軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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学園に来たのはいいけれど、何が問題なのか、どう解決すべきなのかも一切聞かされていない。

悪女ポイントを上げないと! ってマインドでちゃっかりデューク様の口車に乗せられて、来てしまった。

……もしかしてデューク様に騙されて来た?

それに、私派とリズさん派の対立がまだあるって言っていたけれど、ジルから新しいルールが作られたって聞いている。

やっぱり、デューク様に騙されているのかしら……。けど、悪女としての晴れ舞台っておっしゃっていたし……。

そもそもデューク様って学園卒業する年よね?

…………実はもう卒業している? 魔法学園は五年制だし。

頭の中でありとあらゆる疑問が思い浮かぶ。私は困惑したまま、学園の門をくぐる。

ジルとアルバートお兄様は家だ。

そもそも、デューク様と二人で登校自体不思議な光景よね。

「アリシア様だ」

私は学園に入るなり、生徒達の視線に違和感を抱いていた。

ラヴァール国に行っている間に、一体何があったのかしら。あまりにも情報量が多すぎる。

アリシア「様」なんて言われたことがない。今までの反応は「おい、ウィリアムズ・アリシアが来たぞ」と嫌悪の視線を向けられていた。

それが今では彼らの視線からは感じられない。むしろ、私が来たことを喜んでいるみたいな……。

「……ちょっと、デューク様」

「なんだ?」

「お聞きしたいことがあります」

「……場所を変えようか?」

私が「ええ、お願いします」と言おうと思ったのと同時に、デューク様は私の腰に手を当てて転送魔法を使った。

ちょっと! いきなり!

私は心の準備が出来ていないまま、目を瞑った。

「生徒会室?」

次に目を開くと、そこは見たことのある場所だった。

学園の中の移動を魔法で行うなんて、魔力の無駄遣いのような気がするけれど、デューク様の魔力ならこれぐらい朝飯前よね。

私はそんなことを思いながら、デューク様の方へと視線を向けた。

……近い。

端整な顔立ちが視界に入る。……今度生まれ変わったら美形男子になりたいと思った。

こんなにも格好良かったら、色々な女性から声を掛けられるだろう。

デューク様に選ばれたってとても光栄なことね。変な考え方だけど、彼に選ばれたことで自分の価値が証明されたような気がする。

傍から見れば、「悪女」の私のせいで彼の評判を落としているのかもしれないけれど。

「どうした?」

あまりにまじまじとデューク様を見つめ過ぎたせいか、デューク様は不思議そうな表情を浮かべる。

「いえ、なにも」

そう言って、私はデューク様の腕から体を離した。

「あの……、色々と聞きたいので、一気に疑問をぶつけてもいいですか?」

「ああ、なんなりと」

「私、騙されてここに来ました? アリシア派とリズ派の争いなんてないでしょう。……きっと、私がラヴァール国に行っている間に解決されているはず。学園に足を踏み入れて確信しました。生徒たちが私に抱いていた嫌悪感がなくなっている。むしろ、歓迎されているような雰囲気でした」

と言いながら、私はあることに気付いた。

……だから、悪女としての晴れ舞台を用意してくれたのかしら。

私がこの学園でもう一度嫌われるように……。

「気付いたか?」

デューク様はニヤッと、悪だくみを考えている少年のような笑みを浮かべた。

私は心の中で大きなため息をついた。この王子は一枚上手だ。

「……抜かりないですね」

「お褒め頂きありがとうございます、お嬢様」

ああ、もう!

ふざけている時のデューク様は結構刺さる。

悔しいけれど、デューク様の提案に乗るしかない。

「それで、何をすればいいのですか?」

「それはまだ教えないでおこう」

じれったい!

私はデューク様の言葉に、キュッと唇をすぼめて頬を膨らました。

そう言えば、デューク様って意地悪な方だった。彼の掌で転がされているなんて……。

「というか、どうしてデューク様はまだ学園にいらっしゃるのですか? 卒業は……」

「この学園は『卒業』が曖昧だからな」

何それ知らなかった。

何も知らずに、十三歳で飛び級して魔法学園に入っちゃったんだもの。十五歳から二十歳の間魔法学園で学び、卒業して一流になれるのだと思っていた。

……それなのに、その「卒業」が曖昧なの!?

私がきょとんとしていると、デューク様は丁寧に教えてくれた。

「確かに五年制だが、学びたい者はまだ残ることができる」

「……なんというか、メリハリがないですね」

「そう捉えることもできるが、心行くまで勉学に励むことができる」

所詮は職やお金に困らない、貴族が通う学園だということね。

大学と大学院が合体した場所、みたいな捉え方でいいのかしら……?

私は「変なところですね」としか言えなかった。

「まぁ、ここはいつでも出入りできるから、卒業しても訪れる者は多い。貴族たちの社交の場所でもあるからな」

「……よくよく考えてみれば、デューク様なんてきっと、入学する前からこの学園で学ぶことなんてないですもんね」

優秀過ぎる王子様は、ここに通う必要などないはずだ。

「この学園自体、俺が牛耳っているから卒業しても様子は見に来る」

……ほぇ?

心の中のIQ3のアリシアが首を傾げている。

生徒会長とかじゃなくて、学園を牛耳っている?

「えっっっっと、どういうことですか?」

「さあな」

デューク様の楽しそうな笑みによって誤魔化された。

私は混乱したまま、生徒会室を出て行くデューク様の後を追った。

後に、デューク様がこの学園の理事長だと知った時は、たいして驚きもせずに納得してしまった。