で倒れてしまいそうだった。

「デュークの想い人ね」

私を見ていなくても分かった。その言葉には確実に嫌悪感が帯びていて、決して友好的なものではない。

なにも答えることができない。この言葉の答えに正解などないけれど、上手く言葉出てこない。

「そして、あの子を救ったのね」

あの子――ウィルおじさんの事だろう。

不思議と「あの子」にはどこか優しさが感じられた。ウィルおじさんにあんな仕打ちをしたのに……。

ジュリー様と戦うつもりでここに来たのに、彼女の考えていることを上手く掴めない。

この部屋の中に私含めて四人いるが、やっぱり一人用の部屋のように感じた。

……広いけど、ここでは何もできない。何も置かれていないし、物置ではない。ボードゲームとかも出来なさそう。そもそも椅子も机もない。

「ここから何が見えると思う?」

私がこの部屋について不思議に思っていたことを察したのか、彼女は私に背を向けたまま口を開いた。

窓の外は真っ暗だったが、私の脳内に入っている地図で目の前の景色がどこになるのかはすぐに理解できた。

「………………ロアナ村」

私は今にも消えそうな声でそう発した。