軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「この学園で私って嫌われ者でしょ?」

誰もいない旧図書室の奥で私はジルに向かってそう言った。

こんなに良い雰囲気の図書室なのに誰も来ないって不思議だわ。

一日中ここにいたいくらいなのに。ノスタルジックな雰囲気が漂っていて本当に最高の場所だわ。

「……そうだね、嫌われているね」

ジルは目を少し見開いて頷いた。

「その嫌われ者の味方にジルとデューク様とメルとヘンリお兄様がいるんでしょ?」

「うん。……そのせいで最近デュークの人気が落ちているみたいだよ」

どうしてそんな事を知っているのかしら。

一体どこから情報を仕入れているのか気になるわ。

「アリシアがデュークやヘンリを狂わせたと思われていたみたいだよ」

あら、それは間違いではないわよね。

本来ならヒロインとくっつくはずのデューク様が私を好きになっているんだもの。

……というか、デューク様の人気が落ちているのよね。デューク様はそんな事を気にしていないだろうけど。むしろ嬉しく思っているかもしれないわ。だって、彼は自由が欲しいんだもの。

「五人だけなのに凄い迫力みたいだよ」

「ザ・悪者って感じよね」

私は口元を緩めながらそう言った。

ああ、嬉しすぎるわ。私の味方なんて不要だと思っていたけど、私の悪女効果が上がるのなら大歓迎よ。

悪女は孤高に生きる女だと思っていたけど、味方も悪い人達だってなればもっと有名になれるわ。

そしてこのまま歴史に名を刻むのよ。

それに……デューク様はこの国の王子なのよ。王子を狂わせた悪女なんて素晴らしい響きだわ。

「陰では狂った闇の組織とか、悪の塊とか言われているみたいだけどね」

「最高の展開だわ」

私は高揚とした調子でそう言った。

でも、狂っているより変わっているって感じなんだけど……。客観的に見たら狂っているように見えるのかもしれないわね。

悪の塊って最高の誉め言葉じゃない! 私が欲しかった言葉よ。まさかそんな風に言われているなんて知らなかったわ。

「ブラックデビル」

「え?」

「アリシアがそう言われているんだよ」

「じゃあ、リズさんは」

「ホワイトエンジェル」

ジルが吐き捨てるようにそう言った。

……相当リズさんが嫌いみたいね。

というか、ブラックデビルとホワイトエンジェルってネーミングセンス最悪じゃないかしら。

もっとお洒落な名前は浮かばなかったのかしら……。あまりにも安直過ぎない?

「なんか、ダサいわね」

私がそう言うと、ジルは口の端を高く上げた。

……怖いわ。この表情がまさにブラックデビルよ。顔に真っ黒い影が見えるわ。

笑っているはずなのになんて怖い笑顔なのかしら。

本棚に並んでいる本達もこの悪魔の表情にびっくりしてすっかり静まり返っているじゃない。……まぁ、本は喋らないけどね。

「一部じゃ、アリシアはブラックエンジェルとも言われているみたいだよ」

「ブラックエンジェル?」

私は眉間に皺を寄せながらジルを見た。

「そうだよ」

「じゃあ、リズさんはホワイトデビルって言われているの?」

「それは知らない」

ジルはそう言って首を横に振った。

……どうして私がエンジェルなんて名前がつくのかしら。

もう、なんの変哲もないブラックデビルって名前でいいわよ。だから、エンジェルって言うのだけはやめてほしいわ。

私は天使って柄じゃない。まず私の顔の特徴からして悪魔よりだ。天使はまさにリズさんみたいな人の事を言うのだろう。性格も、顔も……特にあの笑顔。

「最悪だわ」

私は額に手をついて心の底から本音を吐いた。

最高の気分から叩き落されたわ。さっきまでの喜びの興奮を返してほしいわ。

「どうしてエンジェルなんて言われているのかしら」

「表では言われていないから安心して」

「どうしてそれをジルが知っているのよ」

「情報なんて知ろうと思えばいくらでも知れるよ」

ジルはそう言って少し意地悪そうに笑った。

流石ジルとしか言いようがないわ……。

「アリシア派とリズ派の戦争が起こったりして」

「……どうしてそんなに嬉しそうなのよ」

「アリシアの支持が増えていると思うと嬉しくてね」

ジルはそう言って目じりに皺を寄せた。

誰か分からない人に支持されても……。私は心の中でジルの言葉に突っ込んだ。

「まぁ、アリシア派はきっと自分がアリシアを支持しているとは言わないだろうけどね」

「……圧倒的にリズさん派が多いものね。それで、本当にその情報はどこから仕入れているのよ」

私はジルを軽く睨みながらそう言った。

ジルは私を少し見つめてから諦めたようにため息をついた。

「ヘンリだよ」

「ヘンリお兄様?」

……諦めるまでの時間が早かったわね。これも長年の付き合いだからよね。私がいかに頑固かをよく知っているからこそできる判断だわ。私達なかなか良い関係よね。

「アリシアの知らない所で僕は結構色々な事をしているよ」

ジルがそういって含みのある笑いを私に向けた。

どうしてそんな自分が勝ったみたいな表情を私に向けているのかしら。

色々な事って何をしているのかしら。……そういえば前の授業でジョン先生と意気投合していたみたいだし、何かの研究とか?

……ほとんど一緒にいるのに、知らない事もあるのね。

本棚に並んでいる本達がジルに拍手を送っているように思えた。……まぁ、本に手なんかないんだけどね。