軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

圧倒的感謝

いつもは自転車で向かうダンジョンへと走っていく。

通るルートは同じなのになんだか新鮮な気持ちだ。

自転車ではほとんど気にしなかった道路脇の小さなお地蔵さんが、今日はなぜか目に入った。

そういえば、ここには昔からこのお地蔵さんがあったな。

石でできたお地蔵さんの表面に苔がついていたので、手で払ってやる。

スーちゃんならもっときれいにできるだろうけれど、一瞬で汚れをすべて取り去るわけではないので今は軽く払うだけで済ませた。

なんとなく両手を合わせ、怪我無くダンジョンでの穴掘りをできるように願掛けをして再び走り出す。

学校指定の通学鞄に教科書とノート、筆記用具を入れ、さらには水筒まで入っているのでけっこう重い。

それに、ダンジョンで使うためにスコップもあるので荷物が多いので、全身に魔力を巡らせ 肉体強化(フィジカルブースト) を行いながら走る。

スーちゃんも僕の肩に引っ付いて、僕から漏れ出す魔力を今も食べてくれて 超集中(ゾーン) ができている。

この 超集中(ゾーン) はやっぱりすごい。

集中力が異常に高まるだけではなく、多分だけれど疲労回復力も上がっていると思う。

体の調子があまりにも良いからだ。

足が軽い。

いくらでも走れそうな気がする。

一晩寝て疲れは取れているとは思うけれど、それにしたってこの一週間で一番状態がいいと感じた。

それまでは、体のどこかに常に穴掘りによる筋肉痛を感じていたのに、それが一切ない。

きっと、夜僕が寝ている間もスーちゃんが僕の魔力の漏出を防いでくれていたんだろう。

魔力が外へ放出されず、体のすぐ外にとどまり続ける状態は、集中力を高めてくれるだけでなく疲れを取る効果なんかもあったのではないかと予想する。

夜に寝ている間にその状態を維持し続けたおかげで、僕の体は今までにないほどに回復し、絶好調の状態になったのではないだろうか。

これなら、毎日朝も夜もダンジョンで体を動かしていても疲れて動けなくなることもないと思う。

というか、間違っても朝にダンジョンに行って穴掘りしたからといって、日中眠たくなり居眠りするのはしてはいけない。

そんなことをして、学校の勉強がわからなくなり、テストの点数が下がればお母さんが怒るだろう。

学校のテストの点数が下がったのは朝から遊んでいるからだ、と言われてダンジョン行きを禁止されるのはなんとしても避けなければならない。

ダンジョンに行けなくなるのだけは、絶対に嫌だ。

そういう意味でも、スーちゃんのおかげで夜に体をしっかりと休めることができるというのは非常にありがたい。

なんか、スーちゃんさまさまだな。

超集中(ゾーン) ができるようになったことも、部屋の掃除や服のクリーニング、そして疲労回復まで、スーちゃんと出会わなければ絶対にできるようにはならなかったことばかりだ。

ありがたい。

あまりにもありがたすぎて、思わず走りながら左肩にいるスーちゃんを右手で撫でつつ、手から多めに魔力を渡す。

その感謝の気持ちが伝わったのかどうかはわからないが、魔力を多めに食べられて嬉しそうにスーちゃんがプルプルと震えたのを確認しつつ、僕はそのままダンジョンへとたどり着いた。