軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「……羨ましいというより憧れだな」

珍しいわね。カーティス様が真剣に答えるなんて。私はカーティス様をじっと見ながらそんな事を思った。

それにしても、私、憧れられるような事をした覚えはないわ。

「羨ましいと憧れは紙一重だからね」

ジルの言葉に私は口を開いた。

「それは妬みになるんじゃないかしら」

私達の言葉を聞いて、カーティス様は苦笑した。

いや、その前に私、ちゃんと悪女よね? カーティス様はその悪女に憧れているの?

カーティス様が口を開けたのと同時に授業が終わる鐘が校舎に鳴り響いた。この音と同時に一気に校舎の中は騒がしくなり始める。覇気のある声があちこちから聞こえてくる。

あら、もうそんなに時間が経っていたのね。この鐘のせいでカーティス様の声が聞こえなかったわ。

「カーティス様、今なんておっしゃったの?」

どうやら私以外、カーティス様の言葉を聞き取っていたようだ。

ジルもフィン様も目を見開いて固まっている。

カーティス様の言葉を聞いてその表情になったのよね……。一体何を言ったのかしら。

「カーティス様?」

私がカーティス様の顔を覗き込むとカーティス様は少し気まずそうな笑顔を浮かべた。

……その笑顔はどういう意味なのかしら。

「何にもないよ」

いつもの女の子に向けるうさんくさい笑顔に戻っている。

そう言われるのが一番気になるのよ。素のカーティス様の方が私は好きだわ。

ジルもフィン様も驚いた表情を浮かべていたのよ? 何にもないわけないじゃない。

「人も来るから、またね、アリちゃん、ジル」

逃げるようにしてカーティス様はフィン様を連れて私の前から去ろうとした。

あら、私がそんな簡単に逃がすわけないでしょ。

私は軽く指を鳴らした。パチンという音が廊下に広がった。

「うわ、なんだこれ、体が動かない」

目の前でカーティス様が今にも歩き出しそうな格好で固まっている。右腕はフィン様の腕をがっつり掴んでいる。

「離してよ」

フィン様が迷惑そうな顔をしながらカーティス様にそう言った。

「なんて言ったか答えてくれるまで魔法は解かないわ」

私の言葉にカーティス様は少し顔が引きつった。簡単に私が引き下がると思わないでほしいわ。

「沢山の生徒にその滑稽な姿を見られたくなければ、先ほど何をおっしゃったのか教えてください」

「脅されているのか?」

「そうだよ。早く言って、僕まで笑いものになる」

フィン様って結構ドライね。可愛い天使みたいな顔して、冷たい事を言うなんて。

「いや、俺は笑いものになってもいい」

「は?」

フィン様が声を上げた。

私も思わず声を上げそうになったわ。カーティス様は笑いものになってもいいの? 前々から変わった方だとは思っていたけど、本当に変わり者なのね。

「僕は絶対に嫌だよ。巻き添えになるなんて最悪だ。……ねぇ、アリシア、僕だけでも解放して」

フィン様は上目遣いでくりっとした少し潤んだ目を私に向ける。

あら、私にその手は通用しないわよ。もし私がショタコンだったら、完全に許していたかもしれないけど……。

「駄目よ」

私の言葉にフィン様は急に顔を元の表情に戻し、軽く舌打ちをした。

……こんなキャラだったかしら。皆、ゲームの中と少しキャラが違うのよね。

「そもそも僕は関係ないじゃん。なんでカーティスの事で僕まで恥をかかないといけないの? それはおかしいよ。筋が通っていないよ」

急に饒舌になったわね。確かに、フィン様が言った通り筋は通っていないわ。私、筋は通したい主義なのよね。

私は小さくため息をついて、もう一度、指を鳴らした。

「有難う! アリシア」

フィン様が明るい表情を浮かべながらそう言った。

なんだか少し騙された気分だわ……。フィン様って、どこでも生きていけそうね。

「デュークももう帰ってきているんじゃない?」

ジルが私の隣でつぶやいた。

優先順位を考えると、カーティス様よりデューク様の方が上だもの。

「そうね、そろそろ行きましょ」

私の言葉にカーティス様がニヤニヤしている。なんだか気持ち悪いわ。

「じゃあね、アリちゃん、デュークによろしく」

「「気持ち悪いよ、その顔」」

フィン様とジルの声が見事に重なった。

やっぱり結構キャラが被っているわよね、この二人。

「やっぱり男はひどいね、女の子に慰めてもらいに行くよ」

「行ってらっしゃい」

「フィンも来るだろ」

「え? どうして僕まで? 嫌なんだけど」

「いいから来い」

そう言って無理やりフィン様はカーティス様に連れていかれた。

強引な方ね……。まぁ、知っていたけど。

「私達も行きましょ」

ジルは私の言葉に頷いた。

「むしろ俺はリズを妬んでいるよ」

フィンとジルの耳に鐘の音は一切聞こえず、カーティスの声だけが響いた。