軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

18 兄妹団らん

夢見ダンジョン攻略後。

日はまだ高い位置にあるが、たまにはこれぐらいで切り上げるのもいいかと考え、そのまま帰宅した。

自室でステータスを見ると、見慣れない文字があることに気付いた。

「称号に、ダンジョン踏破者?」

ステータスに新しく記載されていた『称号:ダンジョン踏破者(1/10)』という一文のことだ。

称号についてはもともと知っている。

獣系や鳥系魔物を一定数討伐するだとか、長期間同じ武器を使い続けるだとか、多くの冒険者に治癒魔法をかけただとか。

特定の条件をクリアすることによって称号は与えられ、攻撃力アップや魔力効率上昇など様々な恩恵を受けることができるのだ。

しかし、称号を得られるのは冒険者の中でもごく一部。

だいたいはBランク以上だったはずだ。

例に漏れることなく、俺もこれまで称号を得られることはなかった。

つまり、今回が初めてだ。

俺はダンジョン踏破者の説明を読んでいく。

ダンジョンを踏破するとは、同ダンジョンを規定回数クリアしたという意味だろう。

それを何度も繰り返し特定数を超えることで、恩恵が与えられるのだという。

説明はここで終わっていた。

具体的にどのような恩恵が与えられるかは書いていない。

となると、これはおそらく……

「ダンジョン踏破者の後ろの(1/10)のうち、10が特定数で、1が踏破したダンジョンの数ってことだよな? 少なくとも10個のダンジョンを踏破しない限り、恩恵は与えられないのか。先は長いな……」

けれど、これで新しい目標が生まれたのは素直に嬉しい。

ただでさえレベルアップのために、ダンジョンを繰り返し攻略していたのだ。

その先に、レベルアップ以外にも得られるものがあると分かれば、ますます努力する気になる。

「踏破するダンジョンがどこでもいいんだったら、次は紫音ダンジョンかな? 攻略しても1レベルアップしかできないのは残念だけど、攻略自体は簡単だから踏破もすぐに終わるだろ」

今後の方針は決まった。

あと、やっておきたいこととしたら、今日得たSPをどう割り振るかだが……

「ふあぁ、無理だ、眠い。先に寝よう」

ダンジョン内転移が覚醒してから、約10日間。

ただひたすらにダンジョンを攻略し続けてきた。

夢見ダンジョンを踏破したことで緊張の糸が切れてしまったのだ。

そして俺はそのまま、翌日の朝までぐっすりと眠り続けるのだった。

「んぅー、よく寝たー」

ベッドの上で体を伸ばした後、リビングにいくと、キッチンに立っていた 華(はな) が「あっ」とこちらを見る。

「お兄ちゃん、ようやく起きたの? いくら起こしても起きないから死んだのかと思っちゃったよ」

「悪い、かなり疲れが溜まってたみたいでな。ってあれ? 朝食にしてはやけに豪華だな」

「何言ってんの、昨日の夕食の残りだよ。せっかく腕によりをかけて作ったのにお兄ちゃんが食べてくれなかったから……しくしく」

「なんて分かりやすいウソ泣きなんだ……悪かったよ。いただきます」

朝食にしてはかなりヘビーなご飯だったが、昨日の夕食を食べてないこともあってすんなりと腹に入っていく。

「ところでお兄ちゃん、半日以上も眠り続けるくらい疲れが溜まってたなんて、そんなに冒険者のお仕事は大変なの?」

「ん? ああ、大変っちゃ大変だが、別に今回はそういうのじゃないぞ。攻略が良い感じに進んでてな、つい疲れを忘れて頑張りすぎただけだ」

「ふーん、それでもたまには休みを取った方がいいと思うよ? そうだ! お兄ちゃん、今日は何か用事ある?」

「いや、急ぎの用はないけどダンジョンには行くつもりだぞ」

「さっきの言葉が聞こえてなかったの? たまには休みなって」

「む……確かにそれもそうだな」

華の言う通り、ここ最近は根を詰めていた気がする。

一度、ゆっくりと休養を取った方がいいかもしれない。

それにしても、華がここまで俺の体調に気を使ってくれるなんて……お兄ちゃん嬉しい。

そう感激した直後、華は満面の笑みを浮かべる。

「うん、ちゃんと休むのは偉いぞ! というわけで、今日は荷物持ちとして私の買い物に付き合ってね、お兄ちゃん」

「感動を返して」

全然休ませる気ないじゃん。

ちょっと本気でびっくりしたよ。

……けど、思い返してみれば、華と一緒に出掛けたのも随分前だな。

たまにはそういうのもいいかもしれない。

そんなことを考えている間にも、華は期待を込めた目で俺を見つめていた。

「はぁ、分かった。付き合うよ」

「ありがとっ! それでこそお兄ちゃん」

とまあそんなわけで、華と一緒に買い物に行くことになった。

デートだやったー。