軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「シーカー、……ウィル、だと?」

初めて国王が動揺した表情を浮かべる。

さっきまで僕らがどんな言い合いをしていてもほとんど表情を崩さなかったのに……。

その深い海の色をした瞳が揺れているのが分かる。勿論、僕の言葉で動揺したのは国王だけではない。

五大貴族の残りの四人も国王同様に瞳孔を散瞳させて固まっている。

そうか、彼らはギリギリウィルの存在を知っているのか。まぁ、国王以外はじっちゃんが貧困村に追いやられたことは知らないと思うけど。

「アリシアがウィルに……目を? どういうことだ?」

アーノルドが困惑しつつも、そう聞いた。

「話せば長くなるんだよね」

「ウィルは、兄上は、まだ生きているのか!?」

国王はその場に立ち上がり大きな声を発した。全員彼の今まで見たことのない姿に驚く。

……これは想定外だ。まさか国王の余裕が消えるとは。

「生きてるよ。あんたが追いやったあの村でね」

「あの村……?」

薄い灰色の髪をしたゲイルの父のジョアンが眉間に皺を寄せながら初めて声を発した。

そう言えば、この親たちはこの子供たちの馬鹿っぷりを見て何も言わないのか。……いや、何も言えないのか?

この国は随分と謎が多いな。

「突然失踪したんだもんね。死んだと思われていても仕方ないか」

「ルーク、どういうことだ?」

ジョアンが険しい表情を浮かべながら国王の方を見る。

「……私の父もそこにいるのか?」

アーノルドもジョアンに続き、低い声でそう質問した。驚きと怒りが混ざった声に空気が震えた。

こんな展開になるとは……。僕、もうそろそろ疲れたんだけど。

アーノルドの父は貧困村にはいない。となると……、ラヴァール国に国外追放メンバーの一人か。

もしかしたら、アリシアともう会ってたりして。面白そうだな。やっぱり、無理言って僕もついていけば良かった。

「じゃあ、僕らはこれで」

「待て、兄上はまだ生きているのだな?」

僕の言葉に被せるようにして国王は声を上げる。

「アリシアのおかげでどんどん若返っているよ」

「そうか……、兄上が生きていたのか。そうか。良かった……」

彼は何度もじっちゃんがこの世にまだいることを噛み締めるように呟いた。

その安堵の表情は家族を心配する表情そのものだった。

こんなにも慕っているのに、何故あんな惨い仕打ちをしたんだろう。……実際にしたのは、国王の母なんだけど。止めることも出来たはず。

まぁ、そんなことより、今から国王はアーノルド達に責められるんだよね。

国王も大変だ。自業自得って言ってしまえばそれまでだけど。

デュークは少しの間、国王を眺めた後、何も言わずその場を離れた。

僕もそのまま彼について行った。

「けど、意外だったな」

部屋を出て、暫くしてから口を開いた。僕の言葉にデュークは小さく首を傾げる。

「何がだ?」

「国王がまさかじっちゃんのことを心配していたなんてさ」

「父は伯父のことを尊敬していたからな」

「……なら、助けたら良かったのに」

「操られてたんだろ」

デュークの声が小さすぎてなんて言ったか聞き取れなかった。

あえて僕に聞こえないように呟いたってことは、僕が聞き返してもはぐらかされるだけか。

そのことには触れず、少し話題を変える。

「国王は、なんで貧困村の中の事情をあそこまで知らないの? 貧困村を閉じ込めているあの霧の壁って水魔法だよね?」

「そこが俺にも未だに謎なんだ。父は父で貧困村の解決策を模索していたはずなんだが、伯父の実態について全く知らなかった」

そう言って、彼は複雑な表情を浮かべる。

なんか、デュークにも分からないことがあるんだと思うと少し安心する。

「で、これからどうする?」

「彼女を使う」

「使い物になる?」

勿論、彼女とはキャザー・リズのことだ。

「まぁ、悪いやつじゃないからな」

……それは否めない。

僕が完全に苦手なタイプの人間だけど、彼女は極悪非道な人間ではない。そこがまた厄介だ。

「ようやく聖女様の実力が発揮されるんだね」

「あの力を使わないのは勿体ないからな」

「魔力使うのはちょっと……、とか言いかねないけどね」

「使わせるさ」

小さく口の端を上げたデュークを見て、背筋に冷たいものが走った。

一体どんな手を使うんだろう……。