作品タイトル不明
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「ご名答」
ギルバートの言葉に私はジュリー様のことを考えた。
まさか同じ考えをしている人がジュリー様だなんて……。全く掴めなかった彼女の人物像が少しずつ理解することができたかもしれない。
「少しあんたに興味が湧いたよ」
「じゃあ、ジュリー様の情報を教えてくださる?」
私はにこやかにそう聞いた。
今日の目的はそれだもの。ここまで来て、手ぶらで帰りたくないわ。ギルバートが私に興味を抱いたというのなら、それを利用しない手はない。
「具体的に何を知りたいんだ?」
「彼女のことなら何でも知りたいわ」
「国王のことを溺愛していることとか?」
「そんな分かりきっている情報は求めていないの。今の私は彼女の動きを全く読むことができない。それがもどかしいのよ」
「ジュリー様は狡猾な女性だと思われがちでしたが、私はあの人ほど不器用な人を見たことがありません」
私とギルバートの会話にゴードンさんが割り込んできた。
ウィルおじさんの日記の中のジュリー様のことを思い出す。……本当にウィルおじさんが嫌いなら、わざわざ会いにいくことなんてしないはず。
「アリシア様が知りたいのは、ジュリー様がウィル様に向けていた感情でしょう?」
ゴードンさんに完全に見抜かれている。私は否定することなく、彼の言葉を待った。
「ジュリー様は間違いなくウィル様に対して嫌悪感を抱いておりました。ですが、それと同時に愛情があったのも確かです。……ほら、憎しみと愛は表裏一体と言うでしょう?」
「私は、愛があったとは到底思えないわ」
ウィルおじさんに対して少しでも愛があったのなら、目をくり抜くことなどしなかっただろうし、ロアナ村へと左遷させることもなかったはず。
ウィルおじさんは王子よ……。そんな方の人権をいとも簡単に奪ったのだのだもの。
彼女は本当にウィルおじさんに消えてもらいたかったに違いない。それなのに、ジュリー様の言動が矛盾している。
ウィルおじさんに最後に言い放った「生きていて何よりだわ」という言葉の意図を私は知りたい。
皮肉だと捉えてもいいけれど、そんな簡単にまとめられないような気がした。
「彼女はウィル様に死んでほしかったんでしょうね」
ええ、私もそう思うわ。
口には出せなかったけれど、私は心の中でゴードンさんの言葉にそう返答した。
「ですが、ウィル様以上に彼女は自分自身に死んでほしかった。それぐらいの自己嫌悪が彼女にいつもつきまとっていました」
「そんな風にはとても見えなかったわ」
彼女が歩んできた道を見ても、ジュリー様はきっと自分のことが大好きなのだと思う。
利己主義が悪いわけではない。ただ、ジュリー様が自己嫌悪に陥っているとは到底考えられないだけ。
「そう見えなかった、でその人を忖ることができますか? 心の内など誰にも見ることができない。皆、何かを抱えて生きているのですから」
私はゴードンさんの言葉に言い返せずに口を閉ざした。