軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

回復力

「おお、力こぶが出てる」

朝起きて洗面台で顔と歯を洗う。

そのとき、目の前の鏡に向かってポージングしてみた。

腕を挙げて力を入れ、筋肉を盛り上がらせる。

前より、少しだけ腕が太く見える。

前に見たショート動画のイケメンムキムキお兄さんのポーズを真似してみると、僕の二の腕にはポッコリとした筋肉の盛り上がりが見えるようになっていた。

筋肉が付いたのかな?

いや、さすがにそれはないか。

最初はダンジョンの壁を殴って、その後はスコップで穴を掘る。

やってみると意外とハードなその運動を何度かしたとはいえ、さすがに筋肉が付くほどやったわけじゃないと思う。

でも、前の僕の腕とは少し違って見えるのも確かだ。

バンプアップってやつだろうか。

イケメンムキムキお兄さんがそんなことを言っていたような気がする。

筋トレの後、一時的に筋肉が盛り上がって見える現象のことだったはずだ。

つまり、実際に筋肉がついたわけではないらしい。

が、これはこれで自分が頑張ったときにしか現れないものなので、しっかりと筋肉をほめてねぎらってあげるといいとか言っていた。

「ありがとう、筋肉。これからもよろしく、筋肉」

僕は腕の筋肉をポンポンと叩きながら、ねぎらいの言葉をかけた。

バカみたいな行為だけど、やってみると案外いいかもしれないとも思った。

何時間も同じ動作を繰り返す苦行のような運動だったのは間違いないからだ。

あれだけの運動をしてくれた筋肉には感謝だ。

「そういえば、あんまり筋肉痛も無くなったな。ダンジョンバーも効いているのかも」

ポージングしていて気づいたのだが、朝起きてからあまり体が痛いと感じていない。

昨日は起き上がった時には痛みがあって大変だったのに。

完全に痛みがないわけじゃないけど、忘れて歯磨きをしているくらいの軽いだるさを筋肉に感じる程度で、割と元気な状態に戻ってきているように思う。

ダンジョンバーが役に立ったのかもしれない。

さすがは、ダンジョンの中でモンスターを倒しながら移動を繰り返す 探索者(シーカー) のために作られて栄養満点の補給食だな。

この効果を体感すれば、筋トレ界隈の人たちがダンジョンバーのカロリーが多くても筋トレのためにギルドに買いに行くという話にも納得できる。

カロリーが多くても、ダンジョンバーで動ける体を維持したほうが効率がいいのだろう。

「これなら、今日もダンジョンに行けそうだな。よーし、頑張るぞー」

疲れは抜けていたが、それでも朝ごはんはいつも以上にしっかりと食べた。

ダンジョンバーがいくらすごくても、それに頼り切ってはだめだとショート動画でも言われていたからだ。

栄養バランスの取れた食事を摂ることが重要だと何度も違う動画で言われていたので、朝からいろんなものをバクバク食べて学校へ向かうことにした。