軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

178 ユニーク称号

宵月ギルドに向かう途中、灯里が話を切り出す。

「それで、どうしてそのことを知っていたのよ?」

「どうしても何も……その情報を書き込んだの、俺だからな」

「えっ?」

その告白に対し、灯里は立ち止まると戸惑いの声を上げる。

そこから数秒。ようやく意味を理解することができたのだろう。

「……それ、本気で言ってる?」

「ああ、大マジだ」

「ってことは何。アンタ、もしかしてあの剣や称号を持ってるってこと?」

「もちろん」

頷いてみせるも、これだけの情報でまだ全面的に信じることはできないのだろう。灯里はいぶかしげな表情を浮かべていた。

……仕方ないか。

無名剣(ネームレス) に関しては、鑑定を使われたら実力がバレ面倒なことになるから避けておきたいが、称号だけなら見せても大丈夫だろう。

というわけで、

「ほら、これが証拠だ」

俺はステータス画面のうち、各パラメータを隠した上で、無名の剣豪の表記のみを灯里に見せる。

灯里はその説明を見て、目を大きくした。

「本当に持ってるんだ……というか、嘘じゃなかったのね、掲示板に書かれていたこと」

「ああ、当たり前だろ?」

「そんな決め顔しちゃって……皆から袋叩きに遭ってたくせに。アレ、見てて面白かったわよ」

「それは見る目のないアイツらが悪いんじゃないか?」

「悪いけれど、それには頷けないわね。だってあんな無茶苦茶な説明を読んで信じる人、普通に考えていないに決まってるもの。ああなるのも当然ね」

「……さりげなく、自分で自分を普通じゃないと言ってることに気付いてるか?」

そうツッコミを入れると、灯里は顔を赤くする。

「う、うるさいわね! あたしにはアレを信じられる根拠があったのよ! だから決してあたしがおかしいわけじゃないんだからね!」

「根拠?」

灯里は少し落ち着いたのち、「ええ」と頷く。

「無名の騎士の剣は確かに驚いたけど、それ以上に凄いのは無名の剣豪よ。剣士なら誰もが欲するであろう破格の性能。凄すぎるがゆえに、普通ならば嘘だとしか思えない。手に入れた経緯も合わせたらなおさらね」

「けど……お前はそれを信じたと?」

「そうよ。凛はユニーク称号って知ってるかしら?」

珍しい名称だが、聞き覚えはあった。

「ユニークスキルの称号版だろ? ユニークスキルに比べて発現率が著しく低く、発現したとしても地味な性能が多いからあまり注目されてないけど。ってか、そう言うってことはもしかして――」

「ええ。私もそれを持っているのよ。気になる? 気になるかしら?」

どうやら、気になると答えて欲しそうだった。

「そこはかとなく」

「そこはハッキリ答えなさいよ。まあいいわ、これを見なさい!」

灯里は自信ありげな笑みを浮かべると、自身のステータス画面を見せてくる。

するとそこには、灯里が言うところのユニーク称号について書かれていた。

――――――――――――――

【全盾適性】

・装備推奨レベルに関係なく、全ての盾を装備することが可能。

・ただし、装備者のレベルが装備推奨レベルに達していない場合、盾の性能は一部減少される。

――――――――――――――

「これは……」

説明を見て目を見開いていると、灯里は「ふふん」と得意げに笑った。

「どうかしら? 耐久力はあたしのレベルに応じてある程度減っちゃうけど、それでも普通の盾を装備することに比べれば何倍も効果が高くなるのよ! ねっ、無名の剣豪に負けないくらい凄い称号だと思わない?」

「……それが本当なら、確かにかなり優秀な称号だな」

「そうでしょ、凛!」

にへらと笑う灯里。

その可愛らしい笑みを見て、俺は思った。

――思って、しまったんだ。

……何でコイツ、こんな称号持ってるのに、剣士なんて目指そうとしてるんだ?

思わずそう尋ねたくなったが、彼女の幸せそうな笑みを消すわけにもいかなかったため、俺はその問いをぐっと呑み込んだ。

そんなことを考えているうちに、俺たちは宵月ギルドに到着するのだった。