軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

姉姫ちゃんと狩りに行こう!3

そんな事を考えていると、その眼前に、突っ込んでいく妖精ちゃんがいた。

山吹ちゃんだ。

金髪の妖精ちゃんは、棘鎧トカゲ君の顔に向けて加速すると、その横っ面にキックをした。

前世、ボールペンの長さ、その半分に満たないその足で蹴られたトカゲ君は、ゴォン! っていう鈍い音を立てながら吹っ飛び、地面を転がる。

やるなぁ~

感心していると、次に棘鎧トカゲ君の元まですーっと飛んで行くのは、緑風ちゃんだ。

優しげなお姉さん系妖精ちゃんは、こちらをチラリと見た。

わたしが〝どうぞ〟という様に手振りをすると、ニッコリ微笑んだ緑風ちゃんは、腰に差した剣を抜く。

それを振り上げると、思いっきり振り下ろした。

ザクっという音と共に、棘鎧トカゲ君の太い首が地面に落ちた。

彼の皮は見た目以上に頑丈なんだけど……。

うん、見事なものだ。

すると、剣を鞘に収めた緑風ちゃんが、こちらに飛んでくると〝 棘鎧トカゲ君(これ) 持って帰る?〟と言うように身振り手振りをしてきた。

「そうだね、一応持って帰ろうかな」

そんなやり取りをしていると、空高くに気配を感じる。

視線を向けると、思わず顔を顰めた。

うわぁ~青羽根ハゲタカ君だ。

青羽根ハゲタカ君は前世、ハゲタカ同様、死肉を好む魔鳥なんだけど……。

前世のハゲタカは生きている獲物は余り襲わないのに反して、青羽根ハゲタカ君は結構積極的に襲ってくる。

特に、苦労して獲物を獲った魔獣を襲い、一石二鳥を狙う最低な魔鳥だ。

しかも、獲物を運ぶのに口や手が塞がっているのを執拗に狙ってくるのでたちが悪かった。

時々、ママの森近辺にもやってきて、わたしも何度か粘着されたことがある。

わたしの手の届かない上空で狙いを定めるので、鬱陶しくてしょうがなかったんだけど……。

ふっふっふ……。

潮ちゃんじゃないけど、わたしもあの頃のわたしではない。

前世風に言えば、ニューサリー2.0となったのだ!

などと考えつつ、「姉姫ちゃん、ちょっと、ここで待ってて」と断りつつ、両膝を曲げる。

姉姫ちゃんが〝わたし達が行った方が早い!〟と主張してきたけど、わたしだって狩りをしたいのだ!

思いっきり、飛び上がった。

50メートルぐらい飛んだか。

勿論、遙か上空を飛ぶ青羽根ハゲタカ君には全然届かない。

しかぁ~し、新たなる能力を身につけたわたしに死角はない!

右足を上げ、その下に白いモクモクを足裏サイズに伸ばす。

そして、それを蹴る!

わたしは更に上空へと飛び上がった。

次に左足でそれをして、飛び上がった!

小さい(コル) 兄ちゃんの得意技、〝 空(そら) 駆け〟だ!

かなり苦労したけど、何とか出来るようになった。

もっとも……。

いや、そんな事を考えている場合じゃない!

一気に駆け上がると、突然飛び上がってきたわたしに動揺する青羽根ハゲタカ君に向けて、「えい!」っとキックする。

あ!?

動揺していても、流石は空を主戦場としている青羽根ハゲタカ君、「グァァァ!」と鳴きつつ、わたしの蹴りを間一髪で避けた。

くそ!

マズイ!

わたしは右手から出した白いモクモクで、ハゲタカ君を捕まえようとするも、それも躱されてしまう。

あぁ~!

間抜けなわたしは、あっさり落下していく。

わたしの〝 空(そら) 駆け〟、実は上る事は出来るんだけど……。

落下時には出来ないのだ。

魔力の足場を作るのが、落ちながらだと上手くいかないのである。

小さい(コル) 兄ちゃんは普通に出来ていたから、出来ないはずはないんだけど……。

まあ、現在の限界はここって事だ。

くっそ~!

と、落ちていくわたしを見下ろす青羽根ハゲタカ君を恨めしそうに見ていたんだけど……。

そのハゲタカ君が真っ二つに両断された。

え?

驚いていると、視界にわたしと一緒に落下する、白雪ちゃんのニコニコ顔が映った。

フォローのために飛んできてくれたのか……。

流石は天空の覇者様、でもちょっと悔しい。

なんて考えつつ、頭から落ちていくと、視界の上部に真っ青なものが広がっているのが見えた。

今、わたしは逆さだから、水平線、かな?

この高さから先が見えないと言う事は……。

え?

ひょっとして、海?

東の大河の先にはなんとなく海があるんだろうなぁ~なんて思っていたけど……。

西の先にも海があるのか。

よくよく考えたら、ここら辺の地理、よく分かってないや。

ひょっとしたら、ヴェロニカお母さんなら知ってるかな?

そんな事を考えている間に地面が近づいてきたので、体をくるりと反転させ――着地する。

鈍い衝撃音と共に土煙が舞う。

おっと!

一緒に落ちてきたハゲタカ君を白いモクモクでキャッチする。

……まあ、美味しくないだろうけど、一応だ。

降りてきた白雪ちゃんが、少し心配そうに近づいてきて、〝足、大丈夫?〟と身振り手振りで訊いてくるので「これぐらい、大丈夫だよ」とニッコリ答えておく。

実際、膝を使って落下の衝撃を逃したからダメージは無い。

ママの修行の一環で、崖から落とされ慣れているしね。

……嫌な慣れだけど。

ん?

着地した足の下辺りがクレーターっぽくなっちゃったけど、まあ、良いか。

そんな事を考えていると、何かが上空で集まってくる気配を感じる。

視線を上げると「はぁ?」と声を上げてしまった。

真っ青な魔鳥が何百羽も集まってきていた。

え!?

あれ、皆、青羽根ハゲタカ君だよね!?

彼らって、群れる事あるんだ!

しかも、仲間の敵を取るつもりなのか、なかなか、殺気立っている。

う~ん、ちょっとやっかいだなぁ。

やれなくはないけど、ひたすら上から狙われるのは、結構なストレスになるし。

そんな事を考えつつ、両拳を胸の前で合わせ、モクモクグローブを出そうとする。

ただ、ジン君に乗った姉姫ちゃんが、ニコニコしながら〝わたしに任せて!〟と言うように槍を横に振る。

そして、ジン君に上がるように指示を出している。

ジン君は不安そうに、振り返ったが笑顔の姉姫ちゃんは〝大丈夫! 大丈夫!〟と言うように身振り手振りをするので、言う通りにしている。

「ジン君がいるんだから、無理しないでよ!」

と釘を刺すも、騎士姫系妖精ちゃんは気楽な感じに、槍を振り返すだけだ。

大丈夫かなぁ~

止めた方が良いかなぁ~

悩んでいる間に、青羽根ハゲタカ君が一羽、また一羽と急降下してくる。

そして、ついにはそれは、何百もの青い矢の様にこちらに落ちてきた。

それに対して、ジン君の乗る姉姫ちゃんは、何やら右手を左手で掴みながら、〝駄目っ! わたしの右手! 暴れないで!〟みたいな小ネタをやっている。

「ちょっと!

真面目にしてよ!」

と怒鳴っても、〝右手がぁ~! 右手がぁ~!〟とかやっている。

もぉ~!