軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第十八話

「朝っぱらから居なくなったと思ったら、漁業組合に嫌がらせをしに行っていたのか……」

宿に戻ると、ドアの音を聞きつけたおっさんが出てきてどこに行っていたのかを聞いてきたので、港まで買い物に行ってきた話をすると人聞きの悪いことを言いだした。

「新鮮な魚を買いに行くのに、朝市で港に行くのは当然だろ? それに元々この街に来た時から買うつもりだったのに、変な事件に巻き込まれたせいで買いにくい雰囲気になってしまったところに、組合に影響力のある人と友好関係を結ぶことが出来たんだ。しかも、俺たちは数日でこの街を出るし、それなら早めに買い物に行った方がいいだろ?」

「まあ、確かに買い物をするなら早めにした方がいいけど……って、今度はどこに行くつもりだ?」

戻ってきてすぐにどこかへ行こうとしていた俺に、おっさんが訝しみながら聞いてきたので、

「買ってきた魚を味見するんだよ」

と言って、俺は宿の食堂へと向かった。

この宿では、滞在する客が利用できる調理スペースがあり、忙しい時間帯でなければ無料(ただし、燃料費などは必要)とのことだったので、戻ってきた時に許可を取っておいたのだ。

そして魚と包丁を取り出し、料理の準備を整えていると、

「おい、何で皿を出して待っているんだ?」

おっさんとチーが皿を自分たちの前に置き、フォークを握った状態で待っていた。

二人の横にはフリックも座っていたが、こちらは何も用意せずにただ座っているだけだった。ただ、視線はまな板に置かれた魚に向けられていたので、味には興味があるみたいだ。

「こっちを見るな。気持ち悪い」

おっさんとチーは、フォークを握りながら俺をじっと見つめている。

二人共、わざとやっているようで気持ち悪いとしか言いようがないが……特におっさんに関しては、歳を考えろと言いたい。

チーはキャラに合っていないぶりっ子の真似が似合っていなくて不気味だが、それに輪をかけてチーの真似をするおっさんは吐き気を覚えるくらいだ。

俺の反応を見た二人は、効果的な方法を見つけたとばかりに表情を崩さずに近づいてこようとしたが……俺が包丁を握ると、真顔になって元の位置に戻って行った。

「さてと……まずは一種類ずつ捌いてみるか」

基本的な捌き方しか知らないものの、その方法で十分な魚しか買っていないので、問題なく魚を三枚におろすこと は(・) 出来た。ただ、どれも骨が硬くて、使った包丁の刃が欠けてしまったけれど……まあ、別に思い入れのあるものではないので、砥ぐか買い替えればいいだけの話だ。

そして、三枚におろした魚から作ったのは、

「切っただけのと焼いただけのか?」

「ジーク、手抜きじゃない?」

「いや、焼いたのは二種類あるな。一つは何かをつけて焼いていたみたいだ」

一種類につき三品の、合計九品だ。

ちなみにメニューは、刺身と塩焼きとムニエル(っぽいもの)である。本当はムニエルではなく天ぷらかから揚げにしたかったが、油の持ち合わせが足りなかったので変更したのだ。

「生は少し抵抗があるが、どれも無難に美味しいと言った感じだな」

「この白い身の方はまだいいですけど、こっちの方は少しくせがありますね。焼くと気になりませんけど」

「私は生も大丈夫。ただ、味が少し薄いわね」

おっさんとフリックは、焼いた二品は大丈夫でも、刺身……特にブリは匂いが気になったらしく、それぞれ一切れで止まっていた。

それに対しチーは味が薄いと文句をつけながらも、自分で勝手に塩を足して美味しそうに食べていた。短い間だけとは言え、この国の食べ方には慣れているのだろう。

「味も問題ないし、これなら追加で買ってもいいな。料理にして保存しておけば、野営中も食事が充実するし」

これでキャベツの保存食がもっと上手に作れれば、長期間の依頼でも栄養面はバッチリだろう。

明日にでも追加で買いに行くかと思いながら、残りの魚をさばいていると、

「ジーク、追加は?」

「流石にあれだけじゃ足りないんだけど?」

などと、おっさんとチーが言い出した。

最初の内は無視していたが、その内捌き終わった魚を狙い始め、そのたびに威嚇して追い払うのが面倒になったので、

「この骨でも焼いて食え!」

少し失敗して身が多くついてしまったブリの中骨を与えることにした。

始めの内はぶつくさ言っていたが完全に無視をしていると、二人は諦めてブリの骨をコンロで焼き始めた。

焼き始めてからしばらくすると、「火が強すぎた!」とか、「落とした!」とか聞こえてきたが、何とか食べられるものが出来上がったらしく、それからは大人しくしていた。

そして次の日の早朝、

「焼いて食うと美味い魚があるといいな!」

「ジークみたいに調理したものを小分けにしてマジックバッグに保存しておけば、依頼中の楽しみが増えますね。まあ、俺のバッグだとあまり多くは買えませんが……」

おっさんは昨日の焼き魚が気に入ったらしく、ブリを仕入れると張り切っていた。

フリックも昨日の試食で魚を買う気になったらしいが、持っているマジックバッグはおっさんのものよりも小さいそうで、先程から何を買うか悩んでいるようだ。

そして、先程から静かにしているチーはと言うと、

「……吐きそう」

二日酔いで苦しんでいた。

そんなに苦しいのだったら宿で寝ていろとおっさんは言ったが、チーは大したことないと言ってついてきたのだ。その結果が、このざまである。

「あれだけ酒が残っていたのに、歩けばこうなるのは分かっていたはずだろう? 大人しく宿で待っておけばいいものを、意地汚いところを出すからこうなるんだ」

そんなチーを見て、フリックは厳しいことを言っている。まあ、チーが無理についてきた理由の一つに、港なら普段食べることの出来ないものがあるかもしれないというのがあるからだろう。

なので俺もおっさんも、フリックと同じくチーに同情はしていない。最悪の場合は薬を用意するが、別に置いて行っても自力で宿に戻ることが出来るだろうと思っているので、今は漁港を目指すことに集中しよう……と言うか、下手に気にしているとおっさんとフリックにチーの面倒を押し付けられる可能性があるので、気にしていないふりをしなければならない。

なので、歩く速度をわずかに上げると……おっさんとフリックも同じように上げてきた。二人も酔っぱらいの世話をしたくないようだ。

そうして三人で競り合った結果……

「チーが大きく遅れましたね」

チーをどこに置いてきたか分からないくらい先に進んでしまった。

そのことに気が付いたフリックに、

「そうみたいだな……フリック、そんなに心配なら、迎えに行ってやれ!」

「俺は先に行っているからな」

俺とおっさんはチーの世話を押し付け、全力で走り出した。

すでに遠くなったフリックは何か叫んでいた気がするが、聞こえなかったということにして置き去りにした。

「もしこれでフリックが俺たちを追いかけてきたら、チーを捨てたひどい男と言いふらしてやろうぜ!」

などと、おっさんは笑っていたが……そんな汚れ役はおっさんにぴったりなので、全て任せようと思う。俺よりも信憑性が出そうだし。

そんなこんなでやって来た港だが、多くの人で賑わっていた……いや、賑わっているというよりは……

「何か、買い物客というよりも、野次馬みたいだな……」

「また変態でも出たのか?」

変態を捕獲して転がした記憶は無いのだが……とか思っていると、すぐ近くから視線を感じたが無視をした。

「とりあえず、人が集まっている方に行ってみるか?」

流石にこんなところで陰に潜って移動するのはまずいので、屋根の上を移動したが……それでも目立ってしまった。まあ、今更と言えば今更なので気にしても仕方がないと思うことにした。もっとも、俺以上に人ごみをかき分けながら移動していたおっさんは注目されていたので、いい目くらましになってくれることだろう。

「それで、原因は湾内か……またダイカイギュウでも遊びに来たのか?」

そう思って野次馬の視線が向けられていた方へと移動すると、

「何だ、あれ?」

予想通り、湾内で何かが起こっていたようだ。ただ、湾内で泳いでいたのはダイカイギュウではなく、ダイカイギュウよりも大きな魚のような生き物だった。

「あれが原因か……あそこにグランドがいるな。話を聞いてみるか」

野次馬たちは港から少し距離を取って集まっていたので、俺も一度屋根の上で止まって様子を窺ってみると、漁港に武装した集団がいた。

そしてその中の一人がグランドだったので、この騒ぎが何なのかを聞いてみることにした。

「グランド、この騒ぎはあのデカいのが原因か?」

「うおっ!」

さらに屋根の上を移動してからグランドの近くに飛び降りると、全員驚いて後ずさりしていた。

「それで、あれが原因で、港に人が集まっているのか?」

「あ、ああ……あれが原因だ」

もう一度聞くと、グランドは驚いた顔のままで頷いた。

「やっと追いついた! ……ん? グランドも一緒だったか!」

そこにおっさんがやってきていきなり大きな声を出したせいで、グランド以外の奴らがまた驚いていた。

「それでグランド、何があった?」

「湾内に、サメの魔物が入り込みました。しかもその魔物が特別にデカい為、俺たちは倒すのか追い出すのかを話し合っているところです」

グランドはようやく落ち着いたようで、おっさんに説明をし始めた。

その間に俺はもう一度屋根に上り、そのサメの魔物とやらをしっかりと見てみることにした。

「なかなか水面まで上がってこないせいで姿が見えにくいが……確かにデカいな。助けたダイカイギュウよりも大きそうだ」

正確な大きさは分からないが、十m以上二十m未満というところだろう。確かにあの大きさなら、倒すにしろ追い出すにしろ難しい。

しかし、このまま見ているのはつまらないし、今のところ生け簀は被害を受けていないようだが、このままだといつ荒らされてしまうか分からない。そうなると港に来た意味がなくなる。

「グランド! もしあれを倒した場合、倒した奴の総取りでいいのか?」

「ああ、まだ誰も手を出していないし、出す手段も持っていない状況だからな。海の中とは言え、基本的には冒険者の依頼と同じだ」

「そうか、分かった! なら、俺がやる」

魔物とは言え、基本的な習性はサメと変わらないだろうから、手の届く位置までおびき寄せればどうとでもなるだろう。

そう思って、俺は港の端にある磯の方へと移動を開始した。

俺の発言にグランドたちは驚いていたが、おっさんが俺の後を追いかけ始めると、釣られるように移動していた。

「ここがよさそうだな。まずは足場を固めて……っと」

踏ん張った時に砂で足が滑らない程度に周囲を踏み固めて、俺は処分予定だった魚の内臓を浅瀬にぶちまけた。そして、サメの注意をこちらに向ける為に、こぶし大の石を何度も投げた。その結果、

「ジーク、サメがそっちに向かったぞ! 気を付けろよ!」

予想通り血の臭いに気が付いたサメが、俺の方へと向かってきた。

おっさんたちは邪魔にならないようにする為かそれとも見やすいからなのか、少し離れた場所にある岩の上に登っている。

「腹が減っていたのか、それとも出られなくて苛立っていたのか、思っていた以上に速いな……」

想定以上の速度で近づいてくるサメだったがやることは変わらないので、マジックボックスから剣を取り出して、その剣にダインスレイヴを重ねてタイミングを見計らい……

「今!」

興奮したサメが水面から飛び出そうとする瞬間に、サメの目の前に土魔法で壁を作り出した。

この壁は土だけでなく砂利も混ざっているから、ただの土壁よりも強度は上のはずだが……サメはその砂利入りの壁を難なく破壊して俺に迫って来た。

ただ、勢いはかなり削がれているので、

「しっ!」

余裕を持ってサメの眉間にダインスレイヴを重ねた剣を突き立てることが出来た。ただ、サメの頭骨が頑丈だったせいで剣が折れてしまったが、折れる寸前に使った風魔法がサメの脳を破壊したようで、思わぬところで脳天締めが成立することになった。

「まあ、それでもまだ暴れているんだけど……ついでに血抜きもしておくか」

折れた剣の柄をマジックボックスに収納し、新たに別の剣を取り出して先程と同じようにダインスレイヴを重ねてからエラの部分に何度か突き刺した。

サメが大暴れしていたせいでえらに剣を突き刺すのに少し苦労したが、暴れてくれて分だけ血が良く抜けていくようで、サメはしばらくすると動かなくなった。

これなら逃げ出すことは出来ないだろうと思い、土魔法を使って馬鹿デカいサメを転がし海に涼めると、残っていた血が滲んで周辺の水が赤く染まった。

念の為、アラクネの糸でサメの尻尾と近くの大岩を繋ぎ、サメが血抜きの最中に流されない状態にした上で水魔法で砂浜に飛び散ったサメの血を洗い流していると、

「お前、本当に規格外な奴だな」

おっさんとグランドが近づいてきた。

その後ろの方では、港にいたやじ馬たちが近くまで来ていたが、グランドと一緒にいた冒険者たちがそれ以上近づかないように整理してくれているみたいだった。

「でも、ドラゴンよりは楽だったぞ」

「いや、それと比べることが出来る時点で、規格外ということだよ」

「確かにそうですね」

呆れて反論するおっさんに、グランドも同意している。

「それでグランド、血抜きまでしたわけだけど、このサメって食えるのか?」

サメなら大抵の種類は食べられると聞いたことがあるのだが、魔物のサメの場合はどうなのだろうと思い聞いてみると、

「食えるぞ。むしろ、普通のサメよりもくせがなくて美味いくらいだ。ただまあ、このサイズのやつは食ったことが無いから知らないが、もしかすると大味でいまいちということはあるかもしれないけどな」

とのことだった。おまけに、サメは時間が経つほど臭みが増してくるとのことなので、この場で解体しようと思ったのだが……

「これ、普通の剣だと刃が通らないな」

硬さで言ったらドラゴンの方が上だが、サメの魔物はサメ肌というくらい表面がざらざらしている上に、それが金やすりとして使えそうなくらいなのだ。

恐らくは細かな鱗が原因なのだろうが、その鱗のせいで刃がガリガリと削られてしまうのだ。少なくとも、俺の手持ちでは解体するまでに何本犠牲になるか分からない。

(ダインスレイヴなら、問題なく切れるはずだけど……こんなところで出したくはないしな……かと言って、かと言ってこのままだと、臭くなるみたいだし……)

どうやって解体するかと考えていると、サメを見に近づいてきたおっさんと目が合って、

「おっさん、切れ味の良い剣を貸してくれ」

なければ借りればいいかという答えに辿り着いた。

「何でだよ⁉ 自前のやつを使えばいいだろ?」

おっさんはサメの鱗で剣が駄目になるかもしれないと気が付いて断ろうとしていたが、俺が根元から折れて柄だけになった剣と、エラを突き刺して刃が欠けている剣を見せた上で、

「どうせおっさんのことだから、このサメも食いたいとか言って調理させるんだろ? しかも、ジモンに来る前に、ドラゴンの肉も食べさせたよな? このボロボロの剣ですら、魔力を通せば傷つけることは出来ているんだ。おっさんの持っている剣なら、ほんの少し切れ味が落ちるくらいで済むはずだ」

ドラゴンの肉という言葉が出た瞬間、おっさんは気まずそうな顔をしてそっぽを向き、隣にいたグランドは、ドラゴンの肉を食わせてもらったのに断るのか? みたいな感じの顔をして驚いていた。

「サメの肉も食わせてやるし、皮も砥石代わりに使えそうだから少し譲ってやる。それで足りなければ、またドラゴンの肉を食べさせてやってもいいぞ?」

と追い打ちをかけると、おっさんはそれならという感じでミスリル製だという剣を渡してきた。

「これなら問題なく行けそうだな」

軽く振ってみると、アルゴノーツには及ばないものの、これまでに振ったことのある剣の中ではそれに近いように感じた。

この分ならそのままでも十分通用するだろうが、念には念を入れてダインスレイヴ重ねて、試し切りとしてサメのヒレの根元に刃を立ててみた。すると、

「おっ! 流石にモノが違うな! 簡単に切れた!」

それまで苦戦していたのが嘘のように、サメのヒレを一太刀で切り取ることが出来た。

ここまで簡単に行くのならということで、まずはサメの背ビレと尾ビレを切り取り、頭を残したままの状態で上側の身を切り取った。

これだけ大きいとかなり時間がかかると思っていたのだが、ダインスレイヴを重ねたミスリルの剣の切れ味がすごすぎるせいで、片身を切り分けるのにニ十分もかからなかった。

この調子なら、残りの半分はもっと早く処理できるだろう。ただその前に、

「グランド、内臓はどの部分が食えるんだ?」

内臓は痛みが早いだろうし臭いもひどくなりそうなので、早めに仕分けをしたいのだが……

「すまん。内臓の方はよく分からない。ただ、肝は食えたはずだが、たまに気持ちが悪くなったりめまいがするらしい」

グランドもよく分からないそうだ。

ただ、肝に毒があるというよりは肝に含まれているだろうビタミンの摂り過ぎだと思う。

まあ、ビタミンに関しては聞きかじっただけなので間違っているかもしれないが、誰か知っている人に聞くまでは他の内臓と一緒にマジックボックスに収納し、どうするか決めるのは後回しにすればいいか。

多分、組合長の奥さんやアキノなら知っているだろうから、後で買い物ついでに聞いてみるのがいいだろう……と思いながら頭部を落として残りの半身を骨から外し、身を適当な大きさに切り分けた。

「これなら後は手持ちの剣だけでも行けるな。おっさん、返すぞ……と、その前に」

借りていた剣を返そうとしたところで、流石に汚したままというわけにはいかないなと思い、水で濡らした布切れで汚れを拭いていると……おっさんがいつの間にか遠くに離れていた。

その横にいたグランドも、おっさんの突然の奇行に驚いているようだ。

「何してるんだ、おっさん?」

何故か離れたおっさんのところまで、わざわざ拭き終わった剣を持っていくと、

「ジーク、ビビらせんな! いきなり剣を向けるんじゃねぇ!」

どうやらおっさんは俺が剣を投げて渡すとでも思っていたらしく、急いで距離を取っていたみたいだ。

「そんな常識外れのことをするか。おっさんじゃあるまいし」

「常識から大きく外れている奴が言うことじゃねぇ!」

などと叫びながら、おっさんはミスリルの剣を受け取りマジックバッグに突っ込んでいた。

「それじゃあ、買い物を……ん?」

サメも退治したし、これで買い物が出来ると思っていると、遠くの方から太鼓を叩くような音が聞こえて来た。

「もしかして、またダイカイギュウが来たのか?」

と思い、急いでダイカイギュウが見えるところに行こうとした……のだが、

「人が多すぎて進めそうにないな……」

「だな。しかも、サメを解体したところを見せつけたせいで、ジークを間近で一目見ようと待ち構えているみたいだな」

サメを倒す前よりも人が集まっていたせいで、移動することも困難なように見えた。

まあ、俺にとって道はそこだけではないから、問題ではないが。

「少し疲れるが、こっちから行くか」

「こっちって、どっちのことを……って、ジーク⁉」

驚くおっさんを置いて、俺は 海(・) の(・) 上(・) を(・) 走(・) っ(・) て(・) 音の聞こえた方へと向かった。