軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

穴の未修復

昨日は小テストの結果が良かったからか、お母さんの機嫌もよかった。

ダンジョンから帰ったらご飯もたくさん用意されていたので、お腹いっぱいに食べて、食後には授業の復習と予習をして寝た。

そして、次の日。

今日は学校が休みだ。

ということは、一日ダンジョンに行くことができる。

「ちょっと出かけてくるね」

「行ってらっしゃい、佑馬。お昼はご飯を作っておくからきちんと帰ってくるのよ」

「うん、わかった。行ってきます」

朝の八時くらいに家を出る。

いつも学校に行くよりも少し早いくらいの時間帯だ。

ダンジョンで穴を掘るのが楽しくて、早く行きたいとウズウズしていた。

朝ごはんをしっかり食べて、すぐに家を飛び出して自転車で走る。

ダンジョンは別に入口が夜になったら閉じたりするようなことはない。

なので、入ろうと思ったら二十四時間いつでも問題ない。

だけど、さすがに夜遅くまでダンジョンで遊んでいたらお母さんも心配するだろうし、あんまり遅すぎると怒られるかもしれない。

下手をするとダンジョンに行くことを禁止されるかもしれない。

なので、学校終わりにダンジョンに行っても、どれだけ長くても晩御飯の時間までには帰る必要があって、あまりに長時間はいられない。

だが、休日なら話は別だ。

お昼ご飯の時間には一度家に戻らないといけないけれど、それでも四時間くらいはダンジョンにいられるし、昼ごはんを食べたらまたダンジョンに行ってもいい。

ワクワクしながら、ダンジョンへと走り、到着した。

「おう、早いな、坊主。今日は学校休みなのか?」

「そうだよ、おじさん。今日は土曜だから学校は休みだよ」

「おい、俺はおじさんじゃあねえっつってんだろうが。まあいい。今日もダンジョンの壁を掘るんだな? もう慣れているとは思うが、ダンジョンは何があるかわからん場所だから気をつけろよ。もしなにかあったらここまで戻ってきて声をかけるんだぞ」

「うん。分かっているよ。ありがと。行ってくるね、おじさん」

出入り口にいる監視員のおじさんは今日もいる。

土曜日とか関係なくここにいるんだろうか?

ここ最近、毎日ダンジョンに来ているけど、特に何か起こったと聞いたことはない。

なにもないのに毎日ダンジョンの入り口で見張りをしているって、暇じゃないんだろうか?

いや、暇だから毎回僕に話しかけてくるのかな?

そんなことを考えながらいつもの出入り口そばの穴掘り地点へとやってきた。

「……あれ?」

思わず足が止まった。

「昨日掘った場所が元通りになってない? なんでだろう?」

いつもの場所。

ダンジョンに入ってすぐのなんの変哲もない壁の前。

そこで僕は毎日スコップで穴を掘っていた。

だが、その場所が今日は少し様子が違っていた。

壁に穴が空いている。

昨日僕が掘ったダンジョンの壁の穴だ。

それが残っている。

どうしてだろう。

こんなこと、今まで一度もなかった。

ダンジョンは一定時間が経過すると元通りに戻るはずなのに。

実際に、毎回穴を掘ってもきれいな壁に戻っていた。

だが、今日に限って元には戻っていない。

もしかして、朝来たからか?

いつもは学校終わりの夕方にしかダンジョンに来たことが無かった。

時間帯はいつも同じで、多少ずれているかもしれないけれどおおよそ二十四時間ごとに穴を掘りに来ていたことになる。

だけど、今日は違う。

僕は昨日の夕方にダンジョンで穴を掘り、そして今日は朝早くにダンジョンに来た。

もしかして、それだけの時間だとダンジョンは元通りに戻らないのかもしれない。

なんとなく、一晩経てばダンジョンの穴は元に戻るのかと勝手に思っていた。

が、それは思い違いだったのかもしれない。

なんにせよ、僕は昨日掘った穴がある場所で、引き続き穴を掘ることにした。