軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

498

私は朝食を食べながら、ずっとジュリー様が発した言葉について考えていた。

ぼーっとしている私に家族やジルは心配そうに見ていたが、ヘンリお兄様が「まぁ、これがアリシアだろ」と言ってそっとしてくれていたようだ。

生き残りなさい?

生き残りなさいって死んでほしい人に言う言葉じゃないわよね?

けど、ジュリー様はウィルおじさんを追放したわけだし……。私のおじい様も……。

ジュリー様! あなたって! 難しいお方ね!

私は頭を抱えた。昨日からずっと頭を抱えている。頭を使うことは悪いことじゃない。

むしろ、思考を止めれば人間は衰える。だからこそ、考え続けることは大切! …………だけど、これは、もはやそこらの推理小説よりも難しい。

あまりにも難易度が高すぎる。というか、私は探偵ではない。ジュリー様の考えを推測できたとしても、それが真実とは限らない。

「どうしろっていうのよ~~」

私は思わず心の声を吐露していた。

……あ。

食卓が静まり返る。なんだか少しだけ気まずい雰囲気。

その沈黙を破ったのが母だった。

「甘いものでも食べて落ち着いたら?」

圧倒的なお母様の立場……。この家族で彼女に逆らえる人は誰一人としていない。

私はお母様の方へと視線を向ける。背筋が良く、美しい所作で朝食を摂っている。まさに「強い女」の象徴って感じがする。

「久しぶりに家族みんなが揃って食事をしているのよ。この時間を大切にしなさい。それに一つのことに焦点を当てすぎていると視野が狭くなるわよ」

ごもっとも……。ぐうの音も出ないわ。

「ロゼッタ、何かお菓子を持ってきて」

母は紙ナプキンで口元を軽く拭いて、近くにいたロゼッタにそう言った。ロゼッタは「はい、奥様」とすぐにこの場を離れた。

侍女に対する接し方も大貴族の夫人という気品がある。……やっぱり凄いわね、お母様。

「アリシアのお母さんってなんか……一番強そうだね」

「この家で一番強いのは我が母だよ」

ジルとヘンリお兄様がコソコソと話すのが聞こえた。

お父様はお母様の尻に敷かれているタイプだものね。……けど、実際そっちの方が家庭は上手くいくのかもしれない。

「そう言えば、母上。オージェス商会の評価が下がっているという情報を聞いたのですが」

アルバートお兄様のその言葉に私はハッとした。

そうだわ!! 街のハンカチ屋さんで出会ったじゃない!

ジュリー様についての有力情報を持っているかもしれない人物!

オージェス・ゴードン!!!