軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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その日はあまりにも疲れてしまっていて、そのまま家に帰った。

皆と会話する気力がそこまで残っていなかった。

ウィルおじさんの死が私にとってかなり大きいダメージを与えていた。気丈に振舞っていても、心は泣いていた。

うとうとしながら馬車に乗ったのを覚えている。馬車に乗ってからの記憶はないけれど……。

眠った私を部屋へと運んでくれたのはアルバートお兄様かしら?

もしかしたらヘンリお兄様かもしれない。……まぁ、どっちでもいいわね。

私はベッドから目を覚まし、グッと手を天井へと伸ばす。

「やっぱり自分の部屋は落ち着くわね」

前と全く変わっていない部屋を見渡す。

昨日の疲れは全てなくなっていた。体力も回復したし……、ただ、やっぱり精神面はきつい。

ウィルおじさんを失ったことは、私の心の中にぽっかりと穴が空いたような感覚。この喪失感を埋めるのには暫く時間がかかると思う。

私はベッドから降りて、窓の方へと近づいた。朝日が庭を照らしている。

心地の良い朝だわ。剣の稽古でもしようかしら……。

メイドたちが朝から動いている様子が見えた。上からだとこの屋敷の人たちの動きがよく分かる。

庭師は朝早くから屋敷の花壇を綺麗にしているし、メイドは洗濯物を干し始めている。

大切な人が死んでも世界は動き続けるのだな、と実感した。

コンコンッと部屋の扉の音が響く。

「アリシアお嬢様、ロゼッタです」

久しぶりに聞く声に心が熱くなった。

「ロゼ!」

私がそう言ったのと同時に扉が開いた。彼女の元へと駆け寄っていく。

そのまま彼女に抱き着いた。ロゼも「お嬢様」と私のことを抱きしめてくれた。

ああ、なんて懐かしいのかしら。

ロゼの前だと変に気を張らなくていい。私のことを幼い頃から一番近くで見てきた侍女だもの。

「お嬢様は随分と雰囲気が変わられましたね」

そう言うロゼは全く変わっていない。

私が幼い頃からずっと同じままだ。だからこそ、安心する。

「そうかしら?」

私が首を傾げると、彼女は大きく頷いた。

「はい! 貫禄があるというか、より一層美しくなられました。お嬢様みたいな方を傾国の美女って言うのだと思います」

「私なんてまだまだ未熟者よ」

「…………何言っているんですか。お嬢様が未熟者なら、全人類赤子です」

ロゼッタは真顔でそう言った。

私はその言葉に思わず吹き出しそうになった。彼女はこれからも彼女のままでいてほしい。

「ロゼ、貴女は私が最も信頼している侍女よ」

私が彼女に微笑むと、ロゼの表情が急に赤くなった。

あら、可愛い一面もあるのね。

「お嬢様、それはズルいです」

ロゼは少し間を置いてから、もう一度声を発した。

「私は何があってもお嬢様の味方です」

その言葉に嘘偽りがないことは理解出来た。真っすぐなその思いが私を少し救ってくれた。

ありがとう、とロゼに聞こえるか聞こえないかの声で小さく呟いた。