軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ドロップアイテム

状況が、まるで理解できていない。

なぜ僕は生きているのか。

あの高さから地面に叩きつけられて、生きているなんてありえない。

が、現実には僕はまだ生きている。

というか怪我ひとつしていない。

「これってもしかしてスーちゃんのおかげなのかな?」

全く理解できていないが、わかることはある。

それは、僕自身に不可能を可能にする力はないということだ。

なら、それをやったのは――マイベストパートナーのスーちゃんしかいない。

そう考えて尋ねると、スーちゃんがプルプルと体を震わせて返事をしてきた。

……可愛い。

大きさが変わったり、色が変化したりもしたけれど、スーちゃんの愛らしさは微塵も変わらない。

そんなことを思いながら、僕は一つの予想にたどり着く。

きっと、衝撃の落下をスーちゃんが無効化してくれたんじゃないだろうか。

あのプルプルと柔らかなスライムボディーで、地面との衝撃を吸収してくれたに違いない。

実際、八目大黒カラスの体にスーちゃんが取りついたときも、僕の体からは完全に離れていなかった。

だが、そうなるとあのにっくきクソカラスはどうなったのだろうか。

スーちゃんが僕のことを守ってくれたとして、あの八目大黒カラスまで守ることはないだろう。

きっと、奴はあの勢いのまま地面へと激突し衝撃を受けたはずだ。

そしておそらく――あの高さからの落下は、さすがのモンスターでも致命的だったはずだ。

八目大黒カラスは死んだ、はずだ。

だが、死体はない。

残っていたのは、八目大黒カラスの嘴と漆黒の羽、そして魔石だけだった。

なんで?

お肉はどこにいったの?

もしかして、モンスターって死ぬとドロップアイテム化して特定部位だけが残るのか?

それとも、僕が妄想、もとい走馬灯を見ている間にスーちゃんが八目大黒カラスの体を食べて、最後に残ったのが、あの三つだったとか?

さすがにそれはないか。

でも、そうなると不思議だ。

白龍の尻尾は地面に残されていて、僕とスーちゃんはそれを美味しく食べた。

あれは尻尾がドロップアイテムだったのだろうか。

それとも、尻尾は切れたけれど白龍はどこかでまだ生きている、とかか?

そう考えるとゾッとした。

八目大黒カラスなんかがちっぽけな小動物に思えるくらいの超巨大で天災級のモンスターである白龍はまだどこかで生きていることになる。

もしもう一度であえば、それが僕の最期になるだろう。

早いところ逃げてしまおう。

地面に落ちていたドロップアイテムを鞄の中に回収し、僕は巨大樹へと戻り、再び登り始めた。